2人には君臨していてほしい

──ゼロサムの誌名以外にも、作家さんが編集に対して提案したことはありますか？

杉野　ありますね。高河さんの「LOVELESS」と峰倉さんの「最遊記RELOAD」の1巻は限定版に小冊子を付けてたんですけど、それは高河さんのアイデアでした。昔は限定版の付録っていったらマウスパッドとかストラップとかのグッズで、小冊子を付けるっていうのはなかったんですよ。

高河　私が「マンガのおまけはマンガがいい。マンガだけでいいの！」って言って。

──ほんとにマンガがお好きなんですね。

高河　マンガもマンガ家も大好きです。ゼロサムのパーティに行っても、同じ雑誌のマンガ家同士仲良くしたい。逆に峰倉さんは、同業者に強烈なライバル意識を持つタイプだよね。

峰倉　そうですね。別に仲悪くしたいわけではないんですけど、仲良しこよしで馴れ合うつもりはない。仲間だけどライバルって感じですかね。

杉野　高河さんや峰倉さんに憧れてる新人の作家さんもどんどん出てきてるけど、新人作家には2人を追い抜く気でいてほしいし、この2人には君臨していてほしいですね。

──作家と編集が切磋琢磨しあいながら作っている雑誌、という感じですね。

高河　でも私はあくまで編集は友達じゃないと思ってるし、馴れ合ったらいけないと思ってるから。描き手サイドの意思が全部通ればいいってものでももちろんないので。つまんなかったらつまんないとか、ちゃんと反対意見を言うべきところは言って私と闘ってほしい。自分は雑誌に参加するし、雑誌のこと大事に思ってるけど、それは自分が思ってるだけだから、参加させてくれるかどうかは別にどっちでも構わない。それは編集が選択すること。

杉野　峰倉さんも前に同じこと言ってましたよね。売れなくなったけど、ずっと世話になってるから連載切るのはやめておこうとか、そういう気の使い方だけはやめてくれって。

峰倉　明らかにつまんないんだけど、世話になったからこの辺に載せといてやるか、みたいな同情受けるのだけは嫌だから。

──新人作家もどんどん育ってきてると思いますが、ゼロサムならではのテイストってどんなところでしょう？

杉野　もちろん、魅力的なキャラクターや絵柄ありきで人気が出る場合もあるんですけど、僕はドラマ性が高い作品が好きですね。ドラマ部分の魅力で読まれてほしいです。そのためには、まあページ数がいるんですけど……。

高河　……えっ？ まあ、ページ数はね……あったほうがいいな～。

峰倉　……。

杉野　……とにかくふたりに求めるのは、毎月30ページは描いてもらうことですよ！ あえて言いますけど、ゼロサム100号、高河さんが8ページで、峰倉さんが10ページ！

峰倉　何で100号でやらかしちゃったんだろうな……ネームはもっとできてたのに……。

高河　120ページくらい描きたかったのに……。すみません……。でも、200号ではそんくらい描くから！