ナタリー PowerPush - Chicago Poodle
1年越しの思いを込めた“桜ソング” シングル「桜色」リリース
満開の桜の木の下で歌うビデオクリップ
──ところで、インタビュー冒頭にも少し触れましたが、今回のビデオクリップは昨年春、どこで撮影されたものなんですか?
山口 福井県の、とある小学校です。ジャケット写真もそこで撮ったものなんですけど、校庭にビックリするくらい大きな桜が咲いてるんですよ。
──えっ!? これ、絵かと思ってました(笑)。
辻本 でしょ(笑)。でも写真なんです。しかも合成みたいに桜が咲き誇ってますけど、これも本物で。快晴で一番満開の、ほんまに絶妙な日に撮ることができたんですよ。
山口 しかもPVでは、この桜の下で実際に僕らは演奏して。
花沢 そうやったなぁ。
──なんだか、かなり観応えがありそうな映像ですね。
花沢 ぜひ、たくさんの方に観てほしいです。
辻本 この映像を観てほしいというのもあって、今回のシングルでは初めて初回限定盤を作ったんです。それに付属のDVDに、PVを収録しました。
花沢 やっぱり、映像と共にこの曲を聴いてほしいなっていう思いが大きかったんですよね。
──ところで素朴な質問ですが、1年前にビデオクリップを撮っていたということは、実は当時すでにリリースの予定が決まっていたんですか?
花沢 いや、それが違うんですよ。
辻本 とりあえず桜が綺麗なところがあるから撮っておこうか?みたいな(笑)。去年、確かに「1年後くらいには出せたらいいね」みたいな話はしてましたけど、決定ではなかったので。だから1年越しで発売できるのは、僕らにとってもすごくうれしいんです。
今がんばらないと、夢や目標にはたどり着けない
──カップリング曲「GET UP! ~不屈のファイティングマン~」は、「桜色」から続けて聴くと印象がガラリと違う曲。この曲はCS・スカイA「猛虎キャンプリポート2011」のテーマソングなんですよね。
辻本 はい。実は去年も4thシングル「Fly~風が吹き抜けていく~」で同じテーマソングをやらせていただいたんですが、今年もぜひ……というありがたいオファーをいただきまして。
花沢 それが去年の11月で、そこからすぐ制作に入ったんですよ。なので、この曲は現時点での僕らの最新曲です。
──去年の曲と今回の曲で、同じテーマソングでも何か違いを意識した部分はありましたか?
花沢 前回は“風”をイメージした楽曲だったんですが、今回はまず、それとはまったく違う感じにしたくて。結論から言ってしまうと、“虎が吠える”というイメージで、この曲は作っていきました。
──なぜ、“虎が吠える”に?
辻本 最初に花沢が曲を持ってきた時点で「サビの頭は絶対にわかりやすい言葉がいい」って言ってて。あとは、野球チームのキャンプのテーマソングなので、花沢から歌詞には「今がんばれば大きな幸せを得られる」ってニュアンスを入れてくれというお願いがあったんです。
──なるほど。そこから辻本さんはどういうふうに歌詞を書いていったんですか?
辻本 その「今がんばれば大きな幸せを得られる」っていうのを逆説的に考えて、「今がんばらないと、夢や目標にはたどり着けない」というニュアンスで表現したんです。この勢いのあるメロディには、そっちのほうが合うかなって。僕はデモ音源から花沢が言ってた“熱さ”みたいなのものをすごく感じてたんで、歌詞も熱い感じが合うやろうと思ったんです。
──とりわけサビは、すごく雄々しいというか、荒々しい感じが伝わってきますよね。
辻本 そうなんです。「掴みとれ!」みたいな言葉って今まで僕はあまり歌詞にしてこなかったんです。でも気迫だったり、勢いを出すためには……と思って、新たな挑戦をしてみました。
──ちなみにこの曲を聴くと、皆さん自身も気持ちを奮い立たせられますか?
花沢 そうですね。「今がんばったら夢が掴めるんじゃないか」って感じますし。自分たちに言い聞かせるように歌ったところもありますね。
──じゃあ、皆さんも「不屈のファイティングマン」?
辻本 ……に、なりたいなっていう感じですね(笑)。
花沢 どちらかと言えば(笑)。
準備に時間を費やした、決して無駄にしたくないシングル
──通常盤のみに収録される、スティングのカバー「Englishman in New York」も含めて、今回は本当にバラエティに富んだ1枚になりましたね。
花沢 僕らは“一曲入魂”というか、毎回アルバムとかカップリングとか関係なく曲を作っているので。その中から今回は、バンドのいろいろな面が見せられる3曲が集まったかなと思います。
──こんなに幅の広いシングルは見たことがないぐらいです。
花沢 あははは(笑)。確かにここまで毛色の違う3曲が集まったのは珍しいですね。ただ、すごく準備に時間を費やして届けるシングルでもあるし、僕らも決して無駄にしたくはない1枚で。自分たちでも、いかにして多くの人に届けるか?というアイデアを出していきたいって思えるくらいの作品ですね。
──なかでもやっぱり「桜色」は、いろいろな人たちの胸を打つ曲になっていくのではと思います。
山口 そうなるといいですね。この春のインストアライブやいろいろなステージでも「桜色」を演奏していくと思うんですが、聴く人それぞれの春や桜のエピソードとリンクさせながら聴いてもらえるとうれしいです。
辻本 「桜色」はChicago Poodleの曲としては珍しく、みんなで歌えるような曲になっていると思うので。僕はぜひ、今年の花見の席とかで歌ってほしいですね(笑)。
山口 飲んでいい感じになって、最後のシメに?
辻本 そう(笑)。肩でも組みながら歌ってもらえたらいいんじゃないですかね。
Chicago Poodle(しかごぷーどる)
花沢耕太(Vo, Piano)、山口教仁(Dr)、辻本健司(B)の3人編成バンド。全曲を花沢が作曲、作詞を山口と辻本が手がける制作スタイル。1980年代の洋楽ポップスのエッセンスが感じられる、懐かしくも切ないメロディと、リズム隊が織りなす都会的なアンサンブルで注目を集める。2009年3月にデビューシングル「ODYSSEY」をリリース。その後7月に2ndシングル「ナツメロ」、10月に3rdシングル「さよならベイベー」、11月に1stアルバム「僕旅」と精力的に作品を発表。あわせてライブも積極的に展開し、着実に支持を高めている。2010年10月には2ndアルバム「GTBT」を発売。2011年3月には5thシングル「桜色」をリリースする。