ナタリー PowerPush - フラワーカンパニーズ
初のオールタイムベスト発売記念 フラカン激動の20年の真実に迫る
フラカンは“貧乏なおぼっちゃんバンド”
──海外だとライブだけで生活できてるバンドも結構いますけど、日本でそういうケースはほとんど聞かないですよね。だからフラカンを見てると本当にレアだなって思うんです。
マエカワ そうですね。4~5年前もよく「どうやって食ってんの?」って言われたけど。
鈴木 第一声でそれが多かったもんね。
マエカワ 「なんかカラクリあるんすか?」とかさ(笑)。
──その秘密、教えてほしいですね(笑)。
マエカワ いや、だからそこは生活水準が低いからなんじゃないですかね。普通の30代半ばくらいだったら、もっともらってるのかもしれないし。例えば食べてる物が違うのかもしれないし、車もあったり家を持ってたりする人もいるだろうけど、俺らはそういうのないし。その違いです。
鈴木 契約切れた後は、実際に収入はドーンと減ったよね。でも徐々に軌道に乗り出してからは、微々たるもんですけどちょっとずつ増えてきて。
──でも今後、大きなヒットを飛ばすことがあったら、その生活も大きく変わるかもしれませんよ。
マエカワ そういうのを気にしないわけじゃないけど、必ず売れるもんを作らなきゃいけないとはやっぱり思ってないというか。売れたいとは思ってるんだけど、それを目標にはしてない。これが売れんかったからといって、誰かに曲書いてもらいましょうっていうのも……この先あるかないかわからないけど、売れるためにそうしたいってことはないよな。
鈴木 ある意味で苦労知らずだからね。これが食うことに困ってたら、信念を曲げて売れそうな曲を作ろうとしたかもしれない。本当はこんな曲やりたくないんだけど、世間的にこのほうが売れるからやろうと。でもそう思ったことは今までないよね。そういう意味ではおぼっちゃんバンドなんですよ。
マエカワ みんなフラカンを雑草バンドの最高峰って思うんだろうけど。
鈴木 実はそんなに虐げられてないんだよね。踏みつけられてないし、結構周りの人から守られてますよ。
マエカワ お金はないけど。貧乏なおぼっちゃんバンド(笑)。
いいライブをしたい、いい曲を書きたい、いいアルバムを作りたい
──4月でバンド結成21周年を迎えますが、この先バンドを続けていくためのモチベーションって何なんでしょう?
鈴木 やっぱりいいライブをしたいし、いい曲を書きたい、いいアルバムを作りたい。
マエカワ あとライブでいい反応が欲しい。それが来たときの「よかったなぁ、今度またいいライブやろう」という思いは、モチベーションのひとつですよね。それはかなりデカイです。
鈴木 決してどこも動員が伸び続けてるわけでもないですから。「あ、ここ下がっちゃったな」というのも平気であるし、下がったら次にまた元に戻さなきゃ、とかね。
マエカワ ライブの反応だったりアルバムへのリアクションが、最大のモチベーションかもしれないね。
──お客さんの前に立って、反響があったらそれを手応えにまた続けていく。その感覚が20年続いてるんでしょうか。
マエカワ そうだね、いくら歳取ってもそれは変わりないですよ。いいライブしてドンって反応が返ってきたらうれしいし、いい曲できたらうれしいし。そこに飽きてないから続いてるというのはあるかな。
今10年後の話をしても飲みの席の話と同じぐらいのレベル
──20周年はいい区切りの1年になりましたが、今後10年20年のビジョンってありますか?
鈴木 いやぁ……なるべく考えないようにしたいよね。
──これまでみたいにツアーを続けて、充実感のあるライブができていれば最高という感じでしょうか。
マエカワ それができればいいと思いますよ。あと、長く続けばいいなと思うけど、続けることを目標にしてもしんどくなっちゃうだろうし。さすがに20年やってるから、良いときと悪いときがあることもわかってるし、そこをどう乗り越えていくかですよね。乗り越えればずっと続けられるんだろうし、乗り越えられなかったらそこで終わったり1回休止したりするかもしれない。
鈴木 とりあえず考えられるのはあと1年、来年のことまでかな。僕はあんまり考えてないんだけど。
マエカワ 多分俺らが今10年後の話をするって言ったら、飲みの席の話と同じぐらいのレベルかな。車持っときたいとかね(笑)。
鈴木 これからの10年は体だね。そこが一番の違い。
──健康面、体力面ですか。
鈴木 どこか壊しますから、絶対に誰かが。
マエカワ 鈴木の喉が調子悪くなったことはあったけど、今までの20年でそんなに大きい怪我や病気はなかったもんな。
鈴木 いや、もしかしたらわかんないよ。検査してないだけだから。
マエカワ すごいサナダムシがおったりね。
鈴木 検査してみたら何か出てくるかもしんないね(笑)。
マエカワ 今は冗談半分で言ってるけど、シビアにちょっと健康診断に行こうかなと思っていて。例えば酒の飲みすぎもそうだし、筋力とかも前より絶対に落ちてるわけだし、そろそろ本格的に運動を始めたほうがいいのかなって思うんです。そういうことはこの先ちゃんと考えなきゃいけないんでしょうね。
CD収録曲
- 深夜高速
- 吐きたくなるほど愛されたい
- 恋をしましょう
- はぐれ者讃歌
- 東京タワー
- 孤高の英雄(ヒーロー)
- 真冬の盆踊り
- 夜明け
- 冬のにおい
- この胸の中だけ
- 元気ですか
- 俺たちハタチ族
- 発熱の男
- サヨナラBABY
- 脳内百景
- 虹の雨あがり
- YES, FUTURE
[Bonus Track] - 東京タワー (LIVE)
初回盤限定:お年玉DVD収録映像
- 小さな巨人
1997年5月5日@日比谷野外音楽堂 SPACE SHOWER TV Sweet Love Shower ‘97より - 深夜高速
2004年8月27日@川崎CLUB CITTA’ SET YOU FREE ~ SUMMER FESTA 2004より - 終身刑 ~ NUDE CORE ROCK’N’ROLL ~ YES, FUTURE ~ 真冬の盆踊り
2009年4月23日@京都磔磔 フラカン生誕20周年記念祭より - 東京タワー
2009年10月17日@日比谷野外音楽堂 フラワーカンパニーズ20年だョ! 全員集合より - Music Video 深夜高速 (2009)
フラワーカンパニーズ
1989年4月23日に鈴木圭介(Vo)、グレートマエカワ(B)、竹安堅一(G)、ミスター小西(Dr)の4人により名古屋で結成されたロックバンド。地元・名古屋を拠点とした精力的なライブ活動を経て、1994年に上京。1995年にアルバム「フラカンのフェイクでいこう」でメジャーデビューを果たす。以後、2000年までに6枚のフルアルバム、1枚のミニアルバム、12枚のシングルを発表。しかし、翌2001年に契約終了を迎え、活動の場をインディーズに移す。同年からそれまで以上に活発なライブ活動を敢行。2002年には自主レーベル「トラッシュ・レコーズ」を設立し、7thアルバム「吐きたくなるほど愛されたい」をリリースする。以降も「発熱の男」「東京タワー」「世田谷夜明け前」「脳内百景」といった名作を連発。特に2004年に発表されたシングル「深夜高速」は、ファンのみならず多くのロックファンから愛され続けている。2008年11月には7年8カ月ぶりにメジャー復帰し、アルバム「たましいによろしく」とシングル「この胸の中だけ」を同時発売。バンド結成20周年を迎えた2009年には、「深夜高速」をさまざまなアーティストがカバーしたコンピレーションアルバム「深夜高速 -生きててよかったの集い-」のリリースや、11年ぶりの日比谷野外大音楽堂ワンマンライブなどで注目を集めた。バンドは現在も全国各地でライブ活動を展開中。またグレートマエカワや竹安堅一は、うつみようこ & YOKOLOKO BANDなどにも参加している。