「日ペンの美子ちゃん」|パロディ作家から公式へ!時事ネタやりたい放題な最新型「美子ちゃん」の舞台裏 “初代”中山星香も当時の秘話を語る!

6代目「日ペンの美子ちゃん」担当・服部昇大インタビュー

反対はなかった? 本当によかったです(笑)

──「『日ペンの美子ちゃん』が約10年ぶりにリニューアル!6代目は服部昇大が担当」(参照:「日ペンの美子ちゃん」が約10年ぶりにリニューアル!6代目は服部昇大が担当)というニュースが公開された際には、「美子ちゃん懐かしい」「自分のときは○○先生の絵だった」「代替わり制だったなんて知らなかった」など、いろんな反響がありました。

服部昇大 実は正直、「そんなに騒がれないだろう」って思ってたんですけど、周囲からたくさん反応がありましたね。

「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」より。

──反応が多かった原因としてもう1つ、「パロディマンガである『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』の服部さんがついに本物の美子ちゃんになった」というのがあります。

服部 「クリカン(栗田貫一)現象だ」っていろんな人に言われました(笑)。

──同人やファンアートを描いてる作家が、公式に採用されるということも最近は増えてるように思います。「ブラック・ジャック」のパロディマンガを描いてたつのがいさんが手塚プロに入社したり、「HiGH&LOW」ファンのCLAMPさんがコミカライズを担当したり。服部さんも「HiGH&LOW」がお好きだということで、もしかしたらそっちに採用されてた可能性もあったかもしれないですね。

服部 いやいや、「HiGH&LOW」は自分のような小兵力士ではなく、そこはCLAMPさんで……(笑)。それになんでもやりたいわけでもなく、向いている・向いてないがありますから。「美子ちゃん」は向いていると自分で思っているので。

──そもそも「美ー子ちゃん」は、どういったきっかけで始めたんでしょうか。

服部 まず「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」っていうフレーズを思いついたとこからです。

──最初にフレーズありきなんですね。「美子(みこ)」ではなく「美ー子(びーこ)」にして、「B-BOY」とか「B系」の「B」とかけて。

服部 あと「ペン」を「ポン」にして「日ポン語」にすればバッチリだと。周りには、「全然意味がわからない」って言われましたけど(笑)。でもタイトルさえ思いつけば、ああいうタッチの絵も得意だし、「いけるな」と思ったんです。そうやって「美子ちゃん」のノリで日本語ラップの知識や正しい聴き方を布教するという作品が生まれました。

──美ー子ちゃんって作中でラップを聴いてる人に対して「その聴き方、間違ってるわ!」なんて言ったりもしますけど、本家の美子ちゃんも「字が汚いと人格が疑われるわよ!」という感じで意外と強引ですよね。

服部 そう、相性がよかったんですよ。だからサンプリングしやすかったですね。

──そんな服部さんが6代目「美子ちゃん」に起用された理由はなんだったんでしょうか。学文社の浅川貴文さんにお聞かせ願えればと思います。

「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」より。

学文社・浅川貴文 もともと弊社のほうで「美子ちゃん」を復活させようという動きがあって、描き手を探してたんです。最初は「公募にしよう」という話もあったんですけど、ネットでたまたま「美ー子ちゃん」を見つけまして。

──パロディ作家を公式に使うにあたり、社内で反対はなかったですか。

浅川 そうですね、大丈夫でした。

服部 本当によかったです(笑)。

浅川 「美子ちゃん」のパロディはほかにもいろんなところでやられてますしね。それに連載前、服部先生に挨拶させていただいた際に歴代の「美子ちゃん」の原稿を見ていただりしたんですけど、すごく「美子ちゃん」について知っていてくれましたから。マネして楽しんでるだけじゃないのはわかりました。

──敬意が感じられたと。

服部 もともと好きでしたから。

浅川 絵柄についても「現代風のタッチがいいんじゃないか」という話があったんですけど、社内の20代女性には「美ー子ちゃん」の絵柄が新鮮なのか、「かわいい!」と大好評で。「この絵でいきたい」という意見が強くて、最終的に決まった感じです。

──6代目の美子ちゃんって、美ー子ちゃんと同じビジュアルなんですね。

服部 かわいいから同じでいいんじゃないかと。髪の分け方が違うぐらいですね。あと美ー子ちゃんはピアスしてるのと……美子ちゃんのほうが若干丁寧です(笑)。

日ペンの美子ちゃん
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日ペンの美子ちゃんアラカルト
初代から6代目までの原稿が集結!
「日ペンの美子ちゃん原画展」
日程:2017年5月16日(火)~5月30日(火)
時間:12:00~20:00
会場:墓場の画廊
住所:東京都中野区中野 5-52-15 中野ブロードウェイ3F
入場料:無料
服部昇大(ハットリショウタ)
服部昇大
1982年8月10日、岡山県出身。2004年、手塚賞準入選の「未来は俺等の手の中~J.P. STYLE GRAFFITI~」が月刊少年ジャンプ増刊王2004年WINTER号(集英社)に掲載され、デビュー。2007年から2009年までジャンプスクエア(集英社)にて「魔法の料理 かおすキッチン」を、2014年から2016年にはとなりのヤングジャンプにて「テラフォーマーズ」のスピンオフギャグマンガ「今日のテラフォーマーズはお休みです。」を連載。日本語ラップにも造詣が深く、Webや同人で「日ペンの美子ちゃん」のパロディマンガ「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」を発表。それがきっかけで2017年より6代目「日ペンの美子ちゃん」担当作家となる。