映画ナタリー Power Push - 「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」

選ばれし子どもたちとデジモンの絆

1999年から2001年にかけて放送された「デジモンアドベンチャー」「デジモンアドベンチャー02」の続編として、2015年に劇場上映がスタートした「デジモンアドベンチャー tri.」。全6章で制作される本シリーズのターニングポイントとなる第3章の上映を目前に控え、映画ナタリーでは第3章の物語で中心となる泉光子郎役の田村睦心、テントモン役の櫻井孝宏、高石タケル役の榎木淳弥、パタモン役の松本美和による座談会を実施した。あふれるデジモン愛と、ますます進化を遂げるシリーズの今後に向けた意気込みを、ぜひお楽しみあれ。

取材・文 / 前田久 撮影 / 小坂茂雄

これまでの「デジモンアドベンチャー tri.」

第1章

ストーリー

「デジモンアドベンチャー tri. 第1章『再会』」より。
「デジモンアドベンチャー tri. 第1章『再会』」より。

八神太一ら選ばれし子どもたちが異世界・デジタルワールドへ渡ったあの夏の冒険から6年。

そして、八神ヒカリたちとベリアルヴァンデモンとの最後の戦いから3年の月日が流れようとしていた。

平穏な毎日が続く中、いつの間にか閉じてしまったデジタルワールドへのゲート。

選ばれし子どもたちにもその原因は分からぬまま、時間だけが過ぎ去っていく──。

そんなある日、突如としてお台場の街にクワガーモンが出現。

その暴走により街は破壊され、人々は大混乱に陥る。

「デジモンアドベンチャー tri. 第1章『再会』」より。
「デジモンアドベンチャー tri. 第1章『再会』」より、後列左から2番目が高石タケル(榎木淳弥)、3番目が泉光子郎(田村睦心)、前列左から4番目がパタモン(松本美和)、5番目がテントモン(櫻井孝宏)。

クワガーモンを偶然見かけた太一は、暴走を止めるために単身その姿を追いかけるのだった。

しかし、クワガーモンと対峙するも、どうすることもできない太一。

「駄目だ……俺1人じゃ、何もできない……」

咆哮とともにクワガーモンが太一に襲いかかったその瞬間、デジヴァイスが大きな光を放ち始めた。

「太一、でっかくなったなーっ!」

懐かしいあの声とともに、物語は再び大きく動き始める。

見どころ

「デジモンアドベンチャー」の新たな物語の始まりとして、シリーズのファンから大きな期待と不安を持って迎えられた第1章。ふたを開けてみれば、上映期間が延長されるほどの好評を博した。幼い頃の面影を残しながらも、思春期にさしかかってより複雑な心情を抱くようになった選ばれし子どもたちの姿は、ファンにとって感慨深いものだったのではないだろうか。デジモンたちの活躍も、洗練されたCGと、けれん味のある作画によって表現され、見応えあり。また、旧作の楽曲群を今作用にアレンジした新しいBGMや挿入歌「brave heart~tri.Version~」そして主題歌「Butter-Fly~tri.Version~」が、作品の魅力を後押ししていた。

第2章

ストーリー

「デジモンアドベンチャー tri. 第2章『決意』」より。
「デジモンアドベンチャー tri. 第2章『決意』」より。

アルファモンが出現してから時は流れ、お台場の街は少しずつ復興が進んでいた。

「日本に帰ったら、絶対大きいお風呂に入ろうって決めてたんだ!」

ミミの一声もあり、新たに仲間に加わった望月芽心とメイクーモンを歓迎するために選ばれし子どもたちは近所の温泉テーマパークへ。

楽しいひとときを過ごす一同だったが、そこに丈の姿はなかった。

大学受験という目の前にある現実と、選ばれし子どもであるという責任の間で煩悶する丈。

「なんでまた、僕たちがやらなきゃならないんだ?」

「デジモンアドベンチャー tri. 第2章『決意』」より。
「デジモンアドベンチャー tri. 第2章『決意』」より。

そんな折、またしてもお台場に感染デジモンが現れる。

それはあの誇り高きウィルス種、オーガモン。

暴走するその姿をテレビ局のヘリコプターが中継する中、立ち上がるミミとパルモン。

「いいデジモンもいるってことを、はっきりわからせてあげる!」

しかし、光子郎の制止を無視したミミとパルモンの戦いは、予想外の結果を招くのだった。

それぞれに悩みを抱える丈とミミ。

月島総合高校の文化祭当日、そんな2人の前に、あの男が現れる……。

見どころ

「デジモンアドベンチャー」といえば、デジモンたちの無邪気な行動が引き起こすスラップスティックなギャグも作品の重要な要素だった。第2章ではそうした往年の魅力を思い起こさせるトラブルが次々と描かれ、笑いを誘う。一方、受験に悩む丈の姿は、身につまされるものがある。こうした現実的な問題を、巧みに作品の中に織り込むスタイルは、「デジモン」らしいところ。第1章に引き続きデジモンたちのアクションも濃厚だが、この章であえて画の見どころをあげるなら、ヒロインたちのキュートな活躍か。お風呂にコスプレ、眼福ですぞ。

劇中バンドKNIFE OF DAYのボーカル・石田ヤマト役の細谷佳正からコメントが到着!

KNIFE OF DAYとは

「デジモンアドベンチャー tri.」に登場するバンド。細谷が声を当てた石田ヤマトは、ベースとボーカルを担当している。本作のエンディングテーマ「僕にとって」で9月21日にメジャーデビューを果たす。

細谷佳正

「僕にとって」を最初に聴いたときは、ヤマトのガブモンに対する思いなのかなって感じました。デジモンたちと離れ離れになってしまうシーンのアフレコをしたあとだったので、余計にそう思ったんですよね。ただ、今まで自分が関わらせていただいたキャラクターソングというのは、セリフだったり展開だったりを直接的に歌詞にしたものが多かったんですけど、「僕にとって」は、ストーリーの大きな流れを歌詞にしていると思ったし、具体的に語りすぎてないところが多くの人に共感していただける曲になっていると思います。

「デジモンアドベンチャー」という長い歴史のある作品の中で、EDテーマを歌わせていただくということは、アニメに関わらせていただいている者として非常に大きな出来事だと思います。石田ヤマトとして僕を選んでいただいたというのは、制作陣の方々、スタッフの方々など、いろんな人の意志があるし、EDテーマを歌うことを想定して選んでいただいたと思いますし、それはすごくありがたいし、感謝しています。ですがエンタテインメントは見られて、そして聴いてもらってなんぼなので、ここからだと思うんですよね。だからその第一歩として「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」を観ていただいて、EDテーマを聴いたお客さんに喜んでいただけることが、僕を選んでいただいた方が望んでいることだと思うので、まずは劇場で、いい音響で作品の一部としてのEDテーマを楽しんでいただければと思います。そこで僕もやっと胸をなでおろせると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います!

Contents Index
これまでのストーリー&細谷佳正コメント
田村睦心×櫻井孝宏×榎木淳弥×松本美和インタビュー
キャラクター紹介
「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」

「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」2016年9月24日より全国11館にて劇場上映

“選ばれし子どもたち”がデジタルワールドへ渡ったあの夏の冒険から6年。高校生に成長した彼らはそれぞれのパートナーデジモンと再会を果たし、望月芽心とメイクーモンが新たに仲間に加わった。しかしメイクーモンが突如異変を起こしてデジタルワールドの歪みの向こうへと姿を消してしまう。選ばれし子どもたちは、メイクーモンが“感染”したのではないかと考え、原因を探ることに。さらなる被害を防ぐためにデジモンたちは光子郎のオフィスに隔離されるが、パタモンに感染の兆候が見え始めて……。

スタッフ

製作:高木勝裕
企画:森下孝三
原案:本郷あきよし
監督:元永慶太郎
シリーズ構成:柿原優子
脚本:柿原優子、広田光毅、鈴木貴昭
キャラクターデザイン:宇木敦哉

キャスト

八神太一:花江夏樹
武之内空:三森すずこ
石田ヤマト:細谷佳正
泉光子郎:田村睦心
太刀川ミミ:吉田仁美
高石タケル:榎木淳弥
城戸丈:池田純矢
八神ヒカリ:M・A・O
望月芽心:荒川美穂

アグモン:坂本千夏
ピヨモン:重松花鳥
ガブモン:山口眞弓
テントモン:櫻井孝宏
パルモン:山田きのこ
パタモン:松本美和
ゴマモン:竹内順子
テイルモン:徳光由禾
メイクーモン:森下由樹子