2020年に誕生した、ゾフィー、ハナコ、かが屋、ザ・マミィの4組による新世代コント番組「東京BABY BOYS 9」(テレビ朝日)。夏、秋と放送を重ね、10月には東京・EX THEATER ROPPONGIで番組発のコントライブも成功させている。そして12月末、初めての生放送に挑戦。お笑いナタリーではその通し稽古のあと、本番を45分後に控える彼らにインタビューを実施し、テレビコントのやりがいやこの番組がそれぞれにとってどんな存在になっているか聞いた。ゾフィー上田いわく、気を抜くと青春のきらめきがだだ漏れてしまうという4組が和気あいあいと語ってくれた様子と共に、生放送の舞台裏をレポートする。
取材・文 / 狩野有理 撮影 / 井原悠一
テンションアゲアゲお祭りですよ
──今回、「東京BABY BOYS 9」(以下「東京BB9」)の特集を組むことになりました!
一同 わー!(拍手)
──さっそくインタビューを始めてまいりますが、生放送本番まであと45分ほどなのでバシバシ質問に答えていってくださいね。
一同 はーい。
ザ・マミィ林田 (ザ・マミィ酒井に)何してるの?
ザ・マミィ酒井 いや、写真撮られるから乳液を塗ってて……。
──はい、時間がないのですみませんが先に始めます!
酒井 あ、ちょっと……。
一同 あははははは(笑)。
──上田さんは常々“コント村”の村長として面白い仲間たちと一緒にコントを作り、その輪をどんどん大きくしてコントのムーブメントを起こしたいとおっしゃっていますが、「東京BB9」はまさにその理想が形になったような番組です。このメンバーで、テレビでコントをやれていることについて改めてどう感じますか?
ゾフィー上田 夏、秋ときて、そして今回冬にも放送されるということで最高の気持ちです。途中でかが屋・加賀くんが休養に入り、さらに今回ハナコがコロナでダウンして、東京ベイビーボーイズ「9」が「5」になってしまって一時はどうなるんだろうと思いましたが、いろんな人たちが助けてくれて、生放送で実現しようと動いてくれた。そして今日ハナコも復帰して、こんな素晴らしい状態で本番を迎えられるというのはこれまで以上の感動がありますね。テンションの上がり方は10倍、100倍かなと。
酒井 東京03飯塚さん、GAG宮戸さん、岡本(夏美)さん、弘中(綾香アナウンサー)さんがゲストで来てくださって、「5」だったのが「9」になった。で、ハナコさんが戻ってきて「12」になっちゃった。ってことは3人減らさないと!
かが屋・賀屋 そこまで「9」に厳格じゃないから(笑)。
ハナコ秋山 満を持してしゃべったと思ったらなんてこと言い出すの。
酒井 さあ、首狩り式の開催だ!
ゾフィー・サイトウ なんでそんなことするんだよ!
酒井 このあと生放送なんで、アガってるんです。
──確かに今みなさんテンション高いですね。
酒井 アゲアゲです。お祭りですよ。
賀屋 ゲストは確かに豪華ですよね。今回、飯塚さんと弘中さんの2人でオープニングを迎えますから。「テレ朝で新しいバラエティ始まったんじゃないか?」って錯覚するような絵面です(笑)。飯塚さんは「俺の負担デカくない?」って言ってましたけど。
サイトウ 台本見る限り、だいぶ負担かけてるね(笑)。ありがたいです。
秋山 あと単純に、12月29日の生放送ってすごくないですか? 年の瀬にこのメンバーで、24時台に生放送をやれるなんて。なによりテレ朝さんがすごいです。この4組に何度もコント番組をやらせてくれるのが。
ハナコ岡部 明日もあるしね(笑)。
※編集部注:翌日には同じメンバーによるコント番組「お助け!コントット」がテレビ朝日で放送された。
賀屋 コントの収録ができず、急遽生放送でやろうってなったときに、スタッフさんの動きの早さや準備の対応力もすごいかった。
サイトウ たぶん今日のスタッフさんの数、いつもの収録の3倍くらいですよ。会ったことない人いっぱいいましたもん。
秋山 噂によると「Mステ」チームも来てくださっているとか……?
サイトウ だからあんだけ転換速いんだ! 歌メドレーのコントのときの動きめっちゃ機敏だもんね。
岡部 曲の合間、1秒もなかったです(笑)。
秋山 この番組は本当に続けていきたいと思っているので、今日が終わったら次の春の放送を目標に「1年やったぞ」っていう実績を残したいです。
岡部 これで春なかったら「冬に無理しすぎたんだな」って思っていただいて(笑)。
コント番組に憧れて、今気づいたら出る側になってる
──みなさんの“コントの原点”ってなんですか?
林田 僕は「笑う犬」シリーズを見て芸人になろうと思ったので、コントの原点というより芸人人生の原点ですね。だからコント番組ができるなんて夢のようです。
秋山 同世代が多いので、みんな「笑う犬」の話はします。
林田 「あのコント好きなんだよね」って、どんどんいろんなコントのタイトルが出てきてめっちゃ楽しいです。
賀屋 「東京BB9」が始まってから、ほかの芸人さんに会うと「あの番組いいね」って言われるんですよ。自分たちが「笑う犬」を夢中で観てきたように、憧れられるようなことをやらせてもらっているんだなって思いますし、憧れになるようにがんばろうと身が引き締まります。
上田 あれ? なんか酒井くん体調悪そうだけど……。
秋山 そうだね、急に。
酒井 目、洗って来ていいですか?
一同 あははははは!(笑)
酒井 乳液が目に入っちゃって……。
林田 あんな雑に塗るからでしょ!?
秋山 時間ないから急いで!(笑)
──話を戻しまして……。コントの原点を教えてください。
上田 僕は「ダウンタウンのごっつええ感じ」です。好きすぎて、プロデューサーの小須田(和彦)さんに直接掛け合って、テレビ局まで行ってドン引かれたという経歴があります。
ハナコ菊田 すごいなあ。
岡部 いつですか?
上田 大学生のとき。
林田 頭どんなんだったんでしたっけ?
上田 赤モヒカンです。
サイトウ そんな奴来たらおっかねえよ(笑)。
──お会いできたんですか?
上田 はい。2時間半、お話ししてくれました。
賀屋 めっちゃ優しい!
上田 小須田さんは僕の目を見て、「君は腐った魚の目をしている。がんばりなさい」って言ってました。
一同 あははははは!(笑)
上田 あのときは単純な興味で突っ走っていましたけど、気がついたら今や自分がコント番組に出る側になっていて。すごいことですよね。
賀屋 今僕たちは季節ごとにやらせてもらっているんですが、1回の放送が終わったら1週間も経たないうちにまた次の会議をやるんです。でも、レジェンドたちのコント番組は毎週放送で何年も続いていたわけじゃないですか。それに比べると全然まだまだですけど、続けるって大変なんだなと痛感しますし、でもやっぱり楽しいから続けられるんだなって思いますね。
──みなさんはこれまで主に舞台で腕を磨かれてきたと思いますが、テレビコントに挑戦するうえでライブとは異なる楽しさや難しさは感じますか?
酒井 テレビって表情の抜き方がすごいんですよ。劇場ではしゃべっている人に注目しがちですが、テレビだとその周りにいる人たちの表情もしっかり映っているので、全員で作る現場の空気というか、何層にもわたって面白さが奥深くなっていると思います。
賀屋 めちゃくちゃ調子よくなったじゃん。
岡部 顔洗ったから(笑)。
菊田 めちゃくちゃいいこと言った!
──サイトウさんはどうでしょう。
サイトウ 酒井が言ったことと一緒でお願いします。
酒井 ずるいよ!
上田 お前も目洗ってこい!
サイトウ (笑)。今回みたいに生では無理ですけど、撮り直せるっていうのは気楽ですね。本番までにリハを含めて何回か同じシーンをやって、ボケや言い方を調整していけるのもいい。僕はそんな能力ないですけど、みんなが毎回変えてくるから楽しいです。
林田 でも、そういうのもちょっとずつできるようになりましたよね。最初はマジできっちりやってましたけど(笑)。回を重ねて、だんだんとふざけられるようになってきました。
──菊田さんのご意見もお聞かせいただきたいです。
菊田 テレビコントですか?
──はい。
菊田 そうか。この質問、困ったな。
一同 あははははは!(笑)
秋山 ここじゃない?
菊田 ここじゃないかもしれないですね。すみません、パスでお願いします。
一同 えー!?
──わかりました(笑)。では岡部さんお願いします。
岡部 はい(笑)。世界観の作り上げ方のスケールが大きいので、出演している自分も感動します。この前は「クイズタイムショック」のコントをあのセットでやらせていただきましたし、今回は「実録!警察24時」。実際に「警察24時」のディレクターさんにも入ってもらっていて、ここまでしっかり再現できるのはテレビコントならではだなと思いますね。
「東京BB9」は友達で家族で青春で仕事
──この番組での経験がそれぞれのコンビ、トリオに還元されていることもあるのではないかなと思うのですが、ここで菊田さんに聞いてみましょう。
菊田 そうですね、まあ僕は……。うーん、この質問か。
一同 あはははは!(笑)
林田 ここでパスするともっと難しい質問になっちゃうかもしれないですよ(笑)。
──時間的にあと1問なので、ぜひここでお答えいただきたいです。
菊田 僕はこのメンバーに対して、友達みたいな感覚になっているんですね。なんて言うのかな、学校に通っている感じというか。
上田 わかるわかる。
菊田 僕はコントは一旦置いてるんで、友達に会える感覚でうれしいです。
一同 あははははは(笑)。
酒井 でもいいことですよ。
菊田 コロナの療養期間が終わったあと、このメンバーに会っても全然「久しぶりだな」って思わなかったんです。本当にめちゃくちゃ会っているので。それがうれしかったですね。
賀屋 でもこの人、会議の途中で「背中痛い」って理由で帰りますよ。
菊田 それはやっぱ健康が大事だから。
──お1人での活動が増えてきた賀屋さんにとっては、こうやって仲間と集まれる機会は特別なものなのでは?
賀屋 いや本当に。1人でライブに出ているとコンビの人たちがネタ合わせしている姿がすごい羨ましいんですよ。だからここに来るとみんなでネタ合わせできるので、楽しいです。いてくれなきゃ僕、どうなってたかわかんないです。そのくらい助けてもらいました。みんなでコントを面白くしようって考える場があるのはすごく助かってます。……すみません、「お助け!コントット」もあるのにちょっとややこしかったですね。
林田 それは全然気になんなかったです(笑)。
──ありがとうございました。最後は「東京BB9」とはみなさんにとって何?という質問で締めましょう。林田さんから。
林田 えー……。夢の……夢の続き。
一同 あはははは!(笑)
上田 そういうことなの!?
サイトウ 一発目からその感じで行く?
菊田 カッコいい!
賀屋 大御所俳優がサイン色紙に添えるやつ(笑)。
酒井 私は「お水」ですかね。
──どんな意味ですか?
酒井 なければ生きていけない、じゃなくて。
秋山 じゃなくて?
酒井 「東京BB9」が私の体の60%を占めています。
秋山 それどっかで言ってたよね?
賀屋 人から言われた言葉をそのまま使ってるじゃん。
──そうなんですか?
酒井 ……だから~! 同期が僕に言ってくれてうれしかったんです! なければ生きていけないじゃなくて、もうすでに60%占めてますってこと!
上田 うれしかったんだね(笑)。
酒井 いいじゃないですか! リツイートですよ!
一同 あはははは!(笑)
──なるほど。それくらい酒井さんにとって大事ということですね。では上田さんお願いします。
上田 えー。
菊田 林田がムズくしたわ。
サイトウ 似たようなのしか出てこない。
上田 「夢」で考えちゃってる。えーっと、「六本木の部室」ですね。
一同 おおー。
上田 六本木にある部室に集まって、面白いこと考えて、それを形にするという。「六本木」はやめとこうかな。「テレビ朝日という部室」。それも違うか……。「夢の部室」? 「部室の続き」?
──ニュアンスは伝わっていると思います。続いて、席順でいくと菊田さんの番ですが、難しい表情をされているので秋山さんお願いします。
秋山 テレビコントをここで学んで日々試しているという意味で「研究所」。研究仲間です。
賀屋 うわーいいこと言うなあ。
秋山 夢の研究ですね。
──無理に「夢」を付けなくてもいいんですよ。サイトウさんはいかがでしょう。
サイトウ 「フォークダンス」で!
一同 ……。
林田 でも待って、まだわからない。
上田 聞こう。どういう理由?
サイトウ フォークダンスって手をつないで、いろんな人とどんどん代わっていくじゃないですか。ここで輪になって、いろんなメンバーとコントをしていくっていう。
一同 ああー。
サイトウ よし!
秋山 そんなに喜ぶほどでは……。
サイトウ 俺にしてはいい答えでしょ。
秋山 ガッツポーズがなかったらよかったかもしれない。
サイトウ チェだぜ!
上田 それもうやめてください。二度と使わないでください。
──時間が迫っていますので、賀屋さん、岡部さん、最後に菊田さん、ズバッとお願いします。
賀屋 えーっと……。
上田 生放送始まっちゃうよ!(笑)
サイトウ マジでやばい!
林田 行ける行ける。
賀屋 えー、「家族」!
岡部 僕は「青春ど真ん中」。
上田 いいね! 最後パッと行っちゃおう。
菊田 えー……………「仕事」。
一同 あははははは!(笑)
──素晴らしい締めになりました。ありがとうございました!
生放送の舞台裏を覗き見!
インタビューのあと、写真撮影に臨んだ4組。肩を寄せ合ってもらったカットは、まさに青春を謳歌する学生たちの教室での記念写真のよう。プレビューを確認した上田は「気を抜くとすぐ青春になっちゃうんだよなあ」とポツリ。一同はそんな言葉に「やば!」と喜びながら、間もなくスタートする本番へと気持ちを高めていった。
放送開始数分前のスタジオは、小道具を見失って探し回る酒井の姿もありつつ、ほどよい緊張感と和やかな雰囲気に包まれている。前番組の終わりで流れる「このあとは!」の番組告知の練習をする上田だったが、タイミングが早かったり遅かったり、ポーズや顔が定まらなかったりと試行錯誤。東京03飯塚が「ひどくない!?(笑)」とツッコミを入れると笑みがこぼれ、そんな中いざ本番へ。合格ラインには達したようで、CMに入ると「できたー!」と全員で喜んでいた。
この日が復帰となったハナコはスタジオトーク部分に参加。仲間たちのコントを心置きなく満喫する。一方、「ベストヒットBB9」と題した歌ネタメドレーコントの舞台裏では、メンバーたちが着替えにてんやわんや。曲紹介の数秒の間に素早くセットチェンジが行われ、さまざまなキャラに扮したメンバーがそこへ飛び込んでいく。今回、助っ人として鮮やかにMCを務めた宮戸は、このコーナーでもサイトウとのデュエットで活躍。赤いドレスに身を包み、慣れた様子でヒールの高い靴を履きこなすスレンダーな身体は大女優と見紛うほどだった。
「ベストヒットBB9」の第1位には東京米尾中学3年1組による「これからの日々」がランクイン。ハナコも参加し、全員が学ラン姿で夕日を表現した照明をバックに合唱した。エンディングではサプライズで「東京ベイビーボーイズ9 CONTE LIVE 2021春」が3月に開催されることが明らかに。メンバーたちは大きくガッツポーズして大喜びし、飯塚の「ライブには出してもらえるんですか?」の言葉にも興奮していた。
「東京BB9」マルチ画面5Gコントをお届け!
auスマートパスプレミアムでは、12月29日に生放送された番組の中から壮大なロケ撮影を行ったコント「決死の爆破大脱出」、東京03飯塚を迎えたコント「花のドラマ劇場『花こそ輝く』」の2本をマルチ画面でお届け! マルチアングル動画プレイヤーを使えば、映像を4画面の複数アングルに分けて同時視聴することができる。各アングルの中から好みに合わせてメイン画面を選択可能。自分好みに設定して新感覚のコント映像を味わってみては。
- 「決死の爆破大脱出」
- 静岡県の某所で行われた、世界的マジシャン酒間天童(ザ・マミィ酒井)の脱出劇。南京錠が掛けられたボックスに入れられ、3分の制限時間で脱出してみせるという酒間天童だが、脱出を試みている素振りすら見せないまま時間が迫り……。果たして決めゼリフの「はい~」は聞けるのか!?
- 「花のドラマ劇場『花こそ輝く』」
- とあるドラマのシリアスなシーン。にもかかわらず、どうしてもカメラを見てしまうキャストたち。監督(東京03飯塚)が再三注意するも、何度もNGを出してしまう。しびれを切らした監督が撤収をかけると、あの人物が現れて……。飯塚のツッコミが最後まで爽快なコラボコントを堪能しよう。