音楽ナタリー PowerPush - DREAMS COME TRUE

祝・デビュー25周年「ATTACK25」特集

中村正人×亀田誠治対談

「アナ雪」のヒットに学ぶ

──お2人ともヒット曲がお好きだということですが、今はヒット曲が出づらい時代になっていると言われます。そんな中でアーティストとしてどう戦っていくのかについて、考えていることがあれば教えてください。

亀田 よく話し合いますよね。

左から中村正人、亀田誠治。

中村 そこはやっぱり亀ちゃん次第でしょう。ロックもポップスもやって、業界を担ってますからね。

亀田 数字は本当に出しにくくなってるんです。でもみんなの生活の中に溶け込んで花を咲かせている曲っていうのは実は生まれてて。それはアイドルだけじゃない。「Let It Go」とかもそうでしょ?

中村 なるほどね。「アナ雪」の。

亀田 あの曲は、長年積み上げられてきたディズニーの歴史の中から生まれた最新ヒットだと思うんですよ。だからやっぱり打席に立ち続けることが大事なのかなって。あとは自分の感覚だけでやるんじゃなく、ほかのアーティストと一緒にやることで化学反応が起こったりもするし、だから僕、共作も多いですよ。

中村 それがすごいよね。ほかの人の意見を聞けるっていうのが。僕は1音だって変えたくないですよ。その1音でヒットしなくなるっていう自信があるから。本当に8分音符が1個違うだけでヒットするかしないかが決まるんですよ。それを吉田は「ダサいから変えよう」とか言うんですけど「いやいや、ダサいからヒットするんだよ!」って思ったりね(笑)。

亀田 あはは(笑)。でも僕の場合は、そうやって誰かの意見が入ることによって、より磨かれるってこともあるんですけどね。

クライアントへの逆提案

──ドリカムはタイアップ曲も多いと思うんですが、クライアントからのリクエストが邪魔になることはないですか? 中村さんの中でヒットの方程式が見えているのに「ここを変えてくれ」と言われてしまうケースもあるかと思うんですが。

中村 いや、変えないですよ。ドリカムの場合は、曲を作る前にクライアントからどういう曲が欲しいかっていう項目をいっぱい出してもらうんです。そして、その要望に150%応えたものを作るんで。

亀田 僕もそうですね。

中村 納品形式も曲のサイズもそう。リクエストをすべて満たした上でドリカムの曲を作るっていう考え方なので。僕らの上の世代は、アーティストとクライアントの戦いみたいなものもあったかもしれないけれど、僕は逆提案しますからね。例えばドラムを抜いてアカペラバージョンを作ったら使い勝手がいいんじゃないかとか、こういうイントロがインパクトあるんじゃないかとか。それがうちの営業方針なんで。

亀田 あ、でもネスカフェの曲にはびっくりしましたよ。

中村正人

中村 あはは(笑)。あれは最初にクライアントが気を遣って「新曲を提供してください」って言ってくださったんです。その上で「『ダバダ』のカバーもお願いします」って。で、普通ミュージシャンはとにかく新曲でいきたいって言うと思うんですけど、そんなこと言っててもしょうがない。「ダバダ」は最高の楽曲だし。それで「ダバダ」とドリカムの新曲が合わさった形を逆提案したんですよね。

亀田 へー!

中村 そのおかげで映像を含めて、面白い作品になってよかったなって思ってます。

技術やソウルを下の世代に伝えたい

──確かにドリカムの曲を聴いていると、タイアップにも全力を尽くしていることがよくわかります。

中村 うちの場合はちゃんとギャランティも支払ってもらえるから、そこはありがたいですよね。今はタイアップだから印税だけでとか、レコード会社もタダで使ってくださいっていうケースが多いんです。でも当たり前のことなんですけど、やっぱりミュージシャンがやった仕事に対しては報酬を出してほしい。我々はそれを次の原資にしていくわけなので。

亀田 それについては僕もこの頃よく考えてるんです。今の音楽業界は動くお金の規模が小さくなりすぎてるんですよ。特に若い子たちはそれを疑いもせず「ギャラそれだけでワンステージやるの?」っていう状態を普通だと思ってる。僕らミュージシャンはやっぱり楽器弾いたりするのが楽しいから、安くてもやっちゃうんだけど、お金を払うほうもそこに甘えがちで、そのしわ寄せが若い世代に来てるような気がするんです。

中村 うん。

左から中村正人、亀田誠治。

亀田 僕は毎日素晴らしいアーティストと触れ合っているわけで、だから自分がその技術やスピリットを下の世代に伝えていきたい。下の世代のミュージシャンが音楽でちゃんとメシを食えるっていう環境作りをしないといけないなって思うんです。

中村 そこはやっぱりレコード会社やスポンサーにがんばってほしいところですよね。やっぱりモーツァルトやベートーベンも著作権印税で生きてたわけじゃなく、パトロンのために曲を書いてたわけで。今の時代もそれと同じになったんだと思う。我々の音楽はもはや“タダ”なんです。産業としては終わってる。だけど音楽はどんどん発展してるし、どんどんファンも増えてるし。

亀田 素晴らしいミュージシャンもたくさん生まれてきている。

中村 そのときに企業がパトロンになって、若者たちの肩を押してあげてほしいんですよね。今はスタンディングのライブハウスでツアーをやれば、物販の収入である程度は儲かるわけ。でもそれだと、若いミュージシャンはアリーナ会場でライブをやる素晴らしさを知らないままですよ。そりゃあアリーナは予算もかかるし難しい。ライブビジネスが儲かるって言ったってもう限界です。でもアリーナでライブをやれば、そこに集まった何万人が幸せになる。その先にはもっと素晴らしいお客さんが待っているし、素晴らしい音楽人生が待ってるわけです。そういうアーティストを、スポンサーがバックアップしてくれたらって思うんですよ。

亀田 ほんとそうですよね。

左から中村正人、亀田誠治。
CONTENTS TOP
中村正人×百田夏菜子(ももいろクローバーZ)対談
中村正人×ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)対談
中村正人×亀田誠治対談
著名人アンケート「私の好きなドリカム」
中村正人インタビュー
ニューアルバム「ATTACK25」 2014年8月20日発売 / UNIVERSAL SIGMA
初回限定盤 [CD+DVD] / 4104円 / UMCK-9725
通常盤 [CD] / 3240円 / UMCK-1525
CD収録曲
  1. THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC
  2. ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE
  3. あなたにサラダ以外も
  4. I WAS BORN READY!!
  5. MONKEY GIRL - 懺鉄拳 - (懺鉄拳の懺は懺悔の懺)
  6. 軌跡と奇跡
  7. FALL FALLS
  8. MORE LIKE LAUGHABLE
  9. さぁ鐘を鳴らせ
  10. 愛して笑ってうれしくて涙して
  11. 想像を超える明日へ - Album Version -
  12. MADE OF GOLD ―featuring DABADA―
  13. この街で
  14. MY TIME TO SHINE
  15. 愛がたどりつく場所
  16. AGAIN - Album Version -
初回限定盤DVD収録内容

撮り下ろし&レア映像満載の豪華85分。25周年を記念したスーパーでスペシャルな架空テレビ番組「THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC」。なんと!あの日本テレビ系列の人気音楽番組「LIVE MONSTER」の制作チームが全面協力!アタックマン、チャンスウーマンの2人が登場し、さまざまなレアコンテンツを紹介!

DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)

吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrangement , Programming)による2人組バンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録する。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。2014年にはデビュー25周年を迎え、同年8月20日に通算17枚目のオリジナルアルバム「ATTACK25」をリリース。8月23日からは全国13都市32公演におよぶ全国アリーナツアーをスタートさせる。なお1991年より4年に1回のペースで「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」と題したイベントを実施しており、エンタテインメント性を追求した内容で多くのファンを魅了し続けている。

亀田誠治(カメダセイジ)

1964年アメリカ・ニューヨーク生まれ。1989年に音楽プロデューサーおよびベーシストとしての活動を始める。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、いきものがかり、GLAY、アンジェラ・アキ、JUJU、秦基博、エレファントカシマシ、MIYAVI、赤い公園、東京スカパラダイスオーケストラなど数多くのアーティストのプロデュース、アレンジを手がける。2004年に椎名林檎らと東京事変を結成し、2012年閏日に惜しまれつつ解散。2013年には2回目となる自身の主催ライブイベント「亀の恩返し」を日本武道館にて開催し、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の音楽プロデュースを担当するなど、さまざまな形で音楽作品を届けている。