ナタリー PowerPush - 牧野由依
レーベル移籍で新境地 等身大ラブソング「ふわふわ♪」
記憶の引き出しをポンと開けてあげられるような
──先ほど少し話に出ましたが、今後に向けての曲作りはどんどん進んでる感じですか?
はい、そうですね。詞を書いたり曲を書いたり書いたり書いたり書いたり(笑)。
──声優の仕事も並行して行われていますが、アーティスト活動との両立は結構大変じゃないですか?
一番大変だったのは去年の年末! 初の舞台でヒロインの役をいただいて、かなりテンパってる状態の中でレコーディングもやっていて、アニメのアフレコもあって、さらにコンサートや海外遠征もあったんですよ。それを越えられたから、何でもイケるかな、と思ってます(笑)。今のところ大変だなって思うことはそんなになく、楽しくやらせていただいてます。
──こういうことをやっていきたい、という方向性も明確に見えていますか?
1曲1曲に対して見えるところはあっても、いざアルバムを作るとなると、統一性を持たせるのはすごく大変な作業で。改めて自分の音楽を客観視して、どの方向に行きたいのか、この1枚で何を表現すればいいのかっていうのを真剣に考えるけど、客観視するのって難しいですよね。だから、あまり自分でこうだこうだって決めすぎずに、一番最初に決めたとおり“ガラス張り”で、見えない壁を作らずに、自分だけで抱え込まないで、スタッフのみなさんと一緒にチームワークで作り上げていければいいかなと思っています。
──聴いてくれているファンの方たちや、これから牧野さんの音楽に触れる人たちに「自分はこういうことを伝えたい、表現したい」と考えていることはありますか?
今までは「ぜひ癒されてください」とか「この曲を聴いて安心してもらえたらうれしいです」と言うことが多かったんですけど、それよりも、なにかしらどこかで引っかかるような……例えば「ふわふわ♪」だったら「あっ、こういう友達いたなぁ」とか、記憶の引き出しをポンと開けてあげられるような、そういう歌を歌っていきたいなって。だから自分で詞を書くときにも、視覚だったり匂いだったり、話したことや聞いたこと、そういう五感を突っつくような言葉で表現して「こういうことあったなぁ」という思い出の1曲になってもらえたらうれしいです。
──では最後に、このインタビューを読んでくれた人へのメッセージをお願いします。
今回は高野さんだったり岩井監督だったり、かなり色の濃い人たちが集まってこの「ふわふわ♪」という1つの作品を作ることができました。それぞれの持ち場で、本当に細部にわたってこだわりを持って作ったので、高野さんが好きな人も岩井さんが好きな人も、この曲をきっかけに牧野由依というアーティストに興味を持っていただけたらすごくうれしいです。
牧野由依(まきのゆい)
7歳で岩井俊二(映画監督)に才能を見出され、同監督の大ヒット作品「Love Letter」「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」3作品に、8歳から17歳にかけてピアニストとして参加。2005年にシンガーデビューを果たし、同年には声優としての活動もスタートさせた。
2008年春に東京音楽大学ピアノ科を卒業し、2009年には事務所およびレコード会社を移籍。アーティストとして新たな第一歩を踏み出した。2010年3月3日にEPICレコード移籍第1弾シングル「ふわふわ♪」をリリース。