ナタリー PowerPush - GHEEE

笑顔で鳴らす攻撃的ギターロック 3rdアルバム「III」ついに誕生

GHEEEの楽曲は3分間のミュージカル

──GHEEEのソングライティングは近藤さんと深沼さんが手がけていますが、曲作りの際に、ほかのプロジェクトとの違いみたいなものはどのように出してるんでしょうか?

近藤 んー、例えば俺は今ソロをやってるけど、そこではGHEEE的な曲って作れないんだよね。ソロのバンド(近藤智洋&ザ・バンディッツ・リベレーション)はだいたい全部アコギでやってて、例えば昔のPEALOUTのときは全部まとめてやってた気がする。ピアノやベースも弾いたりして。

──PEALOUTは近藤さんの作った曲を全部やれる場所だったということですよね。ソロでは「こういうものだけをやろう」といった決めごとを設けているんでしょうか?

インタビュー風景

近藤 うん、ソロではもっとアコースティックな面を突出させたいと思ってる。でもそればっかりやってるとやっぱエレキ的なことが欲しくなって。だからソロではできないこと、あえてしてないことをGHEEEでやりたいんだよね。GHEEEでは激しいものだけをやりたい。だから俺にとっては両方ないとバランスが取れないっていうか。

──じゃあ近藤さんの中で、ソロがメインでGHEEEがサブみたいな感覚は強くないということ?

近藤 今はそうかもしれない。最初はソロがメインだったんだけど、GHEEEの比重がどんどん増えてきたかな。楽器も弾かずにハンドマイクで歌ったりとか、そういうことを自由にできる場ってなかなかないから。

──なるほど。確かに近藤さんはソロとGHEEEの棲み分けがサウンド的にもはっきりしてますよね。その点、深沼さんは若干わかりにくい気がします。同じギターロックバンドであるPLAGUESとGHEEEを自分の中でどう位置づけているのか、教えてもらえますか?

深沼 俺はね、GHEEEのコンセプトを意識しながらGHEEEのための曲っていうのをいつも書いてて。その中で近藤さんも生かしつつやっていくのが楽しいんですよね。

──PLAGUES用の曲とGHEEE用の曲は、互換不可能なんですか?

深沼 基本的に不可能。そういうふうに作ってないしね。

──なんとなくメロディができて、これはGHEEEっぽいとかPLAGUESっぽいってことで振り分けるわけではない?

深沼 いや、もう全然決め打ち。俺の曲は近藤さんとボーカル交代するのが多いでしょ。もうミュージカルみたいなつもりで作ってるんだよね。俺がダミ声っぽくここまで歌って、ここでリフが入ってから近藤さんが正義の味方みたいにダーッと美しいメロを歌うとか。それを考えるのが楽しいっていうか。

近藤 3分間のミュージカルだよね。

みんなGHEEEの一員であることを楽しんでる

──4年間の活動と3枚のアルバムを通して、“GHEEEらしさ”みたいなものは明確になってきましたか?

深沼 うん、それはあるかもしれない。

近藤 3年前に「レコンキスタ」っていう2ndアルバムを出して、それがすごく手応えあって、その後のツアーからどんどん変わってきた感じがある。俺がギターを途中から弾かなくなってハンドマイクで歌ったり。そうやって、俺が予想つかない動きをするとみんなワーってフォローしてくれたり、そういうフォーメーションみたいなのがどんどんできてきて。そこでまたバンドらしくなってきたかな。

インタビュー風景

深沼 最近は読めるようになったけど、以前はどこでギター弾かなくなるかわかんなかったから。

──それでちゃんとカッコよくやれてるっていうのはすごいですね。

深沼 いい意味でバラバラなんですよね、みんなそれぞれ。

近藤 そのバラバラのスリリングさが、ライブでどんどん出てくるようになったからね。その感じがたぶん新曲につながってる。

──確かに「Silver tongue」みたいな曲を聴いてると、これはGHEEEでしか成立しないというのは感じます。

近藤 実際ソロとかやってると、誰かとハモることってないからね。PEALOUTでもずっとメインでボーカルやってたし。

深沼 そうそう。ハモりは楽しいよね。そこはやっぱりほかにメインがあるから思う存分できるところで。

──じゃあもし2人がGHEEEだけをやってたら衝突してるかもしれないですね。

深沼 それはそうかもね。

近藤 「もうちょっと歌わせろよ」みたいな(笑)。GHEEEだけでやってたらアルバム2枚ぐらいで終わってたかもしれないもんね。

──力の抜け具合がいい感じなんでしょうね。

深沼 うん、それはリズム隊の2人もそうだと思うんだよね。GHEEEの一員であることを楽しんでるってところがすごくある。結局Hisayoちゃんだってtokyo pinsalocksのメインソングライターだったりして、ベースはいろんなところで弾いてて。それがGHEEEに来るとむりやり歌わされるわけだから(笑)。

ニューアルバム「III」 / 2011年5月25日発売 / 3000円(税込) / LAVAFLOW RECORDS / DQC-688

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CD収録曲
  1. Silver tongue
  2. Fast as nozomi
  3. The brilliant mexican blues
  4. Pretty insane ride
  5. Love in the shelter
  6. Rainbow chasing
  7. Bloody Tiffany
  8. Guess
  9. Tumbling flowers
  10. Loop road #8
  11. Chain
  12. You're my plane
GHEEE(ぎー)

近藤智洋(Vo, G / ex. PEALOUT)、深沼元昭(Vo, G / Mellowhead, PLAGUES)、Hisayo(B, Vo / tokyo pinsalocks, a flood of circle)、YANA(Dr / NACANO, ZEPPET STORE)の4人からなるロックバンド。2007年7月に1stアルバム「GHEEE」をリリースし、翌2008年には2ndアルバム「レコンキスタ」、1stライブDVD「LIVE」を発表。ソリッドなギターロックサウンドと激しいライブパフォーマンスで人気を博す。2011年5月、3年ぶりとなる3rdアルバム「III」をリリース。