ナタリー PowerPush - 黒木メイサ
緊急特集! 黒木メイサ、J-POP規格外の超痛快作「ATTITUDE」
舞台、映画、TVを問わず女優として、また世界の一流ブランドも一目置くモデルとして、2009年は音楽活動も開始して歌手としても……海外ではそのような活動をするアーティストは何名か思い浮かぶが、日本ではかなり特異な存在であることは間違いない。ちょっと考えてもとても身体が1つで足りるスケジュールだとは思えない中、涼しいルックスも手伝ってか、傍からは何事もなくこなしているように見え、カッコよく映る。しかし一見COOLに見える彼女が、その1つ1つの物事に対して本気であり真摯であることに驚かされるし、その本質的な部分が多くを語らなくても、彼女の身体をとおし、声をとおし、魂としてリアルに伝わっていく。決してCOOLな人ではないのだ。奥ゆかしくて、照れ屋で、チャーミングで、実は誰よりも情に厚く、あたたかく、熱い人なのだ。脇目を振らず日々、全力で、一生懸命、最善を尽くす!! そのことがオーラとして周りに確実に伝わっているからこそ彼女は魅力的で、言葉で語らずとも説得力をもって伝わっている。
音そのものに話を移そう。ここに並べられたインタールード3曲を含む全9曲のトラックは、すべてにおいて現在のJ-POPシーンとは一線を画すものになっている。かといって何かの模倣では決してないオリジナリティに富んだ楽曲群だ。世界のトレンドを充分に意識しながらもポピュラーミュージックとして世界のどこへ出しても恥ずかしくないクオリティとオリジナリティを有している。音に対しては新進気鋭のプロデューサーU-Key zoneの力が如何なく発揮されている。
R&Bを基調にしながら深いクラシックの造詣から(インタールードの彼のピアノ演奏はクラシックの演奏家も唸らせるレベル)発せられる、まるでオーケストラを配置していくような緻密に多くの音が効果的に絡み合っていくトラック。通常のR&Bとは少々雰囲気の違う、すべてのパートが主旋律として成り立つラインで構成されるコーラス感。独自の感性を感じさせるメロディ&譜割。日本で売れる売れないの感覚を取り払って、ブレーキ無しに作りたいものを作っている感じが痛快だ。また新進気鋭のライター、作詞のMOMO“mocha”N.のセンスも計り知れない。メロディの譜割に対して日本語をはめていく感覚には、新しい世代感とともに彼女独特のオリジナルなセンスが爆発している。さらに語感、ヒップホップ的な韻を踏みながら、まるで黒木メイサに乗り移ったかのようなメッセージ性と繊細な感情表現がすべて成り立っていることには驚愕させられる。黒木メイサが売れっ子作家ではなくこれからの才能を抜擢してこの未知のレベルをたたき出していることにも、彼女の“ATTITUDE”が表れている。
そしてこのアルバム「ATTITUDE」はまさに黒木メイサのメッセージそのものだ。COOLに見えるが、その実奥ゆかしくて、照れ屋で、少し天邪鬼な彼女の、熱く、あたたかく、強く、情け深い、エールでありメッセージなのだ。そのエール、メッセージは彼女自身にも向いているし、今を生きるすべての人々に向けられている。決して生きやすい時代とは言えない、世知辛い世の中だけど、主体的に変えていかなければ変わっていかない、人生も開かない。人は孤独のようで皆つながっている。私が“ATTITUDE”(態度)で示す、私と共に歩こう、というメッセージなのだ。さらに言えばそれが安易な共感系の楽曲、泣き歌系のナンバーではなく、完全な黒木メイサのオリジナリティあるぶっ飛んだ音楽の上で、かっ飛んだ強い言葉で表現されていることが、また彼女の“ATTITUDE”なのだ。
最後に彼女本人の言葉で締めくくりたい。
21歳でこの単純なメッセージにこれだけの説得力を持たせられる人をあまり知らない。
彼女の“ATTITUDE”はすべての事象に一貫している。
人生っていろいろあるけれど…
つらい事があるから、苦しい事があるから
嬉しさ、楽しさ、愛を感じられるんだと思うの。
もし、今辛い思いをしているなら
後は楽しい事が待ってるはず。いや…
楽しい事を自分の手で掴みにいかなきゃ。
私は辛い時そう思うようにしている。
孤独を感じても、人間、
絶対に1人じゃないからね。偉そうな事言ってごめんね。
BBS,全部、全部読んでるよ。
いつもありがとう。(本人BLOGより)
CD収録曲
- ATTITUDE (Intro)
- Are ya ready?
- Kind of Guy
- #1
- No Restriction (Interlude)
- Late Show
- Stand Up!
- Before Dawn (Interlude)
- Awakening
初回盤DVD収録内容
- 「Are ya ready?」プロモーションビデオ