「洋画を国産に」。ロバート秋山と友近のそんな思いが実現したのが大阪チャンネルでスタートした新番組「国産洋画劇場」だ。キャスト、ロケ地、登場人物の設定に衣装、すべてを日本のものにこだわって、純度の高い “国産洋画”をお届けする。お笑いナタリーでは、これまでも数多くのコラボを展開してきた2人にインタビューを実施。今回の新たな挑戦に対する意気込みを聞くと共に、互いの信頼感や共通するルーツを探った。
取材・文 / 狩野有理 撮影 / 佐藤友昭
僕たち、無類の国産好き
──タイトルを聞いただけでワクワクする番組ですね。
秋山竜次 ありがとうございます。おっしゃる通り、いかに説明せずに理解してもらえるか、ということを考え抜いたタイトルなんです。僕たちのやりたいことが凝縮されている。洋画なのに国産という、わけがわからない感じもうまく出せていると思います。
友近 ふふふふ(笑)。そうなんです。私たち日本が大好きで。温泉や田舎の商店街、それにお祭り。そういう私たちの好きなものがこの番組には反映されています。
秋山 すべてメイドインジャパンにしています。オリンピックも近いですし、日本の素晴らしさを伝えたいっていう気持ちもありますから。僕も友近さんも、もともと無類の国産好きでねえ。昔から洋画を観ていると思うんですよ。「これ、国産でできないものか」と。
友近 常に洋画はそういう目線で観ています。
──かねがねの思いが実現した番組なんですね。
秋山 そういうことです。
──企画を立ち上げた経緯を教えてください。
秋山 僕はロバートっていうコントグループをやっていますけど、それとは別に、僕1人で友近さんとネタをやらせていただく機会が多いんですよ。それはネタ番組だったり、友近さんの単独ライブにゲストで呼んでいただいたり。そんな共演を重ねる中で、「何か面白いことできないですかね」っていうお話しをしょっちゅうしていたんです。これまでのコラボはテレビやライブで披露するだけだったんですが、作品として残したい、そして作り込んだものに挑戦してみたい、という2人の希望が一致して、たどり着いたのがこの「国産洋画劇場」でした。
友近 いいコラボができても1回きりで終わることが多かったので、こうやって私たちの作品として完成させられるのはうれしいです。
──では今まで以上に細部までこだわったのではないでしょうか。
秋山 食べ物ひとつとっても、ちゃんと国産にしています。衣装にも注目してほしいです。
見どころは本気のラブシーン
──1本目の作品「六城」は、闇相撲の賞金でその日暮らしをする相撲取りの男が相撲の世界大会でロシア相撲王者の対戦相手に指名され、過酷な訓練を耐え抜き再起を図るというストーリーです。秋山さんは主人公の六城を、友近さんは六城を愛する女性を演じていますね。役作りはどんなふうに?
秋山 僕たちになじみがある洋画って、「金曜ロードショー」「日曜洋画劇場」「ゴールデン洋画劇場」などで放送していた日本語吹替版なんです。そのイメージが自分の中に染み込んでいるので洋画の吹替声優さんっぽい感じになっていると思います。
友近 私が演じている女性は口数が多くないので、表情、目の動かし方、歩き方に注意しました。不器用で人見知りな性格もしっかり出せたらいいなと思ってやっています。
秋山 友近さんの演技はさすがだなと思いました。ちゃんと“国産”なんですよ。
友近 おだんご屋さんなので、ちょこっとおだんごの作り方も教えてもらいました。身振りではなくちゃんとやっていて。
秋山 僕も力士として相撲の指導を受けました。本気の相撲を見せるシーンでしっかり迫力を出せるように。
──抜かりないですね。見どころは?
秋山 ラブシーンですね(笑)。
友近 秋山さんとラブシーンなんて照れてしまいそうになるんですが、恥ずかしがっていると見応えがない。ちゃんと「六城」の登場人物として演じました。
秋山 僕も気持ちをグッと入れてやりました。基本的には嫁さんと鶯谷界隈のプロの方とキスすることがほとんどなので、難しかったです。お金が発生する場所では引くほどしているんですけど(笑)。
友近 あはははは!(笑)
秋山 だいたい新大久保、大久保、鶯谷でしているんですが、友近さんと……っていうのは緊張しました。まさかここでそんな機会が巡ってくるとは。
友近 普段コントしてる2人が本気のキスシーン(笑)。それもひっくるめて、本気でやってるっていうのが面白いと思います。
秋山 そうですね。おふざけがないからこそ、面白く仕上がっているはずです。
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同じ目線でボケ合える