コミックナタリー PowerPush - ルノアール兄弟「公園兄弟」発売記念 清野とおる×押切蓮介×ルノアール兄弟 公園雑談

俺たちダチンコ!同い年ぶっちゃけトーク

ルノアール兄弟の最新刊「公園兄弟」が3月29日に小学館より発売された。公園の池に勝手に船を浮かべて暮らす、ダメ人間ながらもイキイキとした若者たちの日常を描き出したギャグマンガの快作だ。

コミックナタリーではルノアール兄弟の左近洋一郎と上田優作、彼らと同学年、33歳のマンガ家仲間である押切蓮介、清野とおるを招集し、公園での昼酒という「公園兄弟」さながらのダメ人間臭が漂う座談会を企画した。連帯感溢れるほろ酔いトークをお楽しみいただきたい。

取材・文/粟生こずえ 編集・撮影/淵上龍一 ヘッダーイラスト/ルノアール兄弟

 
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同い年のマンガ家は仮想敵!

敷物もなしでどかっと芝生に男らしく座り乾杯(左から清野とおる、左近洋一郎、上田優作、押切蓮介)。

──みなさんはどんなきっかけで出会ったんですか?

押切 ルノアール兄弟と初めて会ったのは、ヤングマガジン(講談社)の忘年会ですね。7年くらい前だったかな。「ルノアール兄弟の愛した大童貞」を連載してた頃。

清野 編集さんからあらかじめ「ルノアール兄弟、来るらしいよ」って聞いて、会えるの楽しみにしてたんだよね。僕と押切くんはルノアール兄弟のファンで、しかも同い年というのも知ってたから勝手に仲間意識を抱いてて。あの時、ちょっと遅れて来たよね。「お、ルノアール兄弟が、やっと来たぞ!」と思ったの覚えてますよ。

左近 同い年とはいえ、押切さんも清野さんも、僕らよりデビュー早かったですからね。僕らも投稿時代、2人のマンガを雑誌で読んでそれはもう意識してました。

清野 ルノアール兄弟のデビュー作は、印象強かったですよ。なんかとんでもないのが出てきた、要チェックだなって。そのデビュー作、雑誌から切り抜いて取っておいたもの。

押切 同い年のマンガ家って特別な存在で、イヤでも意識する。いろいろな感情が湧いてくる存在なんですよ。同じギャグマンガ家となるとなおさら。僕と清野くんも、実際に会う前からお互いに作品を見て、すごく意識してて。

清野 同い年のギャグ作家って、会うまでは敵なんです。でも、会った瞬間にすぐ友達になる(笑)。

上田 ギャグマンガ家って、日頃あんまりいい扱い受けてないんで。だから同じ苦しみを共有できる部分もある。そこが意気投合しやすい理由かな。

押切 親近感湧きますよね。ギャグマンガってページ数も少ないし、そのくせすぐ打ち切りにされちゃう危険性もある。そういう厳しい境遇の中でね……僕ら支え合ってきたんですよ!

左近 そこまで密には支えあってないですけどね(笑)。

──ここにいるみなさんはかなりアクの強い作品を描いてますし、正直、もっと邪悪な感じの方々かと思ってたんですが、4人で並ぶと意外に爽やかですよね。

押切 ギャグマンガ家って、いい人多いよね。

清野 そうそう。

意外に爽やかな4人組。左から押切蓮介、清野とおる、上田優作、左近洋一郎。

押切 いや、清野くんだけは悪い人ですよ。この男だけは本当にヒドい(笑)。

清野 そんなことないです! そもそもギャグマンガ家はちゃんと常識をわきまえているからこそ、客観的にふざけたことやトンデモナイことが描けたりするんですよ。

──なるほど、説得力ありますね!

押切 でも、僕ら4人も最初は、「こいつら、どういう人間なんだ?」と、お互いに牽制しあってたよね。それが、“モテないトーク”になったとき、左近くんが急に心開いてくれて、うれしかったな。

左近 そうだっけ?

押切 みんなモテないっていうぶっちゃけバナシして。ほぐれたところに、酔っぱらった風間やんわり先生が乱入してきたんだよ。ちょうど、そこに編集長もやってきて……。

清野 やんわり先生は、ルノアール兄弟が大のお気に入りなんですよ。で、編集長に突然「もっとこいつらの原稿料あげてやってくれよ!」って言いはじめて。2人からすれば、ありがたいけど実にいたたまれない場面だったよね(笑)。

左近上田 (苦笑)。

赤羽飲み会、夜の事件簿

当日は快晴。ピクニックを楽しむ家族連れやカップルに混じり、昼酒をあおる4人。

清野 そういえば、あの時、左近さんと僕の家がすごく近いってわかったんだよね。板橋区出身で、実家も徒歩で行けるくらいの距離。

──じゃあおふたりは、この公園には普段から来られていたり。

左近 「公園兄弟」の舞台となっている浮葉公園は、この浮間公園がモデルなんですよ。公園の池が北区と板橋区にまたがっているのも、マンガでそのまま使わせてもらって。

押切 おお~。じゃあ、あの池にもっさんの舟が浮かんでる設定? ボートでもあれば、もっさん気分が味わえるのに。

清野 味わってみてえ~! 

左近 いい公園っすよね。今度はこの公園で花見でもしたいですねー。

押切 いいですねえ、花見。そういえば清野くんと左近さんは、よくこの北区~板橋区で遊んでるよね。なんで呼んでくれないの?

清野 遠いから。それにキミ、赤羽嫌いでしょ?

押切 大っ嫌いだよ!(笑)

清野 押切くんが昔、うちにアシスタントに来てくれてた時期があったんですけど「板橋区って来るたび曇ってるねえ」とか言うんですよ。板橋区のヘンテコなイメージBGMを作曲したりとか。

押切 なんで嫌いかって、北区や板橋区に行くと、かなりの確率で大人に怒られるんですよ。前に、古びた靴屋さんの店頭で「いい草履があるな」と思って見てたら「そんなとこ立ってんじゃねーよ!」っていきなり怒鳴られたし(笑)。沸点が低い人が集まってるんじゃないの?

清野 そういえば、左近さん、上田さん、大橋裕之先生といっしょに飲んだ時も怒られましたっけね。尺八の演奏を聴かせる飲み屋で。演奏をじっくり聴く時間が終わってカラオケタイムになったんで、おしゃべりを始めたんですけど……そのとき上田さんだけが空気を読んでたんです。歌詞カード見ながらうなずいたり、リズムとってノッたり手拍子したり。

上田 だってすごく狭い店なんで、ちゃんと聴かないとヤバいと思ったんですよ。なのに清野さんたちは「どこそこにタヌキが出る」とか全然関係ない話始めちゃって。これはおっさんたちに怒られるんじゃないかと、僕はヒヤヒヤで。それで必要以上にがんばって「僕、あなたたちに興味あります、好きです!」的なアピールしてたんですよ。

清野 で、結局怒られましたけど。「兄ちゃんたちよぉ、人が歌ってるときはちゃんと聴かなきゃダメだろぉ!」って。

押切 自分たちの気分を、頑固なまでに大事にするんだろうね。街の人の年齢層も高いし。なんか、常にもめてる印象ある。清野くんはそのすき間にススッと入っていってる感じ。

左近 清野さんの、人が怒ったときに対処する能力は天才的だと思いますよ。

押切 清野くんは怒られたら退いてみせながらもしっかりポジションは保って、最終的には仲良くなるんだよね。

──清野さんと左近さん、2人で飲む時はどんな話を?

押切は、板橋区出身の清野と左近は頭がおかしいと断言。川崎市出身である上田とのユニティ感を出していく。

清野 左近さんって、僕が長年疑問に思ってた不謹慎なことなんかをひと言で解決してくれるんですよ。それが気持ちよくて。顔色も変えずに、当たり前のようにズバッと斬る。たとえば……「近親者や知人が死んだとき、葬式に行くとみんな泣いてる。僕もそこそこ悲しいんだけど、どうしても泣けなくて。何か割り切れない気持ちになる。この変な感情はなんなんだ?」という話をしたら。左近さんは、「何年か前におばあさんが亡くなった時、葬式で死に顔を見て“ふーん”と思った」って言うんです。そうだ、人なんて死んじゃえば「ふーん」だよな! これだ、「ふーん」だ、そう思ってていいんだ。左近さんが口にしてくれたことで、肩の荷が下りたんですよねえ。

押切 というように、清野くんと左近さんは地元がいっしょなだけあって非常に気が合う! ちなみに、僕と上田さんは同じ川崎出身なんです。何が言いたいかっていうと……板橋出身チームのほうが絶対、頭おかしいと思う!(笑)

ルノアール兄弟「公園兄弟」 / 2013年3月29日発売 / 580円 / 小学館
公園兄弟
あらすじ

仕事も定まらずプラプラしているヒモ男の心平。彼の前に腹違いの兄貴を名乗る男・もっさんが現れた。折しも家を追い出された矢先の心平は、もっさんの家に身を寄せることに。しかしもっさんは公園の池に浮かぶ屋形船に居を構えるホームレスだったのだ。笑いと謎に満ちた公園兄弟の0円生活がここに始まる。

押切蓮介(おしきりれんすけ)

1979年9月19日生まれ、神奈川県川崎市出身。1998年に、ヤングマガジンにて「マサシ!!うしろだ!!」でデビューし、「でろでろ」などホラーギャグの分野で人気を博す。最新作に格闘ゲームを題材にした青春作品「ハイスコアガール」など。

清野とおる(せいのとおる)

1980年3月24日生まれ、東京都板橋区出身。生まれはほかの3名より下だが、学年は同じ。デビュー作は、1998年にヤングマガジン増刊赤BUTA(講談社)に掲載された「アニキの季節」。自身が住む赤羽周辺を紹介するエッセイマンガ「東京都北区赤羽」で局地的にブレイクする。

ルノアール兄弟(るのあーるきょうだい)

原作担当・左近洋一郎、作画担当・上田優作によるコンビ。ともに1979年生まれで、中学からの同級生。2000年、別冊ヤングジャンプに「ヌーディティ」が掲載されデビューを飾る。下ネタを基本としたギャグが特徴で、代表作は「セクシーDANSU☆GAI ユビキタス大和」。月刊!スピリッツ(小学館)で連載した「さよなら、もっさん。」が「公園兄弟」とタイトルを改め2013年3月29日に刊行された。

ルノアール兄弟プレゼンツ、お花見情報

今回の公園飲みを気に入ったルノアール兄弟が、3月30日(土)に誰でも参加可能なお花見を企画した。詳細情報はTwitterにて告知している。ファンは奮って参加しよう。

さらに4月12日には、新宿ネイキッドLOFTにて中川ホメオパシーとのトークイベントを敢行。詳細は特設サイトにてチェック。