音楽ナタリー Power Push - 秦基博

ツアーメンバーと語る「スミレ」と音楽家としての魅力

ライブの日に集まって作った「スミレ」

──では、ニューシングル「スミレ」について聞かせてください。ポップなメロディと緻密なサウンドメイクが共存した楽曲ですが、制作時期は「青の光景」のあとなんですか?

秦基博

 アルバムができあがる1カ月くらい前にドラマ側からオファーをいただいて。すごく素敵なお話だったのでやりたいという思いもありつつ、「まだアルバムが完成していなのに、ホントにできるのか?」という不安もありました。

──青をテーマにした「青の光景」とはまったく違ったテイストの楽曲ですよね。

 そうですね。「青の光景」の13曲で、そのときにやりたかったことは全部やったっていう感覚があって。同じ流れで「14曲目を新たに作れ」って言われたらできなかったと思うけど、「スミレ」はそれとは違うところで作った感じだったんですよね。

──皆川さん、鈴木さん、あらきさんは「スミレ」のレコーディングにも参加されてますね。

皆川 はい。最初にデモを聴いたときは「ライブでも盛り上がれそうだな」という印象を受けました。あとはドラマサイドの意向も取り入れながら秦くんと共にハードルを越えていくというか。

 ドラマがミステリー要素のあるラブストーリーで、「ミステリアス」っていうキーワードがあったんです。もともとポップな曲だったので、ミステリアスな要素はストリングスに一任したいと思って、皆川さんに3パターンくらい弦のラインを考えていただいて。

皆川 「ミステリアスってなんだろう?」と話し合いながらね。秦くんから送られてきたデモにも「こんな感じで」というストリングスのラインが入っていて、それも大事なデッサンになりましたね。

鈴木 僕は弦が入ったあとのデモをもらったから、最初ビックリしたんですよ。「対位法まで使って、秦くん、とうとうストリングスのアレンジまで……」って。そこは皆川さんがやったと聞いて、ちょっとホッとしました(笑)。

 ハハハハハ(笑)。さすがに弦のアレンジはできません。

鈴木正人

鈴木 ベースに関していえば、さっきも言ったように「ここはデモの通りにやってほしいんだろうな」「ここは自由に弾いたほうがいいな」というのが明確だったんですよ。アルバムの制作を通して、その感じがさらにわかるようになったというか。

 僕のデモを読み解いてくださるんですよ。もちろん、こちらから相談することもありますけどね。例えば「2番から8ビートに戻したいんだけど、どういうベースのフレーズを入れたらいいですか?」とか。

あらき デモがとてもよくできていたので「生のドラムでこれを超えなくては」というところもありましたけどね。それはいつも意識していることなんですけど。

──秦さんは「あらきさんが叩くとこんな感じになる」と想定してデモを作ってるんですか?

 想定なんてできないですけど、デモを作ってるときに「これはこの人にやってほしい」っていうのがパッと出てくるんです。あとはスケジュールですよね。「スミレ」のときは皆さんのスケジュールが合うのが、僕のライブにゲスト出演する日だけだったんです。朝一でライブのリハーサルに行ってからスタジオでオケを録って、夜ライブに出て、またスタジオに戻って作業して……っていう。大変でしたけど、やっぱりこのメンバーでできてよかったです。

──「青の光景」のインタビュー(参照:秦 基博「青の光景」インタビュー)でも、「夜7時、8時スタートになっても、理想のメンバーでレコーディングしたい」と言ってましたよね。

あらき それは大事なことかもね。

 そうなんですよね。やっぱりミュージシャンの方々からいただくものはすごく大きいので。

──弓木さんは「スミレ」に対してどんな印象を持ってますか?

弓木 すごく好きな曲だし、やっぱり「青の光景」とは違うイメージだなと思いました。今までの秦さんの曲の中でも、あんまりなかったタイプの曲かもなって。

 そうですね。例えばスネアの響きをラウドにしたいと思って、何回も試したりしたし。

あらき そうそう。私は本来、1つのスネアでやっていく感じなんですけど、それでは秦くんのイメージに近付けなくて、いくつか試してみて。

 あと、ストリングスの編成も好きなようにやらせてもらったんです。

皆川 僕が考えていたよりも小さい編成でやりたいって。それが結果的によかったよね。

 スピード感が欲しかったんですよね。エンジニアの方にも「こういう感じで」という参考音源をお渡しして。

皆川 それも大事なことだよね。マイキングで音を作るというのはエンジニアの領域だから、放っておけばその人の方法論で進んでいくんですよ。それは間違いではないけど、「今回はこういう音を作りたい」とイメージを提示することはすごくいいなと思った。

芯が通ったライブを見せられるツアーになる

──今回のツアーは「青の光景」が軸になると思いますが、どんなステージにしたいと思っていますか?

左から皆川真人、あらきゆうこ、秦基博、弓木英梨乃、鈴木正人。

 リハが進んでいく中で、ライブで演奏するそれぞれの楽曲の形は見えてきてるんですけど、あとは「トータルでどんな余韻を残せるか?」というところを考えています。それに対してどんな反応があるのかも楽しみだし。

皆川 秦くんのツアーに参加させてもらうのは3、4回目なんですけど、始まってみるまで様子がわからないことが多いんですよ。なぜならゲネプロがないから。

 今回もないですね。

皆川 映像、照明、舞台セットなどに関しては、本番当日になって初めてわかるっていう(笑)。でも、今回はアルバム(「青の光景」)の世界を表現することが強いコンセプトになっているから、それを武器にして向かっていけば間違いないと思っていて。芯が通ったライブを見せられると思いますね。

あらき 本当にそうだと思います。アルバムのよさが伝わるような演奏をみんなでできたらいいなって。

鈴木 秦くんの長いツアーに参加するのは、実は初めてなんですよ。ライブ自体もそれこそ10年くらい前の……。

 東京と大阪のCLUB QUATTRO(2007年9月開催)ですよね。初めてのワンマンライブ。

鈴木 そうそう。だから、この10年の成長具合を見たいと思います……なんつって(笑)。

弓木 私はもう、「自分にできることはなんだろう?」と考えながら、一生懸命やりたいと思います。全国各地に秦さんのライブを楽しみに待ってる方々がいると思うし、「あの曲のイントロで感動して泣く人もいるだろうな」みたいなことをイメージしてるんですよね。そういうステージを一緒に作れることがすごく幸せだし、光栄なことだなって。いいツアーになるようにがんばります。

 僕もがんばります(笑)。

ニューシングル「スミレ」2016年2月24日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤[CD+DVD]1836円 / AUCL-201~2
通常盤[CD]1300円 / AUCL-203
CD収録曲
  1. スミレ
  2. 野ばら
  3. 季節が笑う(Live at 三内丸山遺跡)
  4. ダイアローグ・モノローグ(Live at 三内丸山遺跡)
  5. トレモロ降る夜(Live at 三内丸山遺跡)
  6. Q & A(Live at 三内丸山遺跡)
  7. スミレ(backing track)
初回限定盤DVD収録内容
  • Sally -みんなでつくるMUSIC VIDEO-
ツアー情報
秦基博「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2016-青の光景-」
  • 2016年3月5日(土)福岡県 福岡サンパレス
  • 2016年3月11日(金)岡山県 岡山シンフォニーホール
  • 2016年3月12日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2016年3月19日(土)秋田県 秋田県民会館
  • 2016年3月30日(水)京都府 ロームシアター京都
  • 2016年4月3日(日)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2016年4月10日(日)香川県 アルファあなぶきホール 大ホール
  • 2016年4月17日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2016年4月24日(日)新潟県 新潟県民会館
  • 2016年4月28日(木)神奈川県 神奈川県民ホール
  • 2016年5月3日(火・祝)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2016年5月11日(水)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
  • 2016年5月18日(水)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年5月19日(木)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年5月26日(木)石川県 本多の森ホール
  • 2016年6月3日(金)東京都 東京国際フォーラム ホールA
  • 2016年6月4日(土)東京都 東京国際フォーラム ホールA
秦基博(ハタモトヒロ)
秦基博

オフィスオーガスタに所属する、1980年生まれ宮崎県出身のシンガーソングライター。横浜を中心に弾き語りでのライブ活動を開始し、2006年11月にシングル「シンクロ」でデビュー。柔らかな声と叙情豊かな詞、耳に残るポップなメロディで大きな注目を浴びる。2007年9月に発表した1stフルアルバム「コントラスト」が支持を集め、2009年3月に初の東京・日本武道館公演を実施。2011年には自身3度目の武道館公演を全編弾き語りで成功させた。2013年10月に自身が選曲したセレクションアルバム「ひとみみぼれ」をリリース。2014年8月発表の3DCGアニメ映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌「ひまわりの約束」は100万ダウンロードを超える大ヒットを記録し、10月発売の弾き語りベスト「evergreen」も今なおロングセールスを続けている。2015年7月に青森県の縄文遺跡群の魅力を伝える「あおもり縄文大使」に任命され、三内丸山遺跡での野外公演で4000人を動員。12月には全曲セルフプロデュースの5thアルバム「青の光景」をリリースした。2016年2月にシングル「スミレ」を発表。3月より3年ぶりとなるバンド編成での全国ツアー「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2016-青の光景-」を開催する。