〈物語〉シリーズ|2009→2019 これまでの物語、この先の物語

西尾維新の小説を原作に、2009年にアニメ「化物語」が世に送り出されてから10年を迎えようとしている。シャフトによる独創的な演出は、“映像化不可能”と謳われていた本作をアニメとして成功へ導き、カルチャー雑誌でも特集が組まれるなど、その人気は深夜アニメの枠を超えていったと言っても過言ではないだろう。西尾が自ら書き下ろしたキャラクターコメンタリーはアニメ業界に新たなブームを作り出し、パッケージの売り上げは毎巻当時の売り上げ記録を更新し続けた。その後も〈物語〉シリーズの各作品はアニメ化され続け、今なおファンを楽しませてくれている。

コミックナタリーでは、〈物語〉シリーズの連載特集を実施。ここでは最新作「続・終物語」を皮切りに10周年へ加速していく〈物語〉シリーズについて、年表や関係者のインタビューなど複数のコンテンツを展開し、その歴史を振り返る。

「〈物語〉フェス ~10th Anniversary Story~」特集

「続・終物語」特集

〈物語〉シリーズ 年表

20097
「化物語」
「化物語」
放送内容
「ひたぎクラブ」「まよいマイマイ」「するがモンキー」「なでこスネイク」「つばさキャット」

メディアミックス不可能な小説というコンセプトで書かれた西尾維新の原作小説をほぼ忠実にアニメ化。Blu-rayの売り上げ枚数は毎巻、当時のTVアニメ史上最高の数字を記録し、Blu-ray / DVDシリーズの累計も全6巻で47万本以上(BD33万、DVD14万)と記録的なセールスを残した。

  • Blu-ray / DVD特典のキャラクターコメンタリーや次回予告が西尾維新によって書き下ろされるという試みも話題に。
  • キャラクターの特徴的なポーズが、制作会社シャフトの名前をもじり「シャフ度」として広く認知され、ヒロイン・戦場ヶ原ひたぎの画像が多く拡散された。
  • 作品の人気に加え楽曲も高く評価。エンディングテーマ「君の知らない物語」はカラオケランキングのアニメソングのジャンルなどでいまだにTOP10入りを果たしている。
20119

「西尾維新アニメプロジェクト最新情報発表会 in ニコファーレ」にて、「偽物語」のアニメ化、劇場アニメ「傷物語」の最新映像を解禁。生中継がニコニコ動画内で行われ、35万人ものアクセスを記録した。

20121
「偽物語」
「偽物語」
放送内容
「かれんビー」「つきひフェニックス」

〈物語〉シリーズTVアニメ第2期。この後の物語で重要なポジションを担う新キャラクターも登場し、シリーズが続いていくことを予感させた。アニメでは前作よりもサービスシーンが増え、ヒロインの魅力がより表れている。

  • 章の始まりを数字のテロップで表現するなど、〈物語〉シリーズ独自の演出方法も本作で確立された。
  • 第8話「つきひフェニックス其ノ壹」では、阿良々木暦が妹・火憐の歯磨きをするエピソードだけで丸々1話を使い話題を呼ぶ。
201212
「猫物語(黒)」
「猫物語(黒)」
放送内容
「つばさファミリー」

〈物語〉シリーズセカンドシーズンの始まりの物語。2012年12月31日の24時まで、全4話を2時間にわたり放送した。〈物語〉シリーズで特番という放送形態がとられた最初の作品。

  • 当選者限定の先行上映会をTOHOシネマズ六本木ヒルズにて実施。神谷浩史、堀江由衣が登壇し、アニメ全4話がスクリーンにかけられた。キャストとファンが作品を一緒に鑑賞するという〈物語〉シリーズの中では珍しいイベントとなった。
20137
「〈物語〉シリーズ セカンドシーズン」
「〈物語〉シリーズ セカンドシーズン」
放送内容
「つばさタイガー」「まよいキョンシー」「なでこメドゥーサ」「しのぶタイム」「ひたぎエンド」

シリーズ初の2クール放送。第1期のヒロイン5人と忍野忍にフォーカスしたストーリーが展開された。本編では語り手もヒロインたちが担当。より彼女たちを深く掘り下げる内容になっており、〈物語〉シリーズの人気を決定づけた。

  • それぞれの作品の地上波放送初日に、読売新聞全国版にて西尾維新の書き下ろし短々編を含む全面広告が掲載された。
  • 劇中に登場した千石撫子によるマンガを遠山えまが再現して描いた「キミとなでっこ!」が、ムック「アニメ〈物語〉シリーズヒロイン本 其ノ肆 千石撫子」とARIA(講談社)2014年8月号に掲載。「恋物語」のBlu-ray / DVD第2巻の限定版にはマンガ全3話を収めたブックレットが付属した。
20145

これまでの〈物語〉シリーズのBlu-ray / DVDのみに収録された音声特典・キャラクターコメンタリー版のアニメを、5週連続でテレビ放送。

20148
「花物語」
「花物語」
放送内容
「するがデビル」

8月16日に全5話を一挙放送。阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎらレギュラーキャラクターが高校を卒業した後の私立直江津高校が舞台になっている。これまで名前のみで登場していた神原遠江が声で出演を果たした。

201412
「憑物語」
「憑物語」
放送内容
「よつぎドール」

「猫物語(黒)」に続き大晦日に全4話を一挙放送。「つきひフェニックス」に登場した斧乃木余接をヒロインに据えた物語が展開された。

  • ハローキティと〈物語〉シリーズの初のコラボが実現。「憑物語」のヒロインである斧乃木余接らが、ハローキティがあしらわれた特別なコスチューム姿を披露した。
201510
「終物語」
「終物語」
放送内容
「おうぎフォーミュラ」「そだちリドル」「そだちロスト」「しのぶメイル」

新ヒロインの忍野扇、老倉育が本格的に登場。忍野忍の最初の眷属・初代怪異殺しなど、これまでの伏線も回収され、暦の高校生活最後の1年間の物語が終息へと向かっていく。

  • アニメ化は、例年JR秋葉原駅改札内で開催されている七夕展示で解禁された。
20161
「暦物語」
「暦物語」
放送内容
「こよみストーン」「こよみフラワー」「こよみサンド」「こよみウォーター」「こよみウインド」「こよみツリー」「こよみティー」「こよみマウンテン」「こよみトーラス」「こよみシード」「こよみナッシング」「こよみデッド」

ショートアニメの形でこれまでのアニメの隙間を埋めるストーリーを展開。2015年12月19日にリリースされた公式アプリ「暦物語」内で配信するという、新たな試みが行われ、2018年にはテレビ放送もされた。

20161 / 20168
「傷物語〈I 鉄血篇〉」
「傷物語〈II 熱血篇〉」
  • 「傷物語〈I 鉄血篇〉」
  • 「傷物語〈II 熱血篇〉

2012年に公開が予定されていた「傷物語」が待望の劇場公開。原作の「こよみヴァンプ」に当たるエピソードを映像化し、これまでとは一変したダークな雰囲気の作風でファンを驚かせた。

  • 来場特典として西尾維新による書き下ろし小説「混物語」を配布。〈物語〉シリーズと戯言シリーズ、忘却探偵シリーズなど西尾による別作品のキャラクターとコラボレートした物語が収められた。
20161

CDアルバム「歌物語 -〈物語〉シリーズ主題歌集-」リリース。オリコン週間アルバムランキングで1位を獲得。売り上げも10万枚を突破し、日本レコード協会からゴールドディスクに認定されるなど、楽曲の人気の高さを再認識させた。

20171
「傷物語〈III 冷血篇〉」
「傷物語〈III 冷血篇〉」

3部作で展開された「傷物語」の最終章。テレビシリーズへと繋がる阿良々木暦の始まりの物語が完結した。今作ではシリアスな展開から一転、テレビシリーズの阿良々木暦のようなコミカルさが垣間見える羽川翼との体育倉庫でのシーンも話題に。

関連特集
20178
「終物語」
「終物語」
放送内容
「まよいヘル」「ひたぎランデブー」「おうぎダーク」

8月12日・13日に2夜連続2時間スペシャルとして放送。暦たちも高校を卒業し、2009年より続いてきた物語にひとつの区切りがついた。

  • 「まよいヘル」オープニングテーマ「terminal terminal」にて、アニメ〈物語〉シリーズの楽曲制作に携わってきたmeg rock、ミト(クラムボン)、神前暁(MONACA)の初の共作が実現した。
20188

スマートフォン向けパズルゲームアプリ「〈物語〉シリーズ ぷくぷく」のサービス開始。テーマソング「wicked prince」では歴代のヒロインが勢揃いしている。

201811
「続・終物語」
「続・終物語」

「傷物語」以来の劇場公開作品。高校卒業後の暦が鏡の世界に入ってしまうことから物語が始まる。従来のシリーズから人気キャラクターたちが総登場して、「オマケ」的な物語が展開される。


〈物語〉フェス ~10th Anniversary Story~ 特集

「続・終物語」特集

2020年1月10日更新