映画ナタリー Power Push - 「アイアムアヒーロー」
有村架純が証言、知られざる“ZQN”ワールドの裏側
花沢健吾のコミックを原作とした実写映画「アイアムアヒーロー」が4月23日に封切られる。「GANTZ」「図書館戦争」シリーズの佐藤信介がメガホンを取った本作は、謎のウイルスに感染した“ZQN(ゾキュン)”がはびこる世界で、生き残りを懸けて戦う人々を追ったサバイバルホラー。日本公開に先駆けて海外の映画祭で上映され、第48回シッチェス・カタロニア国際映画祭、第36回ポルト国際映画祭、SXSW 2016ミッドナイターズ部門の観客賞をはじめとする数々の賞を獲得した。
映画ナタリーでは、本作でヒロインの早狩比呂美を演じた有村架純にインタビューを実施。原作との出会いや役作りのプロセス、大泉洋や長澤まさみとの共演エピソード、韓国ロケの思い出を語ってもらった。
取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 塚原孝顕
- ZQN(ゾキュン)とは
- 人間が謎のウイルス感染によって変貌を遂げた生命体の通称。理性を失っており、人を襲ったり、感染前に習慣としていた行動や言動のみを繰り返すようになる。
1、2シーンで比呂美の苦しさをどう表現できるだろう
──まず、「アイアムアヒーロー」との出会いから聞かせていただければと思います。映画の台本を読んだとき、比呂美というキャラクターにどんな印象を抱きましたか?
映画の台本を読んだときは、比呂美が真っ当な人間として生きている期間が少ししか描かれていなかったので、「この1、2シーンで比呂美の苦しさをどう表現できるだろう?」と考えていました。
──2015年公開の「映画 ビリギャル」より前にこの役を演じられたそうですね。どのように役作りをしていきましたか?
物語の中盤から人間とZQNの要素をあわせ持った女の子になるというところが難しかったです。ZQNがどんなものかは誰もわからないし、正解がないんですよ。監督に聞いても「お任せします」と言われてしまって、どうしようかな……と悩みました。お任せされるってことは自由にやっていいんだろうけど、表情を豊かにすると人間っぽくなってしまうし。人間とZQNの境目を見つけるのが難しかったですね。
──なるほど。ZQNに半感染してからの比呂美が、抱いていたかもしれない葛藤なども想像しましたか。
人間の心よりZQNのほうが勝ったときに、英雄さんを襲おうとするのかとか、そういうことを考えました。英雄さんを襲いたい気持ちと「いやいや違う違う!」って自分を制止する気持ちの板挟みになったり。そういうのが比呂美の中でずっとあったんだろうなと想像しました。
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「アイアムアヒーロー」2016年4月23日より全国公開
鈴木英雄は35歳のマンガ家アシスタント。うだつの上がらない日々を過ごしていた彼がある日徹夜仕事を終えてアパートに戻ると、謎のウイルスに感染して異形の姿となった恋人てっこの姿が。彼女と同様に突然変異した“ZQN”があふれ、感染パニックに陥った街で、英雄は女子高生の比呂美や元看護師の藪と出会う。そして増殖していくZQNに立ち向かうべく、趣味の猟銃を手にした英雄。果たして彼は本物の英雄(ヒーロー)となり、比呂美と藪を守り抜くことができるのか……。
※映倫区分:R15+
スタッフ
原作:花沢健吾(週刊ビッグコミックスピリッツにて連載中)
監督:佐藤信介
脚本:野木亜紀子
音楽:Nima Fakhrara
キャスト
鈴木英雄:大泉洋
早狩比呂美:有村架純
藪:長澤まさみ
伊浦:吉沢悠
サンゴ:岡田義徳
てっこ:片瀬那奈
中田コロリ:片桐仁
松尾:マキタスポーツ
三谷:塚地武雅
アベサン:徳井優
© 2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 ©2009 花沢健吾/小学館
有村架純(アリムラカスミ)
1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。主な作品に「ストロボ・エッジ」「映画 ビリギャル」「僕だけがいない街」がある。また舞台「ジャンヌ・ダルク」、長編アニメーション「思い出のマーニー」への出演など、ジャンルを問わず精力的に活動している。公開待機作は「夏美のホタル」「何者」。
2016年4月22日更新