ナタリー PowerPush - hy4_4yh
アイドル界のふなっしー!? 第2章がスタート
インドネシアの高速ダンスミュージック、ファンコットを取り入れた楽曲「ティッケー大作戦!~YAVAY」が話題を呼び、結成8年にして勢いに乗り始めたhy4_4yh。彼女たちのミニアルバム「STAR☆TING」は「YDM(YAVAY DANCE MUSIC)」をテーマに、ファンコットのみならずさまざまな“ヤバイ”ダンスミュージックに挑んだ意欲作だ。
今回の特集では、ファンコット導入以降の彼女たちを取り巻く状況や、それまでの長い下積み時代などについて話を聞くべく、メンバー3人に取材をオファー。しかし当日姿を現したのはユカリン、チャンユミの2人だけだった。
取材・文 / 橋本尚平
サダチちゃんはサポートメンバーになりました
──あれ? 今日はサダチさんは来ていないんですか?
チャンユミ サダチちゃんはサポートメンバーになっちゃいました(笑)。これからは「DJサダチ」になります。
ユカリン そうなんですよー。すみませーん。
チャンユミ 首がヘルニアになってしまって、もう歌って踊れないんです。
ユカリン だから取材とかは今後2人でやっていきます。
チャンユミ まあ、どうせしゃべらないんで。いてもいなくてもおんなじです(笑)。
ユカリン そうなんですよ! ホントに意味ない!
──大変そうですね、ヘルニアって。
ユカリン たぶん「YAVAY! YAVAY!」ってやりすぎちゃったんでしょうね。
チャンユミ 「ヤバイヤバイヤババババババ……」って歌ってたら自分の首ヤバくなっちゃって(笑)。無理が祟っちゃったみたいです。
ユカリン ファンコットってとにかくはえーんすよ。BPM200ぐらいあったりして。人の首を壊してしまうBPM(笑)。サダチはもともと首が弱かったみたいだしね。
チャンユミ もとから悪かったうえに、ファンコットで踊りがハードになったらとどめを刺しちゃったみたいで(笑)。なので「DJコルセット」として生まれ変わりました。
ユカリン はい。アメリカから来たDJです。
チャンユミ ニューヨーク出身です。首にコルセット巻いてます。
ジャッキー・チェンとブルース・リー
──hy4_4yhはキャリアが長いですけど、ファンコットを楽曲に取り入れ始めてからのこの1年って、その中でも激動だったんじゃないですか?
チャンユミ 激動でした(笑)。
ユカリン それまでの年月より、2013年の1年間が勝ちましたね。濃かったです。
──ファンの皆さんの反応はどうでした?
チャンユミ なんか賛否両論だったね。「昔の感じが好き」って人もやっぱりいるんで、ちょっと戸惑った方もいたみたいで。でも「たくさんの人に観てもらうには、ファンコットを武器にするしかねえんだ」っていう思いでやってました。実際ライブでやったら盛り上がるし。ものすごい兵器を手に入れたぞ!って思ったんですよ。
ユカリン そう。超武装したみたいな感じ。ファンコットは「とにかくブチ上げる」ってことだけを目的としてる音楽なんですけど、自分たちももともと「とにかくブチ上げたい。お客さんと一緒に楽しみたい」ってことばかり考えてたのでガッチリはまって。速い音楽って無条件にアガるから、自分たちにぴったりだったんですよ。
──アイドルの曲を褒めるときに「もはや単なるアイドルソングではない」みたいなことを言う人はよくいますが、hy4_4yhのファンコットはオリジナルすぎて、もうそういう問題じゃなくなっているというか(笑)。
チャンユミ うん。「よくわかんないけどすっげーヤバくね?」って感じ(笑)。「考えるな、感じろ」の精神でやってるんですよ。これ言ったのってジャッキー・チェンでしたっけ?
──ブルース・リーですよ。hy4_4yhは「U☆CHU」のジャケでブルース・リーのコスプレしてたじゃないですか(笑)。
ユカリン あれブルース・リーかよ! ちょっとジャッキー・チェンと似てるから、わかんなくなっちゃうね。
チャンユミ だからわかんなくていいんです(笑)。とにかく「なんかすげー!」って思ってもらえれば。
ユカリン そう。「なんかヤバイね」って表現があるじゃないですか。かわいいとかカッコいいとか、気持ちいい、美味しい、楽しいとかあるけど、それでは言い表せないほど突き抜けたときに「ヤバイ」って言っちゃう、みたいな。なんかそういう感じで、説明ができない「ヤバイ」感じでいたいです。
バイキングってテンション上がるじゃないですか
──で、今回そんな「ヤバイ」アルバムができたということで。
チャンユミ できちゃいやしたねー(笑)。
ユカリン そうなんですよ。そんなに知られてないけどすごいカッコいい、ヤバイダンスミュージックをガッと集めたアルバムになってます。ガバとか、グリッチホップとか。
チャンユミ 「YAVAY」(「ティッケー大作戦!~YAVAY」)をリリースして以来、初めてファンコット以外にも手を出しました。
ユカリン ちょっとファンコットで話題になって味しめちゃったんで、ほかにもいろいろ試すかな、みたいな(笑)。
──「YAVAY」以降は新曲がファンコットなだけでなく、昔の曲もファンコットにアレンジしなおしていたので、今回のアルバムはその集大成みたいな内容になるんじゃないかと思ってたんです。でも全然そうならなかったんですね。
チャンユミ いろんなことに手を出していきたいんです。俺らロッケンローも好きなんで、それもいずれはやりたいし。
ユカリン なんか、バイキングみたいなもんなんですよ。hy4_4yhって。
チャンユミ 和洋折衷のね。
ユカリン そう。和洋折衷なんでもあるバイキング。味では中華街にある中華料理には勝てないし、超高級お寿司屋さんにあるお寿司にも勝てないけど、バイキングって全部並んでるからとにかくテンション上がるじゃないですか。俺らも品数で勝負なんですよ!
チャンユミ 引き出しいっぱいありやす(笑)。
ユカリン 抜きん出た何かは持ってなくても、いろんなことをやって、全部のクオリティをある程度の水準まで上げてやったら、俺ら勝てんじゃね?みたいな。
──それはそれで大変な道のりをたどることになりそうですけどね。
ユカリン 人と一緒のことをやるのが昔からずっと嫌で、とにかく人のやってないことをしてきたんです。例えば今だったらSNSとか、みんなやってるからあえてやりたくないとか。まあ、大人からいろいろ言われることもありますけど、自分たちがいいと思うものをちゃんと持っていきたいですね。
収録曲
- hi-Tunes~YAVAY PARTY ANTHEM(ALBUM ver.)
- star☆ting~スターと誕生
- カムカムソング
- ハイパーヨーヨのスピード狂時代 2014
- 24-31-01
- YAVAY!(輸出ver.)
- hi-Tunes~ YAVAY PARTY ANTHEM(FUNKOT ver.)
hy4_4yh(はいぱーよーよ)
女性だけのミュージカルチーム・東京メッツが解散した2005年に、その所属メンバーを中心に5人組ユニットYO_OY(ヨーヨ)として結成。メンバー脱退で4人になったことを機にhy4_4yhと改名する。現在はユカリン、チャンユミ、サポートメンバー・DJサダチの3人で活動。吉田豪が監修した2011年発売のコンピレーションアルバム「ライブアイドル入門」に収録されたことから注目を集め、HMVから強いバックアップを受けるようになる。2012年にはTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の公認ソング「TAMA FREE!」を発表。翌2013年にはDJ JET BARONこと高野政所(レオパルドン)が編曲を手がけたシングル「ティッケー大作戦!~YAVAY / HYPER TICKEEE QUEENの歌」をリリースし、インドネシアで独自進化した高速レイブミュージック、ファンコットを導入したハイテンションなサウンドが一躍話題になった。その後、彼女たちは「世界にYAVAYを発信するティッケーアイドル」として快進撃。2014年1月にはガバ、グリッチホップ、チップチューンなどさまざまなダンスミュージックを取り入れたミニアルバム「STAR☆TING」をリリースした。