「国産洋画劇場」ロバート秋山&友近|同じ目線でボケ合える2人の新番組

同じ目線でボケ合える

友近

──これまで何度もコラボしてきたお二人。お互いにどんな印象をお持ちですか?

友近 どのキャラも“そういう人”にしか見えない演技力はもちろん、発想力がすごい。しかも秋山さんって、思いつくスピードが速いんです。人間観察は普段からされていると思うんですけれど、思いついてからネタにしてしまうまでの速度は並外れていますよね。だから「クリエイターズ・ファイル」で毎月新しい人物を生み出せているんだと思います。

秋山 友近さんの場合は1つのキャラだけで全国公演を回ったり、CDを出したり、発展のさせ方が壮大。1つのキャラをあそこまで掘り下げる人って今までいなかったと思うんです。全国公演も、コントの延長なのかなと思いきやちゃんとした歌謡ショーですし(笑)。

友近 コントの延長だと思って最初はやっていたんですけど、気がついたらふざけられない領域まで足を踏み入れていて(笑)。エンタテインメントとして成立させないといけないところまで来ています。

秋山  もともとふざけて始めたものなのに、広がりすぎて「もうふざけられないです」って嘆いているんですよ(笑)。お笑いを超えちゃってるんです。お客さんもちゃんとそのキャラが存在するものとして見にきているから、ふざけなくていい領域まで達している。すごいです。

「六城」より。
「六城」より。

友近 でも全体の世界観はふざけています(笑)。

秋山 それが一番のボケなんですよね。何をちゃんと全国回ってるんだっていう(笑)。

──コラボするときの信頼感や安心感もありますか。

秋山 男女を意識しなくていいっていうやりやすさも感じています。本当はお笑いに男女なんて関係ないんでしょうけど、女性の芸人さんとコラボってなると女性寄りのネタにしたほうがいいのかとか、こっちがちょっとテイストを変えないといけないのかなとか、気を使ってしまうことがあるんです。だけど友近さん相手だとまったく関係なしに、同じ目線でボケ合える。男の僕が「それやられた!」って普通に嫉妬するネタもあります(笑)。だから一緒にやりたいなって思う存在ですね。

友近 うわあ、そんなふうに言っていただけて本当にうれしいです。

本当にコマーシャルが好き

──最初のコラボがなんだったか覚えていますか?

左から友近、ロバート秋山。

秋山 演歌歌手のキャラクター(水谷千重子の悪友として知られる倉たけし)じゃないですか?

友近 6年前くらいでしょうか。秋山さんの、ああいう地元で幅利かせている感じのおっさんキャラが好きで。

秋山 僕も田舎のお調子者みたいなおじさんキャラが好きだし得意なんですよ。友近さんのキャラと初めて絡んだとき、めちゃくちゃ楽しくて「あ、これはなんにも考えなくていいやつだ」って思いました。たまにあるんです、何も考えなくていいキャラっていうのが。

友近 あります、あります(笑)。私も秋山さんの演歌キャラと絡むとき、何も考えていないです。その場でなんとかなっちゃう。

秋山 打ち合わせが本当にいらない2人ですよね。

──ご本人とはまったく別の人物なのに、どこからその言動が湧き出てくるんですか?

秋山 どこかで見たことあるのか、自然と出てくるんです。「こいつはこの延長線上のことしか言わないぞ」っていうのが見えやすいキャラは、いくらでもやれます。

友近 延々とやれます。たぶん今から死ぬまでできます(笑)。

秋山 あっはっはっは!(笑) 町内会のお祭りで運営任されている2人とか、ずっとできそうですね。テントの中から「その柵には寄りかからないで!」とか、マイク持って指示を出して……。見てる側はなんのこっちゃわからない時間もあるでしょうけど(笑)。

左からロバート秋山、友近。

──着眼点が似ているんでしょうか。

友近 そうですね、好きなものが似ているんだと思います。お祭りや田舎、海とか、好きな景色が似ているんです。

──お二人のルーツが気になります。同じテレビ番組が好きだったとか?

秋山 コマーシャル好きじゃないですか?

友近 好きです。

秋山 僕も本当にコマーシャルが好きで。同世代の人に懐かしのCMソングの話をしても全然通じないときありません?

「六城」より。

友近 あります! みんな気に留めてないんでしょうね。

秋山 僕らはそれが気になりすぎちゃうんだと思います。友近さんは愛媛で、僕は北九州なんですけど、瀬戸内周辺のテレビの電波もたまに入ってきていたんですね。で、マニアックな船会社のCMソングを僕が歌っていたら、友近さんが入ってきて(笑)。

友近 防予汽船ね(笑)。幼い頃、門司と松山で観ていたんでしょうね。

秋山 このCMソングをいまだに歌ってる奴、人間で僕らしかいないと思いますよ(笑)。

友近 そういう、変なものに反応するアンテナみたいなものが同じなんだと思います。

ゆくゆくは映画館で!

──「六城」のほかに、「船と氷山」「激突き!」と題した作品の配信が控えています。この3本はどういうラインナップなのでしょうか?

友近 撮影する前から、想像するだけで楽しいと思えた3本です。

秋山 会議でアンケートをとったら、そんなに乗り気じゃない人も何人かいたんですよ。それでも「『激突き!』は絶対やらせてください!」と友近さんがゴリ押ししてね。

左からロバート秋山、友近。

友近 こだわりの強さが出ましたね(笑)。「船と氷山」と「激突き!」はまだ撮影していないんです(インタビューは7月に実施)。広い道路が必要ですし、都内ではできないかもなあ……。愛媛でやるのはどうですか?

秋山 友近さん、ロケの場所をすぐ愛媛にしようとするんですよ(笑)。

──故郷で撮りたいんですね。

左からロバート秋山、友近。

秋山 海も船もあるし、「船と氷山」は愛媛でできるんちゃいます?ってずっと言ってて。何かにつけて僕らを愛媛に連れて行きたがりますよね。

友近 あはははは!(笑) いいところだから来てほしいんです。

──どんな人に「国産洋画劇場」を観てほしいですか?

秋山 「ゴールデン洋画劇場」のような洋画番組に親しみのある人はもちろん、知らない世代にも新鮮な感覚で観てほしいですね。

友近 ゆくゆくは映画館で上映してほしいと思っているんです。大きなスクリーンに映えるような作品になっているはずだから。

秋山 1回のロケで撮ってるわけではないですから。何日もかけて作り込んでいるので、とにかくまずいろんな人に観ていただきたいです。