コミックナタリー PowerPush - 西義之「魔物鑑定士バビロ」

「ムヒョロジ」の西義之を丸裸に 古屋兎丸との対談で紐解かれるBL嗜好とダークサイド

「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」で知られる西義之の最新作「魔物鑑定士バビロ」。魔力を持つ呪具を使って人々の欲望を叶える魔物鑑定士を描く物語だ。新人作家の読み切りを中心に掲載する少年ジャンプNEXT!!(集英社)にて連載されており、2月4日に単行本1巻が発売された。

コミックナタリーは単行本の発売を記念し、西を招いての対談をセッティングした。お相手として登場するのは、西の母校・多摩美術大学の先輩でもある古屋兎丸。学生時代の思い出からマニアックな嗜好までが明らかになる2人の赤裸々トークを楽しんでいただくとともに、対談内で紐解かれる西のダークな一面にご注目いただきたい。

取材・文・撮影/宮津友徳

魔物鑑定士バビロとは
「魔物鑑定士バビロ」のカット。
あらすじ

勉強もスポーツも苦手な男子高校生・オズは、「このままでは人生の敗者になってしまう」と悲観していた。そんなある日、路線バスとの衝突事故に巻き込まれそうになった彼は、クラスメイトの美少年・バビロの不思議な力によって助けられる。戸惑うオズに、バビロは「魔法を使って君を勝ち組にしてあげる」と持ちかけるが……。

キーワード
「魔物鑑定士バビロ」第1話より。
魔物鑑定士
人々が抱く不変の欲望に魔力を持った呪具で応えてきた日陰の一族。魔物鑑定士の少年・バビロはオズに目をつけ、ストーカーのように執拗に彼をつけ回す。「絶対に幸せにする」と語るバビロの真意とは。
「魔物鑑定士バビロ」第1話より。
魔具
魔物鑑定士が扱う、魔法にも似た効力を持った不思議なアイテム。マンガ家志望のオズにバビロが「売れっ子マンガ家用」と銘打った魔具を手渡したことから、物語の歯車は動き出す。
西義之×古屋兎丸対談

西さん、いつも原稿の束を持ち歩いてるよね

──おふたりは多摩美術大学の先輩後輩という間柄ですが、これまでも親交はあったのでしょうか。

古屋 在学期間が被っていたわけではないので、パパ友という感じが強いかもしれない。

西 子供が同じ保育園に通っているのですが、古屋先生にパパ友って言っていただけるなんて、すごく光栄です。もともとは共通してお付き合いのある作家さんの結婚式でお話させていただいたのが最初ですね。

古屋 そうだね。結婚式では挨拶程度だったけど、そのあと保育園で「ほかにもマンガ家の親御さんがいますよ」って紹介されてから、お付き合いが始まって。僕がネームを描きに行くスタバに、西さんもよくいらっしゃるじゃないですか。

西義之

西 古屋先生が描いてるのを見つけたら、邪魔しちゃいけないから「休憩するな」ってタイミングまで、ジーっと後ろのほうで見てるんです。で、頃合いを見計らって声をかける。傍から見たら完全にストーカーですよ。

古屋 西さんって、お会いするとき、絶対に原稿の束を持ち歩いてるじゃないですか。あれって何か意味があるんですか?

西 持ってないと落ち着かないんで……。今日も持ってきてます。

古屋 えーっ。このあと喫茶店で作業するってことではなく?

西 ただ単に持ってるっていう。誰と会うときにもいつも原稿が入ったボロい鞄を小脇に抱えてるから、笑われるんですよ。携帯していないと、眼鏡を掛け忘れて外に出てしまったような感覚になっちゃう。

古屋 こうやって西さんの話をあらためて聞いてると、多摩美チックな方なんだなって感じがしますね(笑)。

西義之「魔物鑑定士バビロ(1)」 / 2015年2月4日発売 / 432円 / 集英社
西義之「魔物鑑定士バビロ(1)」

人々の心を掻き立て、惑わす不変の欲望に、魔力を持つ呪具で応える一族が存在した。彼らの名は「魔物鑑定士」。マンガ家を夢見る高校生のオズは、同級生の"バビロ"から謎のペンを渡される。そのペンを手にしたオズが体験する恐るべき出来事とは!?

西義之(ニシヨシユキ)
西義之

12月27日生まれ。東京都出身。赤マルジャンプ2004 SPRING(集英社)に掲載された読み切り「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」でデビュー。同年、週刊少年ジャンプ(集英社)の金未来杯に同名の読み切りを出品。読者からの熱烈な支持を受け、2004年から2008年にかけて、週刊少年ジャンプで「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」を連載した。このほかの著書に「ぼっけさん」「HACHI -東京23宮-」がある。現在少年ジャンプNEXT!!(集英社)にて「魔物鑑定士バビロ」を連載中。

古屋兎丸(フルヤウサマル)
古屋兎丸

1994年にガロ(青林堂)より「Palepoli」でデビュー。以後、精力的に作品の発表を続け、緻密な画力と卓越した発想力、多彩な画風で、ヒット作をコンスタントに発表する。主な著書に「ライチ☆光クラブ」「インノサン少年十字軍」「幻覚ピカソ」「人間失格」。現在ジャンプSQ.(集英社)にて「帝一の國」、GoGoバンチ(新潮社)にて「女子高生に殺されたい」をそれぞれ連載中。2015年7月には「帝一の國」を原作とした舞台「學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム-」が、東京と大阪で上演される。