ナタリー PowerPush - ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987

OKAMOTO'Sが本音で語る “伝説的フェス”映画の見どころ

まだこの国に「ロックフェス」という名称も文化も根付いていなかった1987年8月。熊本・野外劇場アスペクタで、今では伝説となっているオールナイト野外ロックフェス「BEATCHILD」が開催された。トリを務めた佐野元春 with THE HEATLANDをはじめ、BOØWY、尾崎豊、渡辺美里、デビュー直後のTHE BLUE HEARTSや岡村靖幸など計13組の国内ロックアーティストと約7万人ものオーディエンスが、開演直前から明け方まで降り続けた豪雨に打たれながら、あまりに過酷なロックフェス体験をした。その模様を収めたドキュメンタリー映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」が10月26日から期間限定で上映される。ちなみに本作はテレビ放映、DVD化、ネット配信は一切なく、おそらくこの機会を逃すと貴重な映像の数々は二度と目にすることができないだろう。

ナタリーでは本作の公開を記念して、当時を知らない若い世代代表としてOKAMOTO'Sのオカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、オカモトレイジ(Dr)にインタビューを実施。本作を観て感じた現在のロックフェスやロックシーンとの差異や映画の中で名演を繰り広げるロックアーティストたちの魅力などを語ってもらった。

取材・文 / 三宅正一(ONBU)

こんなにアーティストに「大丈夫か!?」って言われるフェスはない

──まずは映画を観た率直な感想から聞かせてください。

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、尾崎豊。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

オカモトレイジ(Dr) 時代もあると思うんですけど、お客さんもアーティストも気合いの入り方が全然違うなっていう。それをすげえ感じましたね。イベントに対する執着心というか。

──ああ、これを逃すと二度とこんな機会はないんじゃないかっていうね。アーティストもお客さんもお互いあとに引けない感じがすごく伝わってくる。

オカモトショウ(Vo) それは感じた。今のお客さんもフェスに“非日常”を求めているから、フジロックとかは雨が降ることが醍醐味みたいになっていますが、ここまで降るとそういう次元じゃないですよね。

オカモトコウキ(G) 基本的にずっと降ってたからね。

──逃げ場もないし、傘をさしてる人もいっぱいいて。フェスで傘をさしながらライブを観るなんて今では考えられないけど。モッシュやダイブの文化もないから、お客さんの様子が今とは何もかも違う。

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」のワンシーン。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

レイジ ああ、そうっすね。逆に新鮮でしたよね。フェスに対する価値観が今と全然違うというか。今だったら、あんなすごい雨が降り続いたら中止にすると思うんですけど。アーティストもずぶ濡れで、機材とかビチョビチョになりながら演奏してるのもすごいし。7万人も集まってるのに中止にするなんて考えられないっていう主催者の気合いも伝わってきましたね。実は衝撃の事実が、映画の後半に判明するんだけど(笑)。

──あれから26年経った今、主催者が当時を振り返って何を語るかというのも要注目だよね。

レイジ あのシーンもヤバいっすよね。なぜかブルーバックで独白していて、すげえ迫力だった(笑)。

コウキ でも、本当によく死人が出なかったよね。

──いや、実は出てたんじゃないかと思うくらいの状況だったよね。

コウキ そう思っちゃいますよね。

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、The Street Sliders。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

ショウ 映画のタイトルにもなっていますが、こんなにアーティストに「大丈夫か!?」って言われるフェスなんてないですよね(笑)。ライブに関してもすでに解散していたり、今ではフェスに出ないアーティストのすごく貴重な映像が観られてよかったなと思いますが、やっぱりお客さんのスレていない感じが印象的で。今は、フェス会場にいなくてもTwitterとかでリアルタイムに現地の状況を知ることができるし、ホームページを観ればクイックレポートとかもあって。どこにいてもフェスが身近に感じられるじゃないですか。この時代はそんなこと考えられないわけだから。でも、だからこそのピュアな音楽の楽しみ方が映像に収められていて。お客さんの踊り方とかアーティストを観て「キャー!」ってなってる姿とか、全部がピュアな気持ちで動いているなって思いましたね。その雰囲気が最高だった。アーティストだって、お客さんにあれだけピュアな視線で見られたら「俺ってすごい」っていうスター意識も持つだろうし。

絶対ハマくんはブーブー文句言うだろうな(笑)

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」のワンシーン。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

──会場が山なのに大学のキャンパスにいるような格好のお客さんも多かったよね。ファッション1つ取っても、よくも悪くもピュアな感じが伝わってくる。

レイジ そうそう。とりあえずフェス着だけは教えてあげたいっすよね(笑)。

──未来からゴアテックスとか差し入れしたくなるよね(笑)。フェスの運営本部にも雨水が流れ込んでくる最悪の状況で、お客さんも震えながらオロナミンCを飲んでたけど、飲食やトイレ然りインフラ整備とかどうなってたのかなって思うよね。

コウキ ね? たまにお客さんがカレーとか食べてる映像もありましたけど。

映画関係者 飲食の機能もマヒしてたみたいですね。みんな我慢してたという話は聞きました。

コウキ うわあ……。

──あれだけ雨に打たれてたらみんな小便くらいはそのまましてた可能性も高いよね。

レイジ ああ、間違いないっすね。

──もちろん、OKAMOTO'Sはフェスでここまで過酷な状況は経験したことないと思うんだけど、ステージで雨に降られた経験はけっこうあるんですか?

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、佐野元春。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

レイジ 俺らね、フェスで雨に降られた経験がほとんどないんですよ。降ってもパラパラくらいで。

ショウ 雨が降っていても、俺らの出番のときだけ止んでることもよくあるし。

レイジ だから、こんな過酷な状況は想像もできなくて。でも、もし俺らがこのフェスに出てたら、絶対ハマ(・オカモト / B)くんはブーブー文句言うだろうなって思った(笑)。

コウキ それは思った(笑)。

ショウ あの人、楽器が大好きだから。自分のベースが濡れるなんて考えられないと思う(笑)。

ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987
1987年8月22日から翌23日にかけて熊本・野外劇場アスペクタで行われた日本初の本格的オールナイト野外ロックフェス「BEATCHILD1987」の模様を収めたライブドキュメンタリー映画。同フェスは佐野元春 with THE HEARTLANDやBOØWY、尾崎豊、THE BLUE HEARTS、渡辺美里、岡村靖幸など計13組の国内アーティストが、豪雨の中12時間にわたり熱演を繰り広げたことで、一部のロックファンの間では“史上最低で、最高のロックフェス”と呼ばれている。監督を佐藤輝、音楽監督を佐久間正英が担当。ステージ上のアーティストたち、企画・運営していたスタッフたち、そして7万2000人の観衆たちにスポットを当て、26年前の真実に迫る。なお本作のテレビ放送、DVD化、ネット配信は一切なし。
公開日
2013年10月26日(土)より、期間限定プレミアム上映
上映劇場
イオンシネマ、TOHOシネマズ、Tジョイほか全国80館
料金
全国共通前売鑑賞券 2000円 / 当日券 2500円(限定感謝プライス!九州のみ当日も2000円)
チケット発売
イープラス、全国のファミリーマート店内Famiポートにて
映画本編出演者
THE BLUE HEARTS / RED WARRIORS / 岡村靖幸 / 白井貴子 & CRAZY BOYS / HOUND DOG / The Street Sliders / BOØWY / 尾崎豊 / 渡辺美里 / 佐野元春 with THE HEARTLAND(出演順)
OKAMOTO'S ニューシングル「SEXY BODY」 / 2013年11月6日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [CD+DVD] 1600円 / BVCL-550~
初回限定盤 [CD+DVD] 1600円 / BVCL-550~
通常盤 [CD] 1260円 / BVCL-552
OKAMOTO'S(おかもとず)

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行われた全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月に1stアルバム「10'S」でメジャーデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2013年1月にセルフタイトルを冠した4thアルバム「OKAMOTO'S」を発表。同年11月にはニューシングル「SEXY BODY」をリリースする。