“嬢メタル”シーンの立役者と呼ばれて

──お話を伺っていると、メンバーはそれぞれ違った音楽的なルーツを持っているようですよね。純粋なメタル好きだけを集めなかったのは狙いだったんですか？

Yoshi　そういう狙いはまったくなかったんです。もともとJ-POP的な曲も多かったですし、「メタルだからこういうテイストはダメ」みたいな制限も当初からなくて。いろんなルーツを持ったメンバーが集まったことで、音楽的に幅のある今のAldiousにつながったと思うんですね。きっとメタル大好きな人ばかりが集まっていたら一辺倒な音楽しか作れなかっただろうし、「メタルはこうじゃなきゃダメだ」みたいな変なこだわりがぶつかり合ってうまくいかなかったんじゃないかな。

──バンドとしての好況は音を聴いても伝わってきますよね。

Yoshi　CDデビューしてからの7年間を考えてみても、リリースもツアーもコンスタントにやらせてもらえているので、本当に恵まれた環境で活動できているなって改めて思います。

トキ　ライブに関しては結成当初、最前列に誰もいなくて、私たちだけが頭を振って演奏してるみたいな状況がありましたけど（笑）、今は全国各地に待ってくれているお客さんがたくさんいるし、楽器の音がかき消されちゃうくらい大きな歓声で迎えてくれるんで本当に幸せだなって思います。もちろんまだまだ上を目指したいっていう願望は尽きないですけどね。常に欲張り状態なので（笑）。

──Aldiousは女性によるメタルバンド、いわゆる“嬢メタル”と呼ばれるシーンを牽引している立役者でもあるわけですが、そこに関してはどう受け止めていますか？

Yoshi　“嬢メタル”っていう言葉はもともと、Arch EnemyやThe Agonistといった女性ボーカリストを擁する洋楽メタルバンドの総称として存在していたものだったんです。それを私たちがデビューするときに使ったことで日本でも認知されるようになって。そのきっかけは確かに自分たちだったと思います。今って以前よりガールズメタルバンドがけっこう多くて、対バンのときに「Aldiousさんに会えてうれしいです！」と言ってくださることが増えていて。うちらとしてはそんなすごいことをやってる意識がないので、「え、どうしよう。すいません」みたいな感じになっちゃうことはありますね（笑）。

トキ　ただ、メタル系の若いガールズバンドが増えていくこととか、ファンの女の子たちが私たちに影響を受けてギターを始めてくれているのを見ると、純粋にうれしいですね。私自身、大好きなギタリストに憧れてギターを始めたので、それに近い存在になれているんだなって。

──男性メタルバンドには負けたくない、といった嬢メタルとしての誇りみたいなものはありませんか？

Yoshi　バンドとしてはそこまで意識してないですね。かわいいものが好きとか、それこそドレスを着ていることもそうですけど、そういう部分は女だからこその表現だと思うので。女である自分たちがやりたいことをやる、それがAldiousってことなんだと思います。

5人の個性が凝縮されたアルバムに

──ニューアルバム「Unlimited Diffusion」はメタルを軸にしつつも、Aldiousならではの幅広いサウンドが目白押しな仕上がりですよね。非常に楽しく聴かせていただきました。

Re:NO　ありがとうございます！ Aldiousとしてはメタルはもちろん、ポップな曲からバラードまでバラエティ豊かな曲を表現できるバンドでいたいなって思っていて。今回のアルバムを聴いてもらえれば、その思いは確実にわかってもらえると思いますね。私たちが今できるすべてを詰め込んだので。

トキ　今回は初めて、メンバー5人それぞれが作曲した楽曲が入っているんですよ。バラバラのルーツを持つみんなの個性が色濃く出たことで似たような曲が1つもないし、前作以上のバリエーションを見せることができました。

──それぞれがデモを持ち寄って、そこから収録曲をセレクトしていく流れですか？

Yoshi　今回はみんなが持ち寄ったデモをプロデューサー（地獄カルテットの小林信一）さんにチョイスしてもらった感じですね。

トキ　デモの段階でそれぞれの色がめちゃくちゃ出てて面白いんですよ。聴いた瞬間に、「これは誰のデモやな」って丸わかり（笑）。そこからアレンジしていくと最終的にしっかりAldiousの音になっていくんです。

──「Utopia」と「Without You」のミュージックビデオを観させていただいたんですけど、この2曲だけでもAldiousの持つ振り幅の広さを実感できますよね。

Re:NO　あんな振り幅が見せられるバンドもなかなかいないですよね（笑）。「Without You」に関しては、前回のアルバム（2015年12月発売の「Radiant A」）に入ってた「die for you」のようなポップさをイメージして作りました。ライブでお客さんと一体になれるようにハンドクラップをたくさん入れて。

──MVも非常にポップな仕上がりで。Re:NOさんはかわいい演技もされていますね。

Re:NO　あれはもう……すいません（笑）。監督さんがすごく細かく指示をしてくださったので、自分の中の演技力をフル稼働させてがんばりました。ここまでやっちゃっていいのかなっていう思いもありましたけど（笑）。

Yoshi　で、もう1曲の「Utopia」は音源もMVもライブでのAldiousって感じですね。

サワ　そうだね。かなり暴れてる感じで（笑）。ライブでああいうタイプの曲をやらないと不完全燃焼な感じになっちゃうんで。

トキ　頭を振らないとウズウズしてくるからね（笑）。