この4人がやることでGHEEEになる

──そんなふうに楽しみながら活動しているGHEEEですけど、今回のアルバムは特にヒリヒリした手触りがあるように感じます。アルバムのコンセプトみたいなものはあるんでしょうか？

深沼　それがないんだよねえ（笑）。

──バンドのモードをそのまま反映させたらこうなったという感じですかね。

深沼　そういう意味では正直なアルバムですよね。

──基本はひたすらデカい音のギターロックですもんね。

深沼　もともとそれだけですからね。それをこの4人がやることでGHEEEになってるという。

──でも、一言でギターロックと言ってもいろいろなサウンドがあると思うんですが。

近藤　そこまで話したことないんだよね。「次のアルバムどんな内容にしようか？」とかそんなことは一度も（笑）。音に対する感覚は最初から共有してるというか。

深沼　うん、本当にそこは不思議なところで。この曲を別のバンドでやっても全然楽しめないと思うし。だからリズム隊には相当負荷かけてると思う（笑）。YANAさんなんかほんと大変だよね。こんなもんを要求されんのかっていう。

──ドラムがYANAさんじゃなかったらまったく違うバンドになっているでしょうね。

深沼　激しい曲ばっかり、ライブで休みなしに15曲連続で叩いてもらってるからね（笑）。

古臭いものになるのは絶対にイヤ

──GHEEEのライブはMCも少ないし、ほぼノンストップで限界まで飛ばしますよね。

近藤　なんか意地みたいなのがあるんだよ。休むのイヤだもん。俺も50分のライブでも絶対水は飲まねえみたいな（笑）。

──飲んでいいですよ（笑）。

近藤　いや、そこは絶対飲まないで、常に穏やかな顔で演奏するっていう。

深沼　それをやれるのがこのバンドの良さですからね。しかも笑顔で。

近藤　誰か弱音吐かねえかなと思うけど誰も吐けない（笑）。

──ちょっとスポ根的な。

深沼　そう、かなりスポ根！ そういう意味でも部活っぽいんだよね。

──部活は部活でも体育会系の（笑）。

近藤　まあ、リハはしないけど。

深沼　それは各自それぞれにやってるのが当然ぐらいな感じで。

近藤　隠れて走ってるみたいな。

深沼　朝方に真っ暗なグラウンドにいたらなぜか素振りの音が……（笑）。そういう世界。

──その鍛錬のおかげで、40歳過ぎてこんなにソリッドでエモい音が出てくるわけですね。

深沼　うん、そこはもう全然変わんないと思う。

近藤　古臭いものになるのは絶対イヤなんだよね。

──確かに手クセでやってる感じはないですし、何かやっぱり新しいものをっていう意識が見えますね。

深沼　それはすごくある。やっぱ今のバンドとしてのGHEEEを作らなきゃいけないっていうのは意識はすごくあるからね。

どんな悪条件でも一番安心してライブができるバンド

──最後に、今後のGHEEEの展望についてはどんなふうに考えてますか？

深沼　わかんないなあ。意外に一番長く続くのはGHEEEなのかも、とか思わない？

近藤　あははは（笑）。

深沼　アルバムはどれくらい出せるかわからないけど、ずっとやってそうだよね。

近藤　俺はこのアルバムを作れたから、今はツアーがすごく楽しみで。今回のツアーは本当にいろんな人に観てほしいなって思います。

──GHEEEに関しては、2人ともすごく自信があるように見えますね。

近藤　確実にね、良くなってる実感がすごくあるから。

深沼　全世界どこに行ってどんな悪条件でやっても一番安心してライブができるバンドだよね。

──バンドはそんなに良い状態なのに、アルバムは3年ぶりっていうのも少し不思議ですけどね。

深沼　なんか意図があって3年空けたわけじゃないからね。3年間のライブでただこれを積み上げて、それが「III」ってアルバムになったっていう。ごくごくシンプルな話ですからね。