KICK THE CAN CREW|それぞれのソロインタビューで浮き彫りにする 完全復活までの道程

MCU

3人だけでやっていたのがよかったのかな

──結成20年というグッドタイミングで完全復活が実現しました。

MCU

ありがとうございます。以前からちょいちょいと「やれば?」みたいなことは言われていたんですけど「タカオニ / カンケリ」から数えて今年で20年と言うことで。だからメジャーデビューから数えたら20年ではないんだけど、「(むしろ)そのタイミングがいいね」ということになって。

──そこから集まって楽曲制作を?

2016年の1月から3人で集まり出して。最初はリリースする、しないとかあまり頭になくて、とりあえずまだ時間はあるから、1カ月に1曲ずつくらい作っていこうみたいな話になって。だから「よしやるぞ!」みたいな感じではなく、いい意味で楽なスタンスから始まったし、最後までそういう感じで完成を迎えたと言うか。レーベルやマネジメントのスタッフもいなくて、本当に3人だけでやっていたのがよかったのかな。いい環境の中で作れたと思いますね。まだできあがったばかりなんだけど、できたてホヤホヤ感というよりも、最初のほうに作った曲とかけっこう愛着があったりしますね。

──アルバム中で最初に手を付けた曲と言うのは?

9曲目の「I Hope You Miss Me a Little」ですね。この曲も「帰ってきたぞ!」という感じよりはユルい曲ですよね。それも功を奏したのかな。で、次に手を付けたのが「千%」だったんです。

──それで言うとアルバム1曲目の「全員集合」は?

確か、最後から2番目くらいだったかな?

──アルバムを聴いて、全体がとても緻密に作られているなあという印象を受けました。

そうですね、しっかりと作り込みました。いい意味であまり隙がないんじゃないかな? 1曲1曲しっかりしたものができたと言うか。すごくいいアルバムになったと思っています。

──エッジーな面にポップな面と、KICKにはさまざまな表情がありますが、このアルバムからは特に3MCのだいご味であり、この3人で集まると生まれるカッコよさと楽しさが強く感じられます。

まさしくそう思います。でもそこは自然と出たんじゃないかな。テーマもサビも3人で考えて、真剣に詰めてはいるんですけど、もう本当にくだらない会話も交えつつ、楽しい空気の中で作っていけたので、そういういい感じが音に表れているんじゃないかと思う。

──それぞれの曲に各々のヴァースがありますが、改めて、3人で作る場合のプロセスというのは?

まず3人で集まって曲のテーマを決めて、それをきっちりというよりはある程度大雑把に詰めておく。その日はそれを持ち帰って、期日までに歌詞を書いて送り合って、各々のヴァースができあがってレコーディングになる。そこで各々のヴァースを録ってから、みんなでサビを考えるという感じかな。

──そうしたプロセスというのは以前の活動時と同じ?

基本的には同じです。でも今回は以前よりより強くなったという感じはあったかな。プロセスやスタイルは変わってなくても、一緒にやるうえでの雰囲気と言うか空気というのがね。それも3人だけで集まって作ったことが、うまく作用したような気がします。

──ちなみにヴァースを持ち寄る期日というのは、3人ともきちんと守るんですか?

ああ、そこは3人とも昔から守りますね。遅れたこととか、ほとんどないんじゃないかな。

──「KICK!」というタイトルからも「これが今の3人だ」という姿勢が表れていますね。

それはけっこうみんなで話し合いました。2時間とか話してたんじゃないかな。スタッフからもいろんな案が出てきた中で、最終的にやっぱりシンプル・イズ・ベストじゃないけど、自分らの思いそのままの「KICK!」でいいんじゃないかということになって。でも結果的にいいタイトルだったと思いますよ。誰とは言いませんけど「オーバーヘッドキック」とか出した某スタッフもいましたね。「オーバー~」も嫌いじゃないけどおかしすぎるでしょう?と却下しましたけど(笑)。

改めて「特別な場所なんだな」

──今回は14年ぶりの本格的なアルバムですが、とは言え3人はこれまでも限定的にステージで集まっていたし、UL(MCUとLITTLEのユニット)はKREVAさんがプロデュースしていました。つまり関係性に長いブランクがあったわけではないんですが、それでも改めてKICKとして作業を共にして、LITTLEとKREVAさんに対して感じた変化などはありましたか?

そうだなあ……大きくは変わってないと思います。身構えることも特になかったし、確かにULもあったからレコーディングも一緒にしていたし……強いて言えば、2人共余裕があると言うか、懐がデカくなったかな。大人になったんでしょうかね。

──ではご自身についてはどうですか?

俺? どうだろうなあ……やっぱり大きくは変わっていないと思う。「何しよう?」「どうしよう?」とあくせく考えるというよりも、とにかく3人でワイワイとやりたい、みたいな感じ。ふざけるとかだらけるという意味ではなくてね。

──改めて本格的に再始動したKICKというのは、現時点でMCUさんにとって、どのような場所だと感じられますか?

そうですねえ……以前とまったく変わらないわけではないけれど、身構えるわけでもないし……でも改めて「特別な場所なんだな」とは感じましたね。

──それを言葉で表すとしたら?

うーん、基本ですかね。自分にとっての基本。

──アルバムの中で、曲として気に入っているとか、3MCの気持ちよさとか、ご自身のヴァースとか、個人的な推し曲を1つ挙げていただけますか。

「SummerSpot」かな。もちろん“らしさ”は全部の曲にちゃんとあるんだけど、やっぱり何か一番“らしい”かなって。歌詞を乗せる前にトラックだけ聴いたときから好きだったし、静けさがあってサビで急にアガる感じも好きですね。鬼のようなラップの掛け合いにも一番KICK THE CAN CREWっぽさが出ていると言うか。ここまで3人でガチガチ掛け合いする曲もなかなかないし。今の段階ではまだライブでやったことがないんで、それが今すごく怖いんですけどね(笑)。

──それこそ9月7日には武道館で「KICK THE CAN CREW『復活祭』」があって、その後は年内いっぱい全国7都市を回るツアーも控えていますが。

それは楽しみです。でもやっぱりまだ怖い。「SummerSpot」とか、1人ズレるとヤバイことになりますから(笑)。楽しみたいけど、すごく集中もしなきゃいけない。今はそういう緊張感や怖さの中にいますね。

MCU
KICK THE CAN CREW「KICK!」
2017年8月30日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
KICK THE CAN CREW「KICK!」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
4320円 / VIZL-1228

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KICK THE CAN CREW「KICK!」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / VICL-64834

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CD収録曲
  1. 全員集合
  2. 千%
  3. 今もSing-along
  4. SummerSpot
  5. なんでもないDays
  6. 完全チェンジTHEワールド
  7. また戻っておいで
  8. また波を見てる
  9. I Hope You Miss Me a Little
  10. タコアゲ
初回限定盤DVD収録内容
  1. 千%(Music Video)
  2. SummerSpot(Music Video)
  3. 千%(Making)
  4. SummerSpot(Making)

ライブ情報

KICK THE CAN CREW「復活祭」

2017年9月7日(木)東京都 日本武道館

<出演者> KICK THE CAN CREW / いとうせいこう / 倖田來未 / 藤井隆 / RHYMESTER

KICK THE CAN CREW CONCERT TOUR 2017
  • 2017年12月1日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2017年12月3日(日)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
  • 2017年12月10日(日)北海道 Zepp Sapporo
  • 2017年12月16日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2017年12月17日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2017年12月21日(木)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2017年12月24日(日)福岡県 福岡サンパレス
KICK THE CAN CREW(キックザカンクルー)
KICK THE CAN CREW
それぞれソロで活動していたKREVA、LITTLE、MCUが集まり1997年に結成。同年にシングル「タカオニ / カンケリ」でインディーズデビューし、2001年5月にシングル「スーパーオリジナル」でメジャーデビューを飾る。山下達郎の「クリスマス・イブ」をサンプリングした「クリスマス・イブRap」でブレイクを果たしたのち、「マルシェ」「アンバランス」「イツナロウバ」などヒットを飛ばす。2002年12月には「第53回NHK紅白歌合戦」に出場し、「マルシェ」をパフォーマンスした。人気絶頂の2004年に活動休止を発表し、それぞれソロに転向。しかしメンバー間の交流は途絶えることなく、KREVAのライブにLITTLEとMCUが参加したり、KREVAがLITTLEとMCUのユニットULをプロデュースするなど音楽活動を共にする。2014年にKICK THE CAN CREW名義で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」に出演。その後も不定期でKICK THE CAN CREWとしてライブを行い、2017年8月に14年ぶりのオリジナルアルバム「KICK!」を発表した。

2017年9月7日更新