毎回新しい挑戦がある

──アルバムのサウンド面でいうと、今回はバンドサウンドを前面に押し出した楽曲も多いですよね。たとえば「少年」にはハードロックのテイストがあったり。

名嘉　「Street Story」ぶりじゃないかな、こういう風にロック色が表に出ているというのは。あの若い頃の音楽がもう一度自然に出てきたのかな。

──原点回帰的なイメージはありました？

名嘉　もともとハードな曲は好きだしね。

新里　昔からやってみたいというのはあったし、これまでの経験があったからこそ、今回こういう歌詞や曲調になったと思う。ハードな曲でももっとグルーヴを活かして、がっつりした曲にしたいなって思ったし。

名嘉　毎回すごく新鮮ですよ。またこれか！っていうのがないんで。自分たちは全員が作詞作曲できるし、誰かが作ってきた曲の世界観に入るために、毎回新しい挑戦ができる。だから曲調はどんどん広がっていっていいと思いますね。もう最後はギターも何もなくて、5人でジャンベを叩いててもいいかもしれない（笑）。

新里　自分たちでもわからないですからね。どういう風に自分たちの音楽が広がって、どういうジャンルが生まれてくるのかは。

英之の優しさがHYのサウンドの核になっている

──では改めて、メンバーそれぞれがHYというバンドにどういうものをもたらしていると思うか教えていただけますか？

名嘉　（新里）英之はHYの音楽に優しさを注入してくれますね。

仲宗根　本当に優しい男なんですよ。これは10年間ずっと変わらないよね。バファリンのように（笑）。英之は自分に厳しくて、人に優しいんですよ。そこが曲にも表れていて。英之の歌詞は自分に負けるなとか、自分に対して言っていることが多いんですね。そういうのは人柄というか性格で、優しさが溢れでてるんじゃないかな。その優しさが、「HYの音楽ってなんか優しいよね」って言われるサウンドの核になっているのかな。

名嘉　泉は、確実にHYのサウンドに変化をもたらしてくれますね。

仲宗根　そうそう。英之がせっかく優しくしてるのに、泉はトゲですから（笑）。

名嘉　でも、その痛々しい恋愛とか、失恋で痛みを背負う感覚も、誰かを代弁してきているので。だから泉を支持している女性も多いと思うんです。で、（宮里）悠平はHYにアコースティックサウンドを取り入れてきますし。

仲宗根　悠ちゃんはおしゃれなコードを持ってくるから、曲が煮詰まったときに相談するとおしゃれな曲にすることができる。あと、自分の意見をあまり言わないんですよ。人の意見をすごく尊重してくれるので、すごくやりやすい。（名嘉）俊はそういう意味ではサッパリしてるんだよね。

名嘉　そうかも（笑）。それから（許田）信介は今、作詞作曲にチャレンジしてるんですよ。今回のアルバムには入らないんですけれど、初めて書いたわりにはクサかったですね（笑）。

仲宗根　今までずっと歌詞を書いてきたってくらいうまい歌詞で。これはみんなで喜んだよね。