このライブの成功がけっこう保険になっている

──その21日が終わった、やりきったという感じは、今までのいろんな人生経験の中で似たようなときってありましたか？

山里　2004年の「M-1グランプリ」が終わったあとと同じくらいですかね。

──大きいですねえ。

山里　「たりないふたり」のレギュラー放送最終回の日も。あれも本当に。あのときはM-1以上でしたね。

──その2日間が終わって、次に仕事で会ったときのことを憶えてますか？

山里　ああ、それこそ翌日じゃなかったかな。

──どういう感じなんですか？ はにかむ感じ？

山里　若林くんはもうスイッチが次の日に切り替わっちゃうから普通でした。でも、稽古中にできたノリをお互いにやっちゃったり。

──山里さんはどういう気持ちなんですか？

山里　本当に、元カレに会う感じ。「なんか新しい女できたから冷たいね」みたいな。

──付き合ってる期間より、元カレ期間が長いですよね。でも元カレの期間があっての2人なんですよね。

山里　これはね、やっぱり今回1クールやって、そして1カ月かけてライブをやったんですけど、このストイックな男とやり続けるのはそれくらいまでがMAXかなと思います。これをずっとやってる春日すげえなと思う。

──でも、山里さんと若林さん2人ででかい爆弾を芸能界に投げて、なおかつこの芸能界でやっていこうとしているわけですよね。

山里　けっこう危険なことを言ってるし、生きづらくなるとは思うんですけど、でも生きづらくなってでも「たりないふたり」をみんなが面白いって言ってくれてる以上は、いいや、と。

──今の言葉に山里さんが愛されて育ってきた感じがある気がします。特に今回のライブで明らかになりましたけど「山里さんは意外と足りてる」っていうところが。

山里　たぶん僕自身が「ザ・芸人」っていうよりも、「ザ・芸人」に憧れてる人だから、若林くんみたいな「ザ・芸人」と一緒にやってることが、僕がこの世界でやってる上で、よりどころになってるんですね。実は芸人として勝負しなきゃいけないときに負けてる自分に対して、このライブの成功がけっこう保険になっているというか。

──山里さんは嫉妬もありますが、人をよく褒めることもしますよね。若林さんに対してはライバルだと思いながらも、褒めることは抵抗なくできる。

山里　「たりないふたり」を一緒にずっとやってるからですかね。シンプルに本当にすごいんですよね、若林くんが。僕は、オードリーのファンからしたら腹立つかもしれないけど、「『たりないふたり』でいるときの若林くんが一番面白い」って思われたら、僕のレベルも相当なもんだなって思えるんです。

いつまた復活することになっても、若林くんと同じレベルでいたい

──次に「たりないふたり」が活動するときは、それまでの会っていない期間のことが重要になってきますか？

山里　たぶんそうだと思いますね。若林くんは絶対また大きくなって帰って来るだろうし。いつまた復活することになっても、若林くんと同じレベルでいたいですね。「たりないふたり」は、日々更新されていってるというか、やりたいこととか、ボケとか、ワードとかを増やし続けていって、で、2人で集まったときにそれが組み合わさって面白くなるっていう毎日だった気がするんです。

──そこからまた2人のたりない日々が始まっていくわけですね。

山里　そう。集まったときにネタが出なくなる日が来るのかなとか考えることもあるんですけど、そのときはまた違うボケを若林くんが持ってくるんだろうし、僕もそれに対して違うのが出せるようになっておきたい。単純に、僕は嫉妬しいだから、若林くんに来る笑いの量の大きさに対して嫉妬して、それに勝てるようにってずっとやり続けてきてるんですよ。だから常に「たりない」。

──でも、今後いつ「たりないふたり」がみんなの前に現れてくれるのか本人さえもわからないんですよね。

山里　まったくわかんない。どうなるんだろうな。やりたいけど。いつくらいだろう。

──今じゃないって感じですか。

山里　今は違う気がしますね。

──その期間が長ければ長いほど、お客さんはさみしいかもしれないですけど、そこに“たりない”何かが貯まっていってると。

山里　貯めてはいけると思うんですよね。僕は何か絶対やりたいと思うし、終わらせた空気もないし。

──またお2人が新たなものを携えてファンの前に現れる日を楽しみにしてます。その間に何か重大なプライベートの事件が起こった日には、絶対お互いイジるでしょう。

山里　そうでしょうね。結婚でもしようものならねえ。そういうこともあるかもしれないですもんね！