コミックナタリー Power Push - マーガレットコミックス特集 あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言 第4回 中原アヤ「ダメな私に恋してください」「ラブ★コン」

テンポのよさが命!キャラが生きる会話劇

実写映画化やアニメ化もされた「ラブ★コン」をはじめ、別冊マーガレット(集英社)で20年近く活躍してきた中原アヤ。大阪出身の彼女はテンポのよい会話劇を描き、生き生きとしたキャラクターたちを生み出してきた。

最新作「ダメな私に恋してください」ではアラサー女子を主人公に据え、YOU(集英社)へと発表の場を移行。コミックナタリーでは中原にインタビューを敢行し、「ダメ恋」の読みどころや、中原節とも言える会話劇を生み出す秘訣を聞いた。

取材・文/坂本恵

 
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(推しは)銀河一かっこいいですね。人生楽しいです

──「ダメな私に恋してください」は、特撮ヒーロー「イシャレンジャー」にハマるダメなアラサー女子・ミチコが、イシャグリーンにそっくりな年下の男の子にハマって貢いでしまうところから始まります。まずは作品が生まれたきっかけを教えてください。

イシャレンジャーにどっぷりとハマり、握手会や舞台に通いまくっていたミチコ。

アイドルとか俳優さんとか二次元キャラとか、多種多様な対象に情熱を捧げる人が私を含め周りにたくさんいて、その生き様がすごく面白いと思ったんです。自分で自分のことを面白いって言うのもなんですが(笑)。そこを深く掘り下げて描いてみたかったんです。ただ、オタク活動を中心に描いてしまうと少女マンガというジャンルから外れてしまうので、主人公にはオタクの情熱を抱えたまま近くの人に貢ぐというダメな恋愛をしていただくことにしました。

「されど愛しい日々」のタマちゃんはアイドルにハマり、専務にまでチケット取りを頼む始末。

──「ダメ恋」のミチコや門真さんはイケメン俳優を追っかけてますし、「されど愛しい日々」のタマちゃんもアイドルにハマってましたね。とにかく描写にとてもリアリティがあるので……。

追っかけの描写は、だいたい私の体験に基づいてます。

──やはり! これまで、どういったものにハマってこられたんでしょうか。

ジャンルも割と幅広く触れてきたのですが、そうですね……SMAPさんはデビュー当時からずっと好きです。今も定期的にコンサートに行っている、私の殿堂入り最推しアイドル様です。特撮を通って俳優さんを追いかけたこともありましたね。でもここ最近はずっと2次元を愛でています。言葉にならないほど愛おしくて名前を言うだけで泣いてしまうので、誰にハマっているのかは明らかにできませんが、ま~~~~~~~銀河一かっこいいですね。時々かっこよすぎて失神します。人生楽しいです。生きててよかった。

「自分よりひどいのがいる」と笑ってもらえるような主人公

──主人公のミチコというキャラクターは、どう作っていかれたんでしょう。

いい年なのに親にお金を借りようとするダメなミチコ。

ミチコはタイトル通り「ダメな私」にしたくて、読者さんに温かく応援してもらえたり誰からも好かれたりするような女子としてのかわいい要素を、全部排除するようにしました。かわいいと普通に愛されてしまうので説得力がないな、と。だから徹底的にダメな女子にして「こうはなりたくないな、気をつけよう」と反面教師にしてもらったり「うわっ、自分よりひどいのがいる」と笑ってもらえるような主人公を目指しましたね。

──確かに年下に貢いでしまったり、後輩社員には怒れなかったり、ミチコのダメ女っぷりは実際にありえそうで、見てると気を付けなきゃな……と思います(笑)。

ついにミチコは消費者金融で借金をしてしまう。

ああいったエピソードは、だいたい自分にあったことと、周りの人たちがネタ元です。さすがに借金までして貢ぐ人はいなかったのでそのあたりは盛っていますが。真面目にきちんと生きている人から見ると、あまりのダメっぷりに腸が煮えくり返るかもしれません。でもダメ女だってダメになろうと思ってるわけではなく、自分なりに一生懸命生きていると思うんです。キラキラした対象を追いかけるのも疲れた自分への栄養剤を自ら補給して1人で立ち直ろうという努力のひとつだし……。自分の周りのあるあるを並べているだけですが、そういう人はたくさんいらっしゃると信じているので「こんなこともあるけど、自分なりにがんばってはいるんだよね」と同族の方々の肩を優しくぽんぽんできるエピソードになればといつも思っています。

──ミチコはダメ女ですが、どんなことだったらしそう、しなさそうという線引きはあったりするんでしょうか。

ダメな部分の線引きは、客観的に見て笑えるか笑えないか、というところだけです。失敗を人のせいにするとか、ずるいことをするとか、本気で人に嫌われてしまうようなことは、当たり前ですがしないようにしています。自分のせいで誰かに迷惑をかけたり傷つけてしまうことはダメ女なので多々あるのですが、あとで猛省して素直に謝ってフォローに励みます。ダメ女ですが本当のダメ人間にはならないよう心がけています。

「ドS、鬼」的煽り文句がいつの間にか「オカン系男子」に

──路頭に迷ったミチコを助ける黒沢は、どう生まれたキャラクターですか?

黒髪メガネでドSっぽい見た目の黒沢主任。

主人公のお相手として傍にいるのが苦手な上司、というのはアラサー少女マンガの王道でもあると思うので、黒沢主任は王道に基づきそうしました。王道が大好きなものですから。

──確かに設定は王道ですね! でも、ありきたりな感じはまったくしないです。

やっぱり自分らしいテイストも入れなきゃいけないので、ミチコには主任に対し大変失礼な態度で接してもらうことにしました。どうでもいい人にはどうでもいい態度を取ってしまうことってあるじゃないですか。でもどうでもいい人と接した時こそ、一番素に近い人柄が出ると思うんです。そんな素の面白さを2人の会話で表現したくて、ミチコと黒沢主任が固まっていきました。

──黒沢にモデルはいたりするんでしょうか。

モデルは特にありません。ビジュアルもその辺のヘアカタログから取ったくらいで。編集さんと相談しながら、主任は黒髪メガネ、やっぱりドSですかね、ってここも少女マンガの王道に則ってなんとなく描き始めましたが、やっぱり自分の中にないものは描けないんですね。ドSがまったく生まれてこない。ドSのつもりで描いたネームをチェックしていただいても「優しい、まだ優しい」と何度も直すことになり、最終的に、ドS諦めました。

ドSかと思いきや、ミチコの世話を焼いてくれるオカン系男子・黒沢主任。

──えっ。

予告や表紙にある「ドS、鬼」的煽り文句がいつの間にか「オカン系男子」に変わっていて編集さんに申し訳ないなと思いましたね(笑)。という感じで特定の誰かをモデルにしようとしても自分にないものが描けなくてイラッとするばかりなので、たいていキャラにモデルはいないんです。あ、ミチコのダメ女っぷりのモデルはほぼ私です。

──ミチコと黒沢以外にも、姉御肌の晶さんや純粋男子な最上くんなど、個性的なキャラクターがたくさん出てきます。

年下男子に騙し取られたお金を一緒に取り返しに行ってくれる姉御肌の晶さん。

晶さんは描いていて楽しいですね。脇役なので誰かに嫌われてもオッケー的自由度が好き放題させてくれますし。晶さんには私の中の憧れみたいなものを詰め込んでいます。主に肉食っぽいところ、あと頼りになる姐さんなところですかね。どれも私にはないものですが、不思議と晶さんは一番早く筆が進みます。憧れというか「本当はこうしたいけど出来ない」って思いを晶さんで爆発させてるのかもしれません。

──憧れが強いと筆が進むんですね。ほかにも好きなキャラクターや、思い入れのあるキャラクターはいますか?

登場キャラクターはみんな好きです。とは言っても自分の作ったキャラに萌えるということができない人なので、家族とか身内的な「好き」です。全員に自分の中の一部が入っているので同じ血が流れてるというか……。だから言うこときかない時は腹が立つし、思い通り動いてくれた時は大好きになりますね。

マーガレットコミックス特集 あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言 特集一覧・連載作品年表はこちら
第1回 河原和音
第2回 咲坂伊緒
第3回 神尾葉子
第4回 中原アヤ
第5回 森下suu
第6回 あいだ夏波
第7回 やまもり三香
第8回 水野美波
第9回 幸田もも子
第10回 宮城理子
第11回 佐藤ざくり
第12回 椎名軽穂
第13回 小村あゆみ
第14回 いくえみ綾
第15回 ななじ眺
第16回 八田鮎子
番外編 マーガレット&別冊マーガレット編集長インタビュー

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中原アヤ作品
中原アヤ「ラブ★コン カラー版」
中原アヤ「ラブ★コンTWO」
中原アヤ「ときめき学園♥王子組」
中原アヤ「ナナコロビン」
中原アヤ「ベリー ダイナマイト」
中原アヤ「純情ドロップ」
中原アヤ「されど愛しい日々」
中原アヤオススメ作品
弓月光「エリート狂走曲」
弓月光「ボクの初体験」
いくえみ綾「バラ色の明日」
きら「まっすぐにいこう。」
高梨みつば「悪魔で候」

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中原アヤ(ナカハラアヤ)
中原アヤ

大阪府出身。しし座、A型。別冊マーガレット1995年6月号(集英社)に掲載された「春と空気と日曜日」でデビュー。2001年に同誌で連載を開始した「ラブ★コン」は、実写映画化、アニメ化され大ヒット作となった。ほか著作に「ナナコロビン」「ベリー ダイナマイト」「純情ドロップ」「されど愛しい日々」などがある。2013年からは月刊YOU(集英社)に発表の場を移し、「ダメな私に恋してください」を連載中。