お笑いナタリー Power Push - エレ片コントライブ~コントの人10~
「ラジオのグルーヴをコントに」シリーズ最終公演での挑戦
ウンコの話に逆戻り
──この10年での変化の1つは、“非モテラジオ”として認知されていたエレ片全員が既婚者になったことだと思います。何か生活やネタ作りに関して変わったことはありますか?
今立 もともと「非モテラジオ」なんてことは言ってないですけどね、こっちは。
やつい モテないっていうか、モテようとした結果、現時点ではモテてないっていうだけであって。それは10年間みんなに確認してきたはずなんです。「俺はモテないんじゃない。現時点ではモテてないけど、誰よりもモテようとはしてる」って。
今立 “大モテない先生”でしたからね(笑)。
やつい モテたいことを否定しているわけじゃない。「俺はどうせモテないから」っていうスタンスが多い中、我々は「モテたいけど結果モテない」だけだったので結婚は当然です。最終的にモテたってことですから。片桐さんはラジオが始まったときから結婚してたんだっけ?
片桐 してた、してた。子供もいました。子供がライブを観に来るようになったっていうのは変わりましたね。
──「コントの人10」も観に来られてました?
片桐 はい。でも、“カッコ悪いお父さん”を見るのはまだあんまり好きじゃないみたいです。“面白いお父さん”を見るのは好きなんですって。どこまでが面白くてどこからが恥ずかしいかわかりませんけど……。やついは車の免許取ったり、犬を飼ったり、変わったんじゃない?
やつい 生活自体はほとんど変わってないんですけど、犬はデカいかもしれません。犬が本当に好きです。
──昔から好きだったんですか?
やつい いや、そんなに。
片桐 あははは(笑)。飼ったことなかったんでしょ?
やつい なかった。でも犬に対する憧れはありました。犬=金持ちって感じがして。子供の頃は市営住宅に住んでいたので、飼えなかったんですよ。
──すごくトイレが狭かったんですよね。
やつい はい。壁が目の前にあったので、ウンコするときにいつも壁におでこがついていて。そしたらおでこを押すとウンコしたくなるようになっちゃいました。
片桐 またウンコの話に戻っちゃったよ(笑)。すごいですね、習性って。
今立 パブロフの糞だ(笑)。
片桐 俺はつむじをツツツツーってやるとウンコ出るよ。
やつい なんで? 天井が低かったの?
片桐 子供のとき便秘で、母親がツボが効くって言ってツツツツーって。
今立 お前もパブロフの糞じゃねえか!
生活からネタができるようになった
──話を戻しますが、犬を飼うことや車を持つことで生活リズムが変わったんじゃないですか?
やつい 犬がいるから早く帰るし、車に乗っているからあんまり飲みにも行かなくなりました。その結果、刺激を受けるのが散歩中とかなんですよ。だから生活からネタができるようになったと思います。
──やついさんがご結婚を発表されたとき、不安になったファンもいると思います。「我々の代弁者的存在だったやついさんが幸せになってしまう!」と。
今立 それはウンコのほうの“大便”者ですか?
片桐 大便する人のことを大便者って言わないよ! たしかに、満たされていないっていうコンプレックスがやついの原動力ですからね。
やつい うーん。まあやっぱり、相変わらずチケットも売れませんしね。
──あはははは(笑)。
やつい 状況は変わりません。即完することがないですもん。
──とはいえ、蓋を開けたらいつも満席じゃないですか。
やつい 俺の理想はこれだけがんばって売ってやっと満席、じゃないんですよ! これはドブ板選挙のドブ板満員です。それで「幸せ」と言えるかどうかですよね。
「すげー最近呼ばれてるよね!」って60歳過ぎくらいから言われたい
──「コントの人」はこの「10」で終了しますが、エレ片の今後の展開は見えてきましたか?
やつい 「エレ片IN両国国技館」ではレキシやNegicco、銀杏BOYZの峯田(和伸)くんとコントをやるんですが(参照:「今立は人を面白く見せる天才」片桐涙のスピーチ、エレ片10周年ライブ大団円)、そういう異種な人たちとのコラボでまた面白いことができるんじゃないかなと思っています。
──今後はそこで得たものを生かして。
やつい そうですね。人数のこだわりを取っ払ったことは両国で試せるので楽しみです。手応えがあれば、そういうのをやっていくかもしれません。
──毎年コントライブを開催して、ラジオから派生したイベントもたくさん企画して、こういう活動をしているユニットはほかにないと思います。お笑いを始めた頃にみなさんがどんな理想を思い描いていて、ここにたどり着いたのか気になりました。
やつい 何を思い描いていたか忘れちゃったな。でも恐らく思っていたのとは違うところにいます(笑)。
──当時とテレビやお笑いシーンの状況がかなり変わっていますしね。
やつい 今がどうっていうことより先のことに興味があります。歳を取ってから成功したいので、大事なのは今からですね。「すげー最近呼ばれてるよね!」って60歳過ぎくらいから言われたい。
片桐 あはははは!(笑) あと20年あるよ。たしかに60、70で体がしっかりしてたら相当面白いね。
やつい 20歳でピークを迎えてたら、少し露出が少なくなっただけで「あのときよりも出てないね」と言われると思うんです。我々は出てない状態で40歳超えたので、ここからちょっとでも出たら「出てるねー!」ってなる。だから50歳くらいから売れ始めるように理想に近づいていきたいなって思ってます。
今立 ここまで続けられていることがありがたいですから。笑ってくれる人がいて、通用するんだったらこれからも挑戦したいですね。
(このインタビューは2016年12月中旬に実施したものです。)
収録内容
本編
- あの頃、片桐と……(1)
- あの頃、片桐と……(2)
- ブスの才能
- 同窓会
- ようこそ先輩
- エンディング
特典映像
- エレ片 in 越後湯沢
副音声
- エレ片3人によるコメンタリー
エレ片(エレカタ)
左 / やついいちろう
生年月日:1974年11月15日
出身地:三重県
中央 / 片桐仁(カタギリジン)
生年月日:1973年11月27日
出身地:埼玉県
右 / 今立進(イマダチススム)
生年月日:1975年9月27日
出身地:東京都
トゥインクル・コーポレーション所属のエレキコミックとラーメンズ片桐仁によるユニット。2007年、東京・恵比寿ガーデンルームにて「コントの人」初開催。以降「コントの人10」まですべてDVD化されている。レギュラー番組「エレ片のコント太郎」(TBSラジオ / 毎週土曜25:00~27:00放送中)は2016年4月に10周年を迎えた。同年12月には10周年記念イベント「エレ片IN両国国技館」を開催。このイベントを振り返るトークライブ「エレ片大新年会」を、2月5日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼで行う。