正解なんてないから毎回挑戦してる

──ナイツさんは扱うネタが幅広いですよね。老若男女の中で特にどういった層から支持されているとお感じにますか？

塙　完璧に年配の人ですよ。

土屋　シニアですね。

塙　実感がめっちゃあります。もう自分たちは若い芸人みたいには漫才ができない。高い声も出ないですし。別に意識してシニアに寄せているわけじゃなくて、自然とそうなってきちゃってるんです。若い子にも笑ってほしいと思ってやっているんですけど。

──年配の方にウケるネタをする一方、独演会などではナイツさんのイメージにはない斬新なネタもたびたび披露されています。

塙　毎回挑戦していますよ。それがウケるかもしれないですから。正解なんてないじゃないですか？ 徳永英明さんが「壊れかけのRadio」を今ライブバージョンで歌うと、CDのときよりも歌い方がゆっくりになっている部分があって、「CDのやつが聴きたいのに」っていう意見もあるんでしょうけど、徳永さんの曲なんだから好きに歌えばいいんですよ。

──つまりナイツさんも確立した今までの漫才のイメージを大切にしつつ、新しいネタを好きなように並行して作り続けていると。

塙　そうなんですよ。CDに入っている「アニメ」「ドラマ」などはおそらく皆さんが見たことあるネタですけど、ちょっとそういう新しいところも入っているので面白いかもしれません。

──ちなみにナイツさんはよく時事ネタを演じられるイメージですが、同じライブに出演される芸人さん同士で時事ネタの譲り合いみたいなものはあるんでしょうか？

塙　あります、あります。

土屋　爆笑問題さんは、いつもうちらが挨拶に行ったら田中さんがそのあたりを聞いてくれるので、説明してすり合わせをしています。

「肛門見えても」が柔らかくなる

──先ほども少し話題が出ましたが、今年復活した「M-1グランプリ」にナイツさんは予選から出場されています。M-1への思いを聞かせていただけますか？

塙　最近は15分の漫才ばかり毎月30本くらいやって“15分の身体”になっちゃっているので、“4分（＝M-1決勝のネタ時間）の身体”に絞っているところです。マラソンランナーみたいな身体になっちゃっていて、急に100メートル走を全力でやったらアキレス腱が切れるみたいな状態です。

──優勝候補として追われる立場での予選参加だと思います。ほかの芸人からのマークが厳しい、といったことはお感じになりますか？

土屋　出場の条件が結成15年以内なので、自分たちより芸歴が上なのにコンビを組んでまだ10年、という先輩も出ているんですよ。むしろチャレンジャーのようなモチベーションになっています。

塙　マークが厳しいというより、みんなちょっと期待している部分があるのかなと。一度そこを崩すことで、お客さんがほぐれるときがありますね。M-1の予選でも、最初にわけわかんないことを言ってから漫才をやったりしています。

──CDでは結果的にカットされましたが、この作品の収録ライブではきわどいネタをいくつかおっしゃっていましたよね。あれもお客さんもほぐすため？

塙　そうですね。そこもCDで使ってくれたらラッキーだったんですけど。ライブでカットされたネタのあとに言った「肛門見えても」が結果的に柔らかく聴こえたので作戦大成功です！

土屋　そんなに柔らかくなってないですよ（笑）。

動きの笑いじゃなくて言葉の笑い

──CDの次回作をリリースする予定は？

塙　出したいです。本当は毎年コンスタントに出したいくらい。

──10月から「ナイツのちゃきちゃき大放送」（TBSラジオ）が始まりましたし、「マツコ＆有吉の怒り新党」（テレビ朝日）では塙さんがナレーションを務めています。このCDも含めてナイツさんといえば声、というイメージが上向きになりそうですね。

塙　動きの笑いじゃなくて言葉の笑いなんですよ。CDのほうが言葉の笑いをより強調できると思います。だから次回はぜひ「スーパーベスト2」で。チャゲアスも「SUPER BEST II」が大ヒットしましたから。

──チャゲアスの話題がたまに出てきますね（笑）。では最後にお2人から読者さんへCDのアピールをお願いします。

塙　目標は150万枚。印税1億円。宇宙旅行です！

土屋　（インタビューに立ち会った）ドリーミュージック・さんに鼻で笑われましたけど。

塙　せっかくだから浅草演芸ホールとか全国のサービスエリアにぜひ置いてほしいなあ。とにかく耳で聴いて笑うのに完璧な状態にした漫才なので、耳さえあれば全員買ってください（笑）。毎日笑いながら過ごせますよ。

土屋　シニアの方もCDはプレーヤーにかけるだけなので楽しみやすいと思います。老若男女に聴いていただければ。またこれがきっかけで、ほかの芸人さんも漫才のCDを発売するかもしれませんね。

塙　真似されちゃいますね。だけど、ほかのみんなの漫才を言葉だけで聴いたら、たぶん面白くないと思いますよ。NON STYLEとか！ ウーマンラッシュアワーとか！

土屋　終わりかけでわざわざ悪口言わなくても（笑）。