音楽ナタリー PowerPush - LOVE PSYCHEDELICO

“ノーコンセプト”ベスト2000→2015

2000年4月にシングル「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」でメジャーデビューしたLOVE PSYCHEDELICOが、デビュー15周年を記念して「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I」と「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST II」という2枚のベスト盤を2月18日に同時リリースする。

そこでナタリーではKUMI(Vo, G)とNAOKI(G, B, Key)の2人にインタビューを実施。ベスト盤におけるサウンド面のこだわりのほかに、1stアルバム「THE GREATEST HITS」の大ヒットで瞬く間にスターダムにのし上がった当時の心境や、15年にわたる活動のターニングポイントなどについても話を聞いた。

取材・文 / 宇野維正 撮影 / 小原泰広
スタイリング / 中兼英朗 ヘアメイク / 矢口憲一
衣装協力:chigo / CHRISTIAN DADA / LAD MUSICIAN / THE FIFTH / The Viridi-anne

学生の頃にイメージしていた理想の世界があった

──LOVE PSYCHEDELICOにとってベスト盤は10年ぶり、しかも前回のベスト盤「Early Times」は廃盤になっていてもう入手できなくなっていますよね。今回、15周年を迎えてベストアルバムを2枚リリースしようと思ったのはどうしてですか?

NAOKI(G, B, Key) 15年もやってると、フットワークが軽くなってくるんですよ。「ベスト盤? いいね!」って。昔だったらかなり吟味しないとOKを出さなかったような提案にも、すぐに乗れるようになってきたというか(笑)。

──逆に言うと、昔のLOVE PSYCHEDELICOはいろんなことに対して頑なだったということですよね。

NAOKI 今思えば自分たちなんて足りないところだらけだったんですけど、デビューした当時は自分たちの音楽を誰にも曲げられたくないという思いがすごく強かったんですよ。音楽性も含めて、デビューする前にいろんなことを大人たちから聞かされていて。そういうものに合わせて自分たちを変えたくないというか。今考えると、そのときにこだわっていたことっていうのは、すごくちっちゃなことだったりするんだけど、あの頃の自分たちはそれを頑なに守ろうとしていて。1stアルバムを出す前は、「頭の中にあるこの音楽を、1回だけでいいからそのまま表現させて!」っていう思いがありましたね。

──当時は周囲の大人たちとけっこう闘ってきた感じだったんですか?

ベストアルバム「Early Times」リリース時のアーティスト写真(2005年2月発売)。

NAOKI 闘ったっていうのとはちょっと違うかな。1stアルバム「THE GREATEST HITS」は学生時代に作っていたデモが元になっているので、そこでやっていたことをそのまま世の中に出せるならいいけれど、やれ日本語が少ないとか、サビがないとか、カラオケで歌いにくいとか、そういう勝手な物差しに合わさなくちゃいけないなら、別にいいですって。プロとして契約をすることに、そこまで興味はなかったから。

──じゃあ、もし自分たちのやり方を理解してもらえる場所がメジャーになかったら、インディーズでデビューしていたこともあり得る?

NAOKI 可能性としてはあり得た話ですね。でも、ビクターにいったら案外そこに仲間はいて。今さらですけど、とても自由に1stアルバムを作らせてくれたレコード会社には感謝してますね(笑)。しかもフェスに出てみたらそこに仲間はいたし、海の向こうに渡ってみたらそこにもたくさん仲間がいたし(笑)。結局アーティストって、そういう出会いの中で変わっていくものなんですよね。

KUMI(Vo, G) だんだん仲間が増えていったっていうのは大きいね。

NAOKI うん。この15年でつくづく感じるのは、学生の頃に「アーティストってこういうふうに他人とコミュニケーションをとって、こういうふうに仲間ができて、それで成り立っているんじゃないかな」ってイメージしていたような理想の世界が、わりとあるんだってこと。

──なるほど。それは素敵な話ですね。

2ndアルバム「LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA」リリース時のアーティスト写真(2002年1月発売)。

KUMI 私たちはもともとプロになりたくてこの世界に入ったわけじゃなかったから。ずっと作品を作っていて、それをより多くの人に聴いてもらいたかっただけだったので。CDが出せるってなったときも、「これまでよりたくさんの人に聴いてもらえる!」っていううれしさだけで。

アーティスト写真やPVを撮る意味がわからなかった

──1stアルバムがあっという間にミリオンを超えて、その「たくさん」のレベルがとんでもないことになったわけですよね。今改めて思い返してみて、あの頃はどんな気持ちでした?

KUMI そうねえ(笑)。自分が信じていた音楽がそうやって多くの人に伝わっていったわけだから、「よかったよかった」って。そこに戸惑いはなかったけれど、私はデビューする直前まで学生だったから、外の世界というものにビックリさせられることはあった。

──そっか。社会人デビューと同時にメジャーデビュー、でもっていきなりミリオンですもんね。

KUMI 私はただ音楽を聴いてもらいたいだけで、CDのリリースに付随してくるいろんな作業……写真を撮られることとか、ビデオクリップを作ることとか、取材で話すこととか、そういうことがまったく頭の中になかったから。そこにはすごく戸惑いましたね。

11thシングル「Aha!(All We Want)」リリース時のアーティスト写真(2006年発売)。

NAOKI デビューが決まったので写真を撮りますって言われると「え? なんで撮るの?」、PVを撮りますって言われても「え? なんで撮るの?」って(笑)。

KUMI 「写真、嫌なんですけど」って(笑)。

NAOKI 何1つすんなり受け入れることなく、いちいちレコード会社の人と話し合いになるっていう(笑)。「音楽に映像はいらないと思う」とか、何十年も前のアーティストが言いそうなことまで言い出して。

KUMI ホント、無知だったの(笑)。

──でも、そうやって1つひとつのことを検証しながらやってきたっていうのは、この15年の歩みを思うと、結果的にはよかったんでしょうね。

NAOKI 何事においてもちゃんと理由を聞いて、「じゃあ、必要なら」って。そうやってずっとやってきたよね。

KUMI 今はプロモーションの意味だとか、その大切さとかもよくわかる(笑)。

20代は家とスタジオとオフィスを行き来する日々

──NAOKIさんはKUMIさんよりちょっと年上ですし、デビューから数年のLOVE PSYCHEDELICOを取り巻いていた喧騒も冷静に受け止めていた感じですか?

11thシングル「Aha!(All We Want)」のカップリング「Help !」のアーティスト写真(2006年発売)。

NAOKI いやいやいや、全然。数字のことを気にするようになったのも、ほかのバンドを自分がプロデュースするようになってからですしね。そういうときは、プロジェクトを任された責任があるから。正直、デビュー当時はことの重大さやありがたさもよくわかってなかったし、だからその喜びを味わうこともできなかった。20代の頃は、自分の家とスタジオと所属事務所のオフィスをグルグル回って、「次の作品はどうしよう?」って必死に考えながら音楽を作っているだけだったから。当時の自分にとっては、10万枚だろうが、100万枚だろうが、200万枚だろうが、「人生で初めてのヒット」という意味では変わらないんですよ。

──なるほど。そういうものかもしれないですね。

NAOKI 自分にとって1stアルバムのヒットっていうのは、“to be continued”のサインが出たってだけなんですね。「あ、続けることができるんだ」って。1stアルバムを出してすぐに2ndの準備に入っていったし。

ベストアルバム「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I & II」 / 2015年2月18日発売 / Victor Entertainment
ベストアルバム2枚組+ライブ盤CD 「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST SPECIAL BOX」 [CD3枚組] 5400円 / VIZL-795
ベストアルバム「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I」[CD] 2700円 / VICL-64273
ベストアルバム「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST II」[CD] 2700円 / VICL-64274
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I 収録曲
  1. Freedom
  2. Your Song
  3. Beautiful World
  4. Free World
  5. Shining On
  6. It's You
  7. Standing Bird
  8. all over love
  9. This way
  10. Help!
  11. Happy birthday
  12. My last fight
  13. life goes on
  14. Aha!(All We Want)
  15. These days
  16. 裸の王様
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST II 収録曲
  1. Everybody needs somebody
  2. LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~
  3. Last Smile
  4. Good times, bad times
  5. Abbot Kinney
  6. Shadow behind
  7. Dry Town ~Theme of Zero~
  8. No Reason
  9. fantastic world
  10. Carnation
  11. I will be with you
  12. I saw you in the rainbow
  13. waltz
  14. Beautiful days
  15. I am waiting for you
  16. Happy Xmas
SPECIAL BOX 内容
  • 「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I」
  • 「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST II」
  • 「LOVE PSYCHEDELICO OFFICIAL GUIDE BOOK」
  • 「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST LIVE SELECTION」
    (「Your Song」「Free World」「Abbot Kinney」「It's Ok, I'm Alright」「No Reason」「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」)
LOVE PSYCHEDELICO(ラブサイケデリコ)

LOVE PSYCHEDELICO

1997年に結成された、KUMI(Vo, G)とNAOKI(G, B, Key)によるロックデュオ。2000年4月にシングル「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」でデビューを果たし、流暢な英語と日本語とが行き交うKUMIのボーカルスタイルや、洋楽を彷彿とさせる楽曲がシーンに衝撃を与える。その魅力は瞬く間にリスナーに広がり、2001年発売の1stアルバム「THE GREATEST HITS」は200万枚を超えるメガヒットを記録する。その後も数々の名曲やヒットアルバムを作り続ける一方で、2004年には初のアジアツアーを開催し、2008年にはアルバム「THIS IS LOVE PSYCHEDELICO」でアメリカデビューを果たすなど海外での活動も展開している。2010年1月に自分たちのルーツをコンセプトにした5thアルバム「ABBOT KINNEY」を発表。それから約3年後の2013年4月に6thアルバム「IN THIS BEAUTIFUL WORLD」を完成させた。2015年2月にデビュー15周年を記念して「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I」と「LOVE PSYCHEDELICO THE BEST II」というベスト盤2枚を同時リリース。5月から7月にかけてベスト盤を携えての全国ツアーを実施する。