コミックナタリー Power Push - “ネオ懐マン”復刊ムーブメント
90年代の少年たちへ捧ぐ! いま読むべき作品を徹底解説
●あらすじ環境汚染が進み、平均寿命20歳という惑星ブルーに生まれた完全なる健康体を持つ少年・星光が、星を救うべく母星ブルーを飛び立つSFファンタジー。2巻まで発売中、3巻は2011年7月下旬発売予定。月刊アニメージュ(1995年~)初出。
人造戦士5兄弟にカップリング妄想刺激されまくり
柴田亜美の未完の作品が10年の時を経ていよいよ復刊。1~2巻には2ページのおまけマンガ、さらに3巻では、なんと40~50ページを描き下ろし完全版での登場! 柴田亜美自身、途中で止まったままだった「惑星グリーン」編を描き終えたいという気持ちがもともとあり、「そんなに急がなくても良いのであれば…」と、大幅な描き下ろし付きでの復刊が決まったのだとか。
ストーリーは、絶滅の危機を迎えている惑星ブルーを救うため、唯一の健康体を持つ少年・星光が「チャンネル5計画」を実行することになるという、壮大なスケールのSF。しかし見どころはなんといっても、5つの惑星に散らばっている5兄弟の人造戦士、“炎雷剛刃紅の衆”。個性の異なる5人の各キャラクターの魅力と、カップリング妄想刺激されまくりの兄弟の関係性は、多くの女性ファンを生んだ。実際「復刊ドットコム」でも、リクエストは20代~30代の女性が多いという。
気になる3巻の描き下ろし部分については現在も作画中らしく、ストーリーがどのような着地を見せるのかはまだわからない(柴田先生がんばって!)。ファンにとっては待った甲斐のある結末を期待したい。
●あらすじ暗黒の時代、大魔王の封印をあえて解いたハタ迷惑な王様に、「勇者だ」とムリヤリ仕立て上げられた魚屋・ズックが仲間と共に世界を救うRPGギャグマンガ。上下巻が発売中。月刊少年ギャグ王(1994年~)初出。
魚屋が魔王退治!? シリアスとギャグの絶妙なブレンド
エニックス(現スクウェア・エニックス)が1994年に創刊した月刊少年ギャグ王で連載されていた看板作品の復刊。「ドラゴンクエスト」的な中世RPGの世界観をモチーフに、魚屋を営む主人公・ズックが勇者となって世界を救うというギャグマンガで、テンションの高いギャグと安定した絵柄が魅力である。
またガンダムやエヴァ、AKIRAなどのパロディも盛り込みつつ(おまけのエッセイまんがは桜玉吉テイスト!)、後半に「自然環境と人間の生き方」といった重いテーマを投げかけながらも、シリアスとギャグのブレンド具合は決してブレない。今の鑑賞にも耐えうるクオリティの高い作品だ。
ギャグ王ではトップクラスの人気を得ており、熱烈なファンも多数存在していたが、作者の牧野博幸はこの作品以後、徐々にマンガ界からフェードアウト。近年では執筆活動を行っていない状態が続いていて、復刊ドットコムでも連絡先を調べるのに苦労したという。しかし「勇者カタストロフ!!」復刊のニュースが予想以上の話題と反響を呼び、作者の元には再びマンガの仕事が舞い込むようになったとか(イイ話!)。
今回の上下巻にはカバー裏のダブルジャケットやカバー下のおまけマンガなど、遊び心もいっぱい。まさにすべての人が幸せとなる復刊である。