「ウンコ漏らした」の向こう側

──そして「同窓会」。ウンコを漏らしたことを友達になすりつけるという……。

片桐　このネタは“エレキコミック爆走中”って感じですね！

今立　こういうネタをやり続けてきました。

片桐　ウンコ漏らす・漏らさないに20年費やしてきたのって、エレキコミックだけですよ。普通のコントだったら「ウンコ漏らした」がオチなのに、そこからのアクロバティックな展開はエレキコミックの真骨頂ですよね。「ウンコ漏らした」の向こう側まで見せてくれる。

コント「同窓会」より。

──ただ、大人になってからウンコを漏らす機会ってあんまりないと思うんですが。

やつい　いや、増えましたね。

今立　カッコつけてんなあ（笑）。

──え、増えましたか？

やつい　ウンコっていうかオナラなんです。だからお尻にウンコつけられてるって可能性もあるんじゃないかと思っていて。オナラをしてたのにウンコが出ちゃうっておかしいじゃないですか。これは陰謀です。

片桐　そんなわけない！

やつい　ボケの中でオナラが一番好きなんです。だからオナラを自由に出したいっていう夢があって、ずっと鍛えてるんですけどうまくコントロールできない。

片桐　それでウンコ出ちゃうんだ（笑）。

やつい　でも出てないときもありますよ？

片桐　あたりめーだろ！

やつい　でも漏らすと言っても個体じゃない。オナラからの“ぴゅ”。それはウンコなの？オシッコなの？って思うんです。

今立　ウンコだよ！

片桐　俺は個体出したことあるよ。ズボンの裾からコロコロコローンって。

やつい　それは軽蔑します。信じられない。俺、ウンコすっごい嫌いなんですよ。

──え？ そうなんですか？

今立　「え？ そうなんですか？」じゃないですよ。当たり前でしょ！（笑）

──ウケるから好きなのかと。

やつい　概念としてのウンコが大好きなんです。ウンコって言葉が好きなんでしょうね。みんな好きでしょ？

片桐　たしかに、性的な下ネタよりもウンコのほうが市民権を得てますよね。

今立　何を真面目に語ってんだよ。

片桐　もうやめよう。読んでもらえなくなっちゃう（笑）。

ラジオのグルーヴをコントにするには

──「ようこそ先輩」は「コントの人9」の幕間で流れた片桐さんの母校訪問がモチーフですよね。

片桐　そうです。母校の文化祭に出て、しこたまスベったっていう。

やつい　このコントが一番疲れました。ウケるかウケないかわからないので。

──体力的にではなく、精神的に？

やつい　はい。「ラジオを舞台で再現するには」っていうことをすごく考えていて。ラジオでも当然、面白くなる瞬間ってあるじゃないですか。台本はなくても。そのグルーヴしたときの面白さをコントにしたかった。でも「2人でちょっかい出して片桐さんが怒る」っていうのを台本にしてみても面白くないんですよ。それで今回の形になっていくんですけど、その場で発想していかなきゃいけないからしんどいんです。ウケるかどうかわからないし、かと言ってウケたことを繰り返しても自分たちが飽きちゃう。お客さんって、こっちが飽きてるのも嗅覚でわかりますから。だからものすごく大変でした。

──各公演で変えてるってことですもんね。

やつい　毎回ハマるまでに時間がかかったりして、長くなりました。片桐さんは長くなることを嫌がってましたよ。

片桐　だって疲れちゃうんだもん。2対1なんです。まず、両側から肩を叩かれるのが本当に嫌でした。

やつい　それがいいんです。「本当に嫌」なのが。片桐さんが痛いのを嫌がるから、こっちも痛いことをするしかないじゃないですか。

今立　負の連鎖です（笑）。

やつい　つらいですよ。やりたくないけど、本当に片桐さんを怒らせるしかこのコントを表現する方法がないから。

今立　心で泣いてました。

片桐　いやいや、嘘だよ（笑）。まあでも、こういうコントはエレ片だからやれるんでしょうね。ラジオでの関係性がありますから。