ダウトの美川憲一訪問レポート

「ダウト？ あら、いい名前じゃない。でも何しに来たの？」と言いながらメンバーを撮影スタジオに迎え入れた美川に対し、幸樹は「実は私たち、今回のミニアルバムで美川さんの『さそり座の女』をカバーさせていただきまして……」と早速報告。しかし美川は「あら、何も聞いてないわよ？ あんた了解なしに人の歌を勝手に歌うわけ？」とご機嫌ななめ。ダウトのメンバーたちは恐縮しながらも「もうカバーしちゃいましたので」と食い下がった。

なんとか自分たちのカバーを聴いてもらおうと、持参したラジカセを美川の前に差し出す威吹（G）。これを美川は「あたしの大事な歌を許可もなく勝手にレコーディングして、出来上がったからって『聴いてください』なんて、そんなの冗談じゃないわ。いやよ！」と拒否していたが、それでもダウトはへこたれない。しばらくすると美川はダウトの強い熱意に打たれ、「……根性あるわね、あなたたち。いいわ！ 私も内心、若い人がこの歌を歌ってくれるのって、うれしい気持ちもあるのよ。聴いてやろうじゃないの」と言ってラジカセの再生を許可した。

ラジカセから曲が流れ始めるや否や、美川は「あら、ノリがいいわね」と言って、横ノリでリズムを刻み始めた。美川はロックサウンドにアレンジされた自分の曲に聴き入り、曲が終わると「いいじゃない！ よくぞ『さそり座の女』を選んでくれた」と絶賛。それまでの雰囲気が一転し「『許可もなく』って文句言ったけど、これを聴いて一生懸命がんばってほしいなって思った。ここで一発バーンってブレイクするようにがんばんないと！」とダウトにエールを贈っていた。

美川はこの時点でダウトがどんなバンドなのか把握していなかったため、「どんなところでライブやってるの？」とメンバーに質問し、年末に東京・国立代々木競技場第二体育館でワンマンライブが決定していることを聞くと「あらっ！ まあっ！ 豪華ねえ！ あんたすごいじゃないの！ 人気があるのねえ！」とびっくり。「許可を取りに挨拶に来たという、その気持ちがうれしいわ。応援したくなっちゃった」と、すっかりダウトを気に入った様子だった。

その後ミナセ（Dr）は「このタイミングなら言える」とばかりに、「小さい頃からの夢だった“アレ”を一緒にやっていただけませんか……？」と美川にリクエスト。他のメンバーが見守る前でミナセは「さそり座の女」を熱唱しはじめ、後ろから美川が“ご本人登場”するという、ものまね番組の名シーンを再現した。さらにダウトは「high collar」のテレビCM用のナレーションをお願いし、これを美川が快諾。その場で「聴いてちょうだい？ 聴かなきゃダメよ！」というコメントのレコーディングが行われた。

これで晴れて本人のお墨付きを獲得することができたダウト。彼らに向かって美川は「これからもっと人気が出ると思うけど、いつまでも仲良くね。グループって1人が人気出てくると他の人がヤキモチ焼いて、だんだんおかしくなることってよくあるのよ。そういうことないようにチームワークを大切にね。もしそういうことがあったら、ただじゃおかないわよ？」と芸能界の先輩としてアドバイスし、また別れ際に「今度学園祭でライブやるんだけど、あなたたちのこと宣伝してあげるわ」と約束した。