音楽ナタリー Power Push - flumpool
攻めモードの1年を象徴する「FREE YOUR MIND」
flumpoolがニューシングル「FREE YOUR MIND」をリリースした。
バンドとしての本音を吐き出し、アグレッシブなロックサウンドで新境地を提示したアルバム「EGG」を経て発表される本作。表題曲はデジタルサウンドを大胆に盛り込んだflumpool流の高揚感のあるダンスチューンで、「EGG」から続いている攻めの姿勢が存分に表れた1曲となっている。またカップリングには、年末に開催されるカウントダウンライブ「flumpool COUNTDOWN LIVE 2016→2017 『FOR ROOTS』~シロテン・フィールズ・フォーエバー~」のテーマソングとなる新曲「ムーンライト・トリップ」を収録。過去を懐かしみながらも前を向いて歩いていく決意を歌う、flumpoolらしいメッセージソングだ。
結成10年を前に、バンドとしての成長を改めて実感させる本作を彼らはどう作り上げたのか? メンバー全員に話を聞いた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 上山陽介
達成感を味わえた「EGG」ツアー
──まずは少し振り返って、3月にリリースしたアルバム「EGG」の手応えと、それを携えて回った全国ツアーの感想を聞かせてください。
山村隆太(Vo) これまでのflumpoolと比べると「EGG」にはすごくロックな曲が多かったと思うので、ツアーは必然的にハード目な内容になったんですよ。それに対してお客さんは最初は多少の戸惑いがあったみたいなんだけど、バンドとして“殻を破る”というテーマを持って挑めた分、ものすごい達成感を味わうことができて。僕らはもちろん、ライブに来てくれたお客さんも何かしら感じてくれるものがあったんじゃないかなとは思いますね。
阪井一生(G) うん。「EGG」は攻めたアルバムでしたけど、自分たちとしては自信を持って出した作品だったから、ツアーにおいてもやりたいことが全部できたんです。アルバムもツアーも評判がよかったっていう話も届いているので、達成感はありますよね。
小倉誠司(Dr) ツアーを回ったことで、アルバムで得た自信が確信に変わったところもありました。それによってバンドも強く成長できたんじゃないかな。
尼川元気(B) 自分たちのやりたいことを最後まで追求し続けられたツアーだったから充実感がすごかったです。「一番いいライブができた!」ってツアー最終日に思えたのは、僕は初めてだったかもしれない。
──アルバムとツアーで手にした大きな自信は、その後の活動にも影響を及ぼしましたか?
山村 そうですね。その後、夏にはいろいろなフェスに出たんですけど、ツアーの流れは途絶えさせず、かなり攻めたセットリストを組んだんです。たぶんflumpoolには求められていないセットリストというか(笑)。半分くらい「EGG」からの曲をやったりしたので。
──flumpoolのライブを初めて観た人はびっくりしたかもしれないですね。
山村 そうですよね。今年、初めて出させていただいた大阪のサマソニ(「SUMMER SONIC 2016」)では、1曲目に「解放区」(アルバム「EGG」の1曲目に収録)をやったんです。それはファンですら予想していなかったことだと思うんですよね。例えば「花になれ」とか「星に願いを」とか、フェスの1曲目としてもっと適した曲はほかにもあったと思うし。
──これまで築き上げてきた、いわゆるflumpoolらしい曲たちではなく、最新の音で勝負することが重要だったわけですね。
山村 はい。次に進んでいく僕らをしっかり見せたかったので。結果的にフェスでの反響もよかったので、着実に一歩進めた実感はありました。
これまでからは予想できないflumpoolを
──楽曲制作は継続的に行っていたんですか?
尼川 ツアー終えて、フェスも終えたくらいからですかね。最近は常にレコーディングしている感じで。
山村 今回の曲もその中で生まれたんですけど……これは夏くらいだったよね?
阪井 そうだね。あ、でもこれはサマソニ前だ。だから8月の頭かも。
──新曲「FREE YOUR MIND」はデジタルサウンドとバンドサウンドを融合させたダンスチューンで、flumpoolとしては「EGG」とは違う新たな表情を提示する仕上がりになっていますね。
阪井 そうですね。「EGG」の世界観から外れるというよりは、その延長線上にあるような攻めた曲にしたかったんですよ。そこでバンドサウンドとデジタルサウンドを融合した曲を作ってみようと。
──最近の阪井さんはデモの段階からかなり作り込むそうですけど、完成のイメージは最初から明確にありましたか?
阪井 うん。CDになってる完成型にだいぶ近いところまで最初からイメージはできてました。
山村 デモを聴いたときはかなりビックリしましたけどね。「EGG」もかなり異色な作品だったとは思うけど、この曲もまたこれまでのflumpoolからすると予想できない、想定できない雰囲気だったから。そこがいいなと思いました。この曲を持って、世の中にどう打って出ていけばいいんだろうって考えるのも楽しかったし。
──サウンド的に山村さんと阪井さんが参加されていたTHE TURTLES JAPANの経験が生かされているような印象も受けました。そのあたりはどうですか?
阪井 生かされたかな?
山村 生かされてるでしょ、それはもちろん。
阪井 もう超えてしまったんじゃないかなって(笑)。
尼川 あははは(笑)。それはでも生かされたからってことでしょ?
阪井 そうだね。THE TURTLES JAPANでの亀田(誠治)さんのアレンジから学んだことはたくさんありましたからね。打ち込みの使い方とか、アレンジの流れとか、シンセと生音の絡ませ方とか、そういうところはちゃんと今回の曲に生かされているような気はします。
次のページ » 一生がもっと信用できるようになれば……
- ニューシングル「FREE YOUR MIND」2016年11月2日発売 / A-Sketch
- 初回限定盤 [CD+DVD] AZZS-55 / 2160円
- 通常盤 [CD] AZCS-2057 / 1296円
CD収録曲
- FREE YOUR MIND
- ムーンライト・トリップ
- labo (live at FM802 MEET THE WORLD BEAT 2016)
- Blue Apple & Red Banana (live at SWEET LOVE SHOWER 2016)
初回限定盤DVD収録内容
「flumpool 7th tour 2016『WHAT ABOUT EGGS?』」at 東京国際フォーラム Special Selection
LIVE OPENING
- 解放区
- Sprechchor
- DILEMMA
- 絶体絶命!!!
- 産声
- 夜は眠れるかい?
- Blue Apple & Red Banana
- Hydrangea
- World beats
- 花になれ
flumpool COUNTDOWN LIVE 2016→2017 「FOR ROOTS」~シロテン・フィールズ・フォーエバー~
2016年12月31日(土)大阪府 大阪城ホール
OPEN 20:30 / START 22:00 / END 24:30(予定)
flumpool(フランプール)
山村隆太(Vo, G)、阪井一生(G)、尼川元気(B)、小倉誠司(Dr)の4人からなるバンド。2008年10月に配信シングル「花になれ」でメジャーデビュー。2009年にシングル「星に願いを」のヒットで注目を集め、10月には初の東京・日本武道館公演、年末には「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2010年12月に4日間にわたるアリーナライブも大成功に収め、2011年9月に「第78回NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部課題曲に採用された「証」をシングルとしてリリースした。デビュー5周年を迎えた2013年10月には日本武道館で2日間にわたりスペシャルライブを行い、2014年5月に初のベストアルバム「The Best 2008-2014『MONUMENT』」を発表。2015年8月にバンド初の単独野外公演を故郷である大阪・大泉緑地で開催した。12月30、31日には神奈川・横浜アリーナでの初の単独カウントダウンライブを行った。またアニメ映画およびテレビアニメ「亜人」主題歌「夜は眠れるかい?」を含むシングルを2016年2月にアルバム「EGG」を3月に発表し、4月よりライブツアーを実施する。11月にニューシングル「FREE YOUR MIND」をリリースした。12月31日には大阪では初となる単独でのカウントダウンライブ「flumpool COUNTDOWN LIVE 2016→2017『FOR ROOTS』~シロテン・フィールズ・フォーエバー~」を開催する。