安東由美子|うつ病とパニック障害を乗り越え、2度と戻れないと思っていた音楽の世界に

30分番組なのに90分くらいしゃべってる

──病気が完治したことで、ここからは今まで以上に精力的な活動をしていく予定ですか?

はい。ここからが本当の意味での完全復帰だなと思っているので。ライブは10月くらいまで決まっていて、すでにソールドアウトの会場もあったりして。本当にありがたいなって思います。あとはラジオも今、レギュラー番組を同時進行でやっているんですよ。

──FM FUJIとWBS和歌山放送の2局で番組を持っているんですよね。

仲のいいミュージシャンの方からは、「安東由美子の職業はラジオのパーソナリティだな」って冗談で言われてますけど(笑)。2局のパーソナリティを同時進行で担当させていただくのは初体験です。これまではずっと1局をやらせていただいていたので。

──ラジオは基本、フリートークで進行しているそうですね。台本は一切なく。

はい。30分番組なのに収録で30分以上平気でしゃべってるんで、かなりカットされてるっていう(笑)。それくらい色んな話題をしゃべりまくってます。WBS和歌山放送の番組は、5月から縁がありまして、以前からファンだった西司さんと一緒にやらせていただいています。まだ出会って間もないんですけど、すっかり打ち解けて親しくなりました。FM FUJIは1人でパーソナリティをしています。基本的には、ゲストはなしでという形をモットーにしています。リスナーの方から悩み相談のメッセージをいただいたときは真剣に答えたり、自分の番組は自分で構成させたいという思いからです。普段は自分の思ってることを素直に、ストレートに伝えることが得意じゃないタイプなんですけど、ラジオだと平気でいろんなことを話せてしまう、不思議な魅力がやっぱりラジオにはたくさん詰まっています。

──ラジオという媒体と相性がいいんでしょうね。

そうかもしれないですね。私自身、ラジオを聴いて育った世代なので、自分のレギュラー番組を持てることは本当に光栄すぎます。

制作中のアルバムと、5年ぶりのワンマンライブについて

──で、楽曲制作も水面下では進行しているそうで。リリースの予定も決まっているそうですね。

安東由美子

はい。今はライブとラジオと制作と、3つのことを並行してやっている怒涛の毎日なので、「アレ、今日はなんだっけ?」みたいにこんがらがることもあるんですけど(笑)、充実していて楽しいですね。次のCDリリースは今年中を予定してます。もちろんセルフプロデュースで。

──豪華なミュージシャンの方々の参加も予定されているとか。

そうなんですよ! エンジニアはもちろん牧野英司さん、バックバンドは80年代に活躍されてた方にお願いしました。まだ全部は公表できないんですけど、寺尾聰さんのバックを務めていた方にもお願いしています。私の思いの丈をつづった手紙を直接お渡しして、皆さんを口説いていったんですけど(笑)。

──その行動力は以前から変わらないですね。

変わらないですよねえ。自分が好きだと思った方、尊敬できる方には思いを伝えないと気が済まないと言うか(笑)。で、「絶対断らないでくださいね!」って言って、レコーディングにも参加していただいちゃうっていう。いっせーのでっていう感じで勇気を振り絞ります。

──まあでも、そう言われたとしても本当にイヤだったらOKしてはもらえないはずですからね。何かしら安東さんに惹かれる部分があるということなんでしょうね。

どうなんですかね。しつこいからかもしれないですよねえ(笑)。

──手紙で思いを伝えるところもいいんじゃないですかね。昭和っぽくて。

昭和生まれですからね(笑)。メールのような電子的なものを介しての触れ合いではなく、ちゃんと温もりを感じられるやり取りをしたいっていうこだわりは強いんですよ。レコーディングのオファーに関しても、メールで「お願いします」みたいなことは絶対にやらないですから。直接お会いするか、お手紙か、最低でも電話してお話しするようにしてます。私は時代劇が好きでよく見るんですけど、昔は物事を伝えるのに馬を使って何日もかけていたわけじゃないですか。私は現代でもそういう人でありたいんですよね(笑)。

──Twitterなども今はやってないそうですね。

SNSも以前はやっていましたけど、そこでのつながりがうわべだけのもののような気がしてきちゃったので、全部やめました。なぜ「お誕生日おめでとう」とSNSで発言しないといけないかわからないです。唯一、ブログだけはやってますけど、ファンの方との触れ合いは基本、ライブでできれば幸せです。ラジオも1対1だと思っていますので、大切なコミュニケーションです。全部のメッセージを毎回ファイルに大切にとってあります。とにかく今は、新しい音源を届けたいと思っています。バンド編成でのひさしぶりの新作を制作中なので、楽しみにしていていただければと思います!

安東由美子 アルバム 「私の事情(仮)」
2017年冬頃発売予定
安東由美子「高嶺の花(仮)」

全作詞、作曲、プロデュース
安東由美子

収録曲
  • 涙の止めカタ
  • 希望のハンカチ
  • 匿名にゆれる大人たち
  • 7つのストロベリー
  • 不安定をなぜ拾わない?

ほか収録予定

エンジニアに旧知の仲である牧野英司を迎え、安東由美子が全編セルフプロデュース。演奏陣には昭和の歌謡曲を愛する安東ならではの、当時から活躍するミュージシャンが集結。またリリース後にはゲストを迎えたワンマンライブも予定されている。

安東由美子(アンドウユミコ)
安東由美子
3月15日生まれ、広島市育ちの女性シンガーソングライター。音楽業界のOLとして働いていたが、2010年秋より作詞作曲活動を開始し、同時に都内でのライブ活動をスタートさせる。2011年9月に根岸孝旨のプロデュースによるシングル「平凡ガール」でデビュー。2012年9月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでのワンマンライブを完売させ、同月1stアルバム「年齢制限」をリリースした。しかし翌10月にうつ病とパニック障害の悪化により引退。2014年3月に活動を再開したが、2017年3月には再びライブ活動無期限休止を発表し、6月に持病の完治を受けて再び活動をスタートさせた。