コミックナタリー Power Push - なごみさん/クレムリン
話題のハートフルコメディを大解剖 脱力系猫マンガ「クレムリン」突如乱入!?
関羽暴走、インタビューは思わぬ波乱の方向に
宮本 うちの猫カイムは、なごみさんの愛猫おにぎりのモデルなんですよ。
──本当だ、体の模様がそっくりですね。
宮本 実際はおにぎりより、うちのカイムのほうが断然わんぱくですけど。インクをひっくり返されて、完成間近の原稿を台無しにされたこともありました(笑)。もともとなりゆきで飼い始めたので、最初は暴れっぷりに悩まされましたけど……可愛くていまではすっかり猫に癒される毎日です。
関羽×3 「いまでは」とは何ごとニャ……。そんなことだから僕らみたいな捨て猫が増えるんだニャ……。
──そこのネコ、ちょっと黙っててもらえます? ところで宮本さん、「なごみさん」掲載誌のモーニングって猫が登場するマンガが多いですが、頭ひとつ抜きん出てやろう! みたいな野心とかはないんですか? 「打倒チーズスイートホーム!」とか(笑)。
宮本 いやいや、恐れ多い(笑)。手に取った人が読んで、和んで笑ってくれればそれでいいです。「なごみさん」はトイレに置くのにぴったりなんじゃないですか(笑)。“あれば読むけどないと寂しいマンガ”的な位置づけで。私自身、気負わずゆるゆると生きていきたいし、マンガも細く長く描いていきたいなあ。
──ゆるゆるとおっしゃいますが、月刊コミックZERO-SUM(一迅社)で「拝み屋横丁顛末記」連載を続けつつの隔週連載。いまはかなりお忙しいのでは。
宮本 そう、なぜか気がついたら忙しくなってて……間違いなくいまが人生で一番働いてます(笑)。でもいままで相当ゆるく生きてきてあまり頑張ってこなかったんで、これだけがむしゃらに働く時期があってもいいかなと。お仕事をいただけるうちが華なので。
宮本 テーマやジャンルにこだわりはないので、これからもぼちぼちマンガが描ければ(笑)。需要がなくなったらなくなったで、どこかでアシスタントとして雇ってもらおうかなって。「クレムリン」のアシスタントに入れてもらおうかなあ。
関羽×3 人気者がそんなこと気やすく言っちゃダメだニャ。宮本先生は、どうしてマンガを描いてるニャ?
宮本 それはもちろん、お金がもらえるからですよね。
担当編集 宮本さん、正直にしゃべりすぎです……。
──えーと、混沌としてきたのでこの辺りで締めようかと思います……。読者の皆さんにこれだけは伝えておかなくては。「なごみさん」「クレムリン」どちらも読んだあと思わず心が和む、ハートフルコメディです。本当です。
そういえばインタビューに参加できなかった恨み……いや代わりにと、「クレムリン」作者のカレー沢薫先生からコミックナタリー読者のための描き下ろしマンガが到着しました。
「なごみさん」あらすじ
顔は怖いが、名前は和(なごみ)。そんな男がさびれたシャッター通り商店街に喫茶店を開いた。店の名前は「極道珈琲店」。第2の人生の舞台は整った!和の自由な行動が、娘に迷惑をかけつつも商店街を和ませる!
宮本福助(みやもとふくすけ)
高校時代から同人誌活動を開始、卒業後就職するが3年で退職。マンガ制作とバイトに勤しむこと数年、1999年に100回スピリッツ賞に入選しデビュー。代表作に「この度は御愁傷様です」、月刊コミックZERO-SUM(一迅社)にて連載中の「拝み屋横丁顛末記」など。
「クレムリン」あらすじ
大学生という名の無職・却津山春雄は、道ばたに捨てられていた三匹のロシアンブルーを一冬黙殺。厳しい冬を見事生き抜いた彼らをまとめて関羽と名付け、家賃滞納のアパートで同居が始まった。人智を超えた家事能力を持つ関羽たちに半ば養われる却津山に、人としての誇りはあるのか。ワープアの辛酸を嘗め続ける作者が、労働の尊さ、厳しさ、虚しさに万感の想いを込めて放つ、猫漫画界初のプロレタリアートニャン画のまあ決定版。
カレー沢薫(かれーざわかおる)
動物界脊索動物門脊椎動物亜門哺乳綱霊長目真猿亜目狭鼻下目ヒト上科ヒト科ヒト属。第26回MANGA OPENに「無題」で応募。部内選考であえなく落選。現モーニング編集長と編集部某の判断ミスにより、なぜか異例の連載決定。タイトルを「クレムリン」、筆名を「カレー沢薫」と定め、今日に至る。好きなものは猫&世界が滅亡するとかのパニック映画、そして故・森繁久彌。