ナタリー PowerPush - LOVE LOVE LOVE
インド渡航が生んだ初フルアルバム 新作「KYOTOKYO」が示すバンドの行方
ヒット曲はたくさんの人とつながっている
──今LOVE LOVE LOVEはJ-POPの名曲のカバー企画も展開していますよね。これまでに「TRUE LOVE」「強い気持ち・強い愛」「Love Somebody」という90年代の名曲に挑戦されてますけど、どうしてカバーを始めようと?
寺井 ネタ作りというのもあるんですけど、J-POPの名曲を改めて見つめて、研究しようというところがきっかけでした。それを売りだした人は、どんな作り方、どんな歌詞の書き方をしていたんだろう?って。しかもLOVE LOVE LOVEは1年間、人から見られるタイプの活動をまったくしていなかったので、こちらから何かを仕掛けて盛り上げることをしなければリスナーが僕らのほうに向かないだろうと考えたんです。その2つの面を考えてカバープロジェクトをスタートさせました。
──誰かの曲をカバーするっていうことは、曲を再構築するということですよね。これらの曲って、90年代にヒットしただけじゃなくて、今も風化せずに残っていると思うんです。そういう意味では、LOVE LOVE LOVEというバンドもそういう曲を作りたいという目標があると感じたんですが、実際にカバーしてみて気付いたことはありましたか?
寺井 カバー自体が初めてだったんで、まだまだ研究段階ではありますね。でも、やっぱりコード進行が素晴らしい! 歌に導かれるようにコードがあるなっていう気がしました。あとは歌詞の構成力ですね。メロディがキャッチーなところにちゃんとグッとくる言葉が乗っている。「なんで、こんなに口ずさめるんやろ?」っていうか。来るべきところに言葉とメロディがある気がします。だから浸透するんだなって。
──LOVE LOVE LOVEというバンドで追求していくテーマもそこなのでは?
浦山 そうですね。インドから帰ってきて思ったのは、僕たちが聴いてもらう人たちに、どれだけつながっていけるか、ということだったんです。J-POPのヒット曲ってめちゃくちゃたくさんの人とつながっている。いろんな人の思い出とつながって、その人の中に残っていく。僕たちもそういう曲を作りたい、その人の人生の1ページに残るような曲を作っていきたいなって。
──「旅に出よう」はそういう曲になる可能性があると思いますよ。
寺井 そう願ってます。
「面白い!」って思われたい
──ここから先、バンドとしてどう進化していきたいと思っていますか?
寺井 あまりジャンルというのは気にしていなくて、良い歌を作る、良い曲を良い声と良い歌詞で伝える。それが一番やりたいことなんです。今年僕らがやりたいことというのは、どれだけ気持ちを歌や演奏に乗せられるかということ。そこをハッキリさせた上で音楽を作っていきたいですね。
──なるほど。ところで「Love Somebody」のカバーでボビー・オロゴンさんとコラボレーションされていますよね。しかもビデオクリップがかなり面白いという話を聞いたんですけれど。
澤本 ええ。かなり面白い仕上がりになってると思います。しかも今回僕ら初めて演技をしたんですよ。
浦山 なんでこういうビデオクリップを作ったかっていうと、やっぱり注目されたいからなんです。みんなと接点を持ちたい。カバーをやっている理由も「LOVE LOVE LOVE、面白いなあ!」って思われたいからなんです。だからただバカをやってるんじゃなくて、すべて意図的にやってることで。「Love Somebody」の曲を選んだのもそうだし、やるならキッカケ作りとしてビデオクリップも面白いものにしたい。それを観た上で僕らに興味を持ってもらったらアルバムも聴いてもらって、そこでどう判断されるかで勝負したいんです。
──ビデオクリップって大事ですよね。それこそOK GOなんか、YouTubeで公開した低予算のビデオクリップをきっかけに世界的にブレイクしたわけだから。
浦山 まさに、ああいうビデオクリップは僕らのしたいことに近いんですよ。いろんな人に「こいつら面白い!」って思われたいんですよね。確信的にそういうことをやっていきたいんです。いくら良い音楽を作っても、今の世の中は入ってくる情報がハンパなく多い。そこでいかに聴いてもらうかっていう作業をするのも、僕らの役目だと思ってます。
LOVE LOVE LOVE(らぶらぶらぶ)
寺井孝太(Vo, B)、浦山恭介(G)、澤本康平(Dr)による3ピースバンド。2003年に滋賀県立大学の音楽サークルで出会いバンド結成。2004年より京都を中心に活動を始め、2008年から拠点を東京に移し全国的な活動を開始。2008年9月に発表したミニアルバム「ターコイズ」がインディーズシーンで話題を集める。 その後もライブハウスやフェスなどの出演を重ね、2009年5月27日にミニアルバム「ソライロノオト」でSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビュー。2010年1月にはミニアルバム「空想パドル」、2月に1stシングル「プラネタリウム」をリリースする。同年秋、新たな音楽を求めてメンバーそれぞれインドに渡航。1カ月にわたる旅を経て新曲「旅に出よう」他、数10曲を制作。同年12月に限定シングルとして発表し即完。ポップなサウンドとみずみずしい世界観、安定感のあるライブパフォーマンスが高く評価されている。