音楽ナタリー Power Push - GLAY

TERU&逢坂良太が語る「ダイヤのA」と仕事の流儀

野球経験の効果

──野球やソフトボールをやっていたことが、仕事に生かされているところはありますか?

TERU(Vo)

TERU 礼儀と仕事に対する真面目さかなあ。朝練とかあると5:00にはグラウンドの整備を始めて、6:00から先輩の球拾いをして……っていう生活をする中で縦社会の厳しさを学んだというか。礼儀や挨拶も仕込まれましたからね。社会人になっても目上の人には礼儀正しく挨拶をしたり接したりできているのは、野球で培われたものかなと。

逢坂 僕は「ダイヤのA」の現場で存分に野球やソフトボールのプレイ経験が生かされてますね。どういう動きをすればこういう声が出るのかとか、練習を思い出しながらアフレコしてます。例えば投げているシーンではストレートを投げるときの声と、チェンジアップを投げるときの声を変えたり。

TERU へー! 知らなかった。

逢坂 ストレートは全力で「うりゃー!」って感じだけど、チェンジアップは頬を膨らませてプッと息を吐きながら投げたり。

TERU アフレコのときに投げる動きもしてるの?

逢坂 それをやるとマイクから離れちゃうので(笑)、首と上半身を軽く動かしながらですね。

TERU 面白いなあ。ミュージックビデオの撮影に近いかも。MVの撮影って曲に合わせるのが最優先なので基本は口パク、当て振りなんですよね。でも、実際に歌ってるMVと、歌ってないMVってわかるんですよ。だから僕はMVの撮影のときもちゃんと歌うようにしてて。でも最初からそうだったわけじゃなくて、17、8年くらい前にMVを撮ってくれた監督に「ちゃんと歌わないとバレちゃうよ。臨場感出したいならちゃんと歌うのが基本だから」って言われてからなんだけど。

逢坂 そうなんですね。「ダイヤのA」のアフレコは自分の過去の経験も生かせるんですけど、ほかの作品の場合は想像力も大事で。医者の役とかになると、どんなに勉強しても自分の知識ではどうにもならないから。だからその役になりきって、その場に立ったときどんな声を出すだろうって常にイメージしながらやってますね。

TERU 僕もイメージや想像力は大事にしてますね。あとそのイメージをメンバーと共有することかな。今回のシングルに入ってる「Supernova Express 2016」は、実際に僕らが函館から青森にフェリーで行くときに海から見える景色を描いてて、レコーディングのときにTAKUROが「函館の漁港から見えるあの場所」とか伝えてくるんですよ。そういう景色を共有しながら作ってくことも多い。声優さんの場合は絵がイメージの共有材料になるのかな?

逢坂 そうですね。でも、ほかの声優さんの声を聞いて初めて相手のキャラクターの性格や感情がわかることもあるんで、僕はあまり声を作り込まないで収録に行くようにしてるんです。作り込んでしまうと、相手が違う対応をしてきたときにすぐ応じることができないんで。

“顔”でいることの自覚

──TERUさんはバンドのフロントマン、逢坂さんは「ダイヤのA」の主人公の声優と、それぞれ“顔”とも言える役割を担ってますよね。そういう役割を担う上で意識してることはありますか?

TERU フロントマンとして歌を歌う上で健康管理はちゃんとしてますね。現場に行って声が出ないというのは周囲に迷惑をかけるので。声の商売なので、病院に行ってメンテナンスもするし。

逢坂良太

逢坂 僕も喉のケアは十分するようにしてますね。それと自分が主役の声を演じる以上、その作品を一番好きであることが大事だと思ってます。そうでないとアフレコするときに、乗り気じゃない気持ちが声に出てしまうから。ただ、自分が一番作品の“顔”っていうプレッシャーは感じないようにしてます。それを意識しちゃうと、演技に硬さが出ちゃうので。意識した瞬間に、音響スタッフに「硬いね」って指摘されるんです。プロの耳はごまかせないみたいです(笑)。

──またGLAYの音楽と「ダイヤのA」の世界の共通点として、夢や目標を持つことの大切さを伝えているということがあると思うんです。

TERU それはあるかもね。でも、例えば日本武道館でライブすることを夢として掲げても、そう簡単には実現することはできないと思うんですよ。ただ、それをあきらめることが夢に破れたことになるのかっていうと、そうではないと僕は思うんですよ。必ずいつか新しい夢が生まれてくる。大きな夢を持つことも大事だけど、自分が叶えられる夢や目標をちゃんと持つことも大切だと思います。大きい夢を持つことがすべてじゃないし、大きくても小さくてもそこに向かっていく行為が大事。それから一度叶わなかったとしても、挑戦する機会はあると思うんです。自分の気持ち次第なんじゃないかな。

逢坂 僕もそう思いますね。結局、そのときに描いてる夢が破れても、いつかまた何かしらの夢は出てくるだろうなと思うし。例えば自分がこの業界に入れなかったとして、ほかの仕事に就いていたとしても、その仕事の中で何かしらの夢が生まれてたと思うんです。

TERU 夢を抱いて生きていくってそういうことだよね。

大切なのは経験の積み重ねと日々の鍛錬

──この機会にお互い聞いてみたいことはありませんか?

左から逢坂良太、TERU(Vo)。

TERU 逢坂くんはアニメ以外に、海外ドラマや洋画の吹き替えとかに興味はあるの?

逢坂 ありますね。2回ほど洋画の吹き替えをしたことがあるんですけど、難しかったですね。例えば、台本に自分の役が話すのが「何分何秒から」としか書かれてなかったり、オリジナルの声を聞きながら収録したりとか。

TERU 英語で話しているテンションを参考にするの?

逢坂 はい。

TERU アニメのアフレコとだいぶ違いそうだね。

逢坂 そうなんです。今はアニメが中心なのであまりほかの仕事まで手が伸ばせていないんですけど、吹き替えや舞台にも興味あるし、歌にも挑戦してみたいし。やってみたいことはいろいろあります。

TERU いいねえ。新しい挑戦をすることで、新しい世界が開けるもんね。

逢坂 あの、僕からも質問いいですか? TERUさんがパフォーマンスする上で意識してることはありますか?

TERU 「こういうのをやりたい」って自分でちゃんとイメージを持って、その通りに体が動くようにしておきたいとは思ってるね。そして、自分の思い描くイメージを表現するためには、やっぱり健康に気を配って、体を作ることが大事だと思う。例えば2001年に初めてライブでダンスパフォーマンスをやってみようと思って、一緒にステージに上がるダンサーと同じ振り付けで踊ろうとしたんだけど体が全然動かなくて(笑)。そこでパフォーマンス力を上げたいと思ってすごく努力したの。例えばB'zの稲葉(浩志)さんみたいにバーッと走りながら歌うにはそれなりに体を作らなきゃいけない。それは先輩アーティストの活躍を見て感じるね。

逢坂 TERUさんも、ほかのアーティストのパフォーマンスを参考にすることがあるんですか?

TERU あります! 稲葉さんがモニタースピーカーからジャンプしてるのをみてカッコいいなあと思って、次のツアーで採り入れさせてもらった(笑)。会場が大きくなればなるほど、スケールの大きい動きをしたいと思ってて。いろいろ勉強してるよ。

逢坂 前にGLAYのライブを拝見したんですけど、TERUさんの動きが1つひとつすごく様になってて……。自分が同じことやっても“がんばってるな臭”が出ると思うんですね。

TERU それは経験の積み重ねで解消できるかも。舞台に立ち続けたり、ライブをやり続けて、お客さんに見られることを意識して、さらにその映像を観て改善点を考えていくことでパフォーマンスは磨かれていくと思う。だからやっぱり日々の鍛錬なんだよね。いきなりやろうとしてできるもんじゃないと思うんだよね、歌も声優も。で、結局「ダイヤのA」ってそういう努力や練習の大切さを描いてるんだよね。だからすごく共感できるんだよ。

ニューシングル「G4・IV」2016年1月27日発売 / loversoul music & associates
「G4・IV」
CD+DVD / 2052円 / PCCN-00021
CD / 1512円 / PCCN-00022
CD収録曲
  1. 彼女はゾンビ[作詞・作曲:HISASHI]
  2. Scoop[作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
  3. Supernova Express 2016[作詞・作曲:TAKURO]
  4. 空が青空であるために[作詞・作曲:TERU]
CD+DVD盤 DVD収録内容
  • Music Video & Making
    彼女はゾンビ / Scoop / Supernova Express 2016 / 空が青空であるために
  • Live from Miracle Music Hunt Forever in TOKYO DOME
    pure soul(DAY2) / 百花繚乱(DAY2)
  • Live from GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT vol.2
    My Private "Jealousy"(DAY1)/ いつか(DAY2)
GLAY(グレイ)

北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にニューシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催する。ツアーファイナルとして東京・日本武道館での3DAYS公演を行う。

逢坂良太(オオサカリョウタ)

1986年生まれ、徳島県出身の声優。2010年より声優としての活動を始め、2012年4月にアニメ「つり球」で主人公の真田ユキの声を務める。以降「ダイヤのA」「山田くんと7人の魔女」「シドニアの騎士」などさまざまなアニメ作品で主役の声を担当する。

ツアー情報
GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"
  • 2016年1月28日(木)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年1月29日(金)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年2月1日(月)山口県 周南市文化会館
  • 2016年2月3日(水)広島県 ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
  • 2016年2月8日(月)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
  • 2016年2月10日(水)群馬県 ベイシア文化ホール
  • 2016年2月12日(金)神奈川県 よこすか芸術劇場
  • 2016年2月13日(土)神奈川県 よこすか芸術劇場
  • 2016年2月17日(水)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2016年2月18日(木)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2016年2月25日(木)富山県 オーバード・ホール
  • 2016年2月27日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2016年2月28日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2016年3月3日(木)京都府 ロームシアター京都
  • 2016年3月4日(金)京都府 ロームシアター京都
  • 2016年3月7日(月)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2016年3月8日(火)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2016年3月13日(日)福島県 會津風雅堂
  • 2016年3月15日(火)新潟県 新潟県民会館
  • 2016年3月16日(水)新潟県 新潟県民会館
  • 2016年3月20日(日・祝)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
  • 2016年3月21日(月・祝)香川県 アルファあなぶきホール
  • 2016年3月26日(土)福岡県 福岡サンパレス
  • 2016年3月27日(日)福岡県 福岡サンパレス
  • 2016年3月29日(火)熊本県 熊本市民会館崇城大学市民ホール
  • 2016年4月2日(土)沖縄県 沖縄コンベンションセンター
  • 2016年4月3日(日)沖縄県 沖縄コンベンションセンター
  • 2016年4月21日(木)東京都 日本武道館
  • 2016年4月23日(土)東京都 日本武道館
  • 2016年4月24日(日)東京都 日本武道館