ナタリー PowerPush - THE イナズマ戦隊
デビュー8年目のイナ戦が放つまっすぐな自信作「未来の地図」
失敗するときは4人で失敗する、成功するときも4人で成功する
──アルバム全体ではアレンジに起伏があって遊び心も多いですよね。
久保 今回自分らで全部セルフプロデュースっていう形でやってるし、とがった部分もいい意味できれいに形を整えないっていうか、とがってかっこいいと思ったまんまやっちゃおうっていうのが出てるんで、すごいいいと思います。
──レーベルやスタッフが変わったりしても、4人の状態はデビュー以来変わってない?
上中 変わってないよなぁ。僕が思うイナズマ戦隊がいちばんあかんところは、ちょっと仲良すぎんのかな、ってとこくらい。だからもしかすると、なんとかなるよな、で行っちゃうところがあるのかもしれん。なんともならんって赤紙貼られても、いやいやいや、まぁまぁまぁ、ってところがあるのかもわからへん。でもそれはライブの音とかに出ると思うんですよ。なんかギスギスしてる感覚をうまいこと伝えるバンドは世界中で1個か2個くらいしかない。それ(=メンバーの関係性)はグルーヴとして出るから。失敗するときは4人で失敗する、成功するときも4人で成功するって感じだよね?
全員 うん。
1つのことしかできへんバンドの、その1つを見たい人が増えてる
──大阪出身で北海道で結成されて、なのにツアースケジュールを見ると福岡ばかりが優遇されていますよね。
上中 福岡は野外フェスに一発出てからすごい人気があるんですよ。やっぱなんか西には受けやすいっていう。
──東京を差別してません?(笑)
全員 いやいやいや、そんなことは。
上中 東京でウケるにはどうしたらいいんですかね。わからへんのですよ。今思うのは、東京の音楽好きの人って、1しかできへんバンドのその1を見たいんやな、ということなんですよ。でも今まではその1しかできへんイナズマ戦隊が10できるような感じでやってたというか、そうやらなあかんっていう気持ちでおったのが、まぁ反省点かもしれないですね。今なんか特に、1つのことしかできへん、その1つを見たい人が増えてるんじゃないかと僕は思ってて。だから今回こういうアルバム、俺らはこれしかできへんから、っていうのを作ったっていうのはありますね。今考えると。いいほうには向いてるんじゃないですかね、自分らの気持ちは。
久保 ライブを観に来てくれた人には間違いなく伝えられると思うんで。イナズマ戦隊って名前は聞いたことあるけどまだ観たことないな、って人に見せる機会を作っていきたいですね。
──アルバムはライブに来てもらうためのツール。
上中 そうですね。もう本当に。そうです。そればっかりも言ってられへんとも言ってたんですけど、そればっかりです。ライブしかないんで、ライブに来てもらわんと、ですね。かっこええな、感動するな、なんかもうたまらんな、みたいにいろんな感情に「かっこええ」が広がればいいと思います。かっこよくない? マジやばくない? って言われたいですね(笑)。
──かわいいと言われるのは好きじゃない?(笑)
上中 かわいい……言われちゃうかもねぇ(笑)。こういうことしかできない男です、っていうのがかわいいって言われちゃうかも。
久保 不器用でかわいい。それを自分で言ったらダメ(笑)。
上中 久保さんはかわいいって思われたいんよね?
久保 思われたいです!
THE イナズマ戦隊(ざいなずませんたい)
歌心あふれるメロディと力強いバンドサウンドが魅力の4人組ロックバンド。1997年に札幌で結成され、2002年8月にインディーズからミニアルバム「THE イナズマ戦隊」を発表。2003年2月にシングル「月に吠えろ」でメジャーデビューする。リリースに連動して年間100本を超えるライブツアーを敢行し話題を集める。また福岡の「HIGHER GROUND」などの大型フェスにも出演し、毎回好評を博す。2010年にSony Music Artistsが新たに立ち上げたSMALLER RECORDINGSに移籍し、通算7枚目となるアルバム「未来の地図」をリリース。