よしもと勢の話題に置いてけぼり
──小道具系以外では、宝塚歌劇団のキャラクターに扮するシーンもありました。
宝塚も、とりあえず準備したはいいものの、どこでどう出そうかとか、キャラクターも定まっていなかったんです。
──もとからあるキャラではないんですね。
じゃないです。あれも過去の「ドキュメンタル」を観ていてわかったんですけど、仮装して登場してスベった空気になっても、周りがやっぱり芸人なので愛情で面白くしようとしてくれるじゃないですか。「名前は?」とか「趣味はなんですか?」とか、いろいろ掘り下げてくれる。だから人数が多いうちに出したら何か生まれるかもしれないと思って早めに出しました。
──相手はもちろん敵だけど、芸人同士っていう安心感もある?
そうですね。イジってくれるので、だんだんプチ大喜利大会みたいになってくるんですけど、そこは自分で自分を追い込んでいくしかない。出しまくって出しまくって、それを乗り越えたら1000万もらえる資格はあるのかなと思いますね。でもやっぱり笑いが起きないと怖くて早く衣装を脱ぎたくなります(笑)。
──早くやめたかった。
でも収録のあと、松本さんに「もっと引っ張ればよかったのに」って言われて、「ええ?」と。「全然わかんないわ」って思いました。
──メンバーはどうでしたか? 心斎橋筋2丁目劇場の面々が揃っていましたが。
連携プレイをやられるときもありましたが、有利な点もあって。みなさんが若手の頃の話とか、大阪よしもとのあるあるで盛り上がっていたんですけど、僕、まったくわかんないんですよ! みんなが笑いをこらえている中、「ん? なんだろう?」って。そこは得しましたね(笑)。
──ピンとこない?
ピンとこなかったです。
──サバンナ高橋さんが持ってきた師匠方の写真カードも、わかっていないからこそ面白い大喜利の回答が出ましたね。
それも助かりました(笑)。お会いしたことない師匠方だったので、正直「あれ、誰だろうな?」って。もちろん僕の勉強不足で本当に申し訳ないんですけど……!
──芸歴の離れた先輩も多い中で、戦いづらさや、反対に胸を借りられるっていうやりやすさなどは感じましたか?
最初から「先輩だらけだろうな」と覚悟はしていました。まさか自分が一番下だとは思いませんでしたけど。何がビビったって、ジュニアさんが手ぶらだったんです。「この人、何する気なんだろう」みたいな。こっちは荷物パンッパンに用意してるんですよ?(笑) でもスタートしたら僕らが用意してきたものにジュニアさんがいろいろ加えたり、ルールを作ったり、プラスアルファしてくれて。バトルとしてはみんな早く退場してほしいんですけど、面白さのことを考えればジュニアさんがいなくなったら危なかったんじゃないかなと思います。
──逆に後輩だらけだったら難しかった。
そうかもしれないですね。ジャンポケ斉藤くん、(マテンロウ)アントニーとか、後輩だけだったら確かに怖いです。「誰も行かないの? どうするどうする?」ってなると思います。そんなの番組としてまずいですよね(笑)。
くっきーと大悟の無言の時間が好き
──お尻のタトゥー以外に出せなかったものを教えてください。
侍も用意してました。カツラや袴をカバンに入れていたんですけど、どうしても刀だけが入り切らなくて。「こいつ侍やるな」っていうのが思いっきりバレバレだったのでやりませんでした(笑)。あとは電撃ネットワークさんの、クラッカーを口に入れてバーンってやるのも家で練習しましたね。
──ちゃんと練習してきたのに出さなかったんですね。
「今出すときじゃないな」って思っちゃうんです。マジックも用意したんですけど、僕のマジックで笑うような状況じゃないなと。いろいろ覆されますね、あの環境にいると。
──ではバトルの最中は絶えず攻撃のタイミングを伺っているような状態だったんですか?
そうですね。でも次から次へといろんなことが巻き起こるので、そこまで自分の攻撃を考えている余裕はなかったです。6時間けっこうあっという間でした。
──狩野さんは一番の後輩というのもあって無茶ぶりされることが多かったですが、逃げない姿勢は視聴者の目にカッコよく映ったと思います。
いやあ、逃げるはないですね! 選択肢として。
──ディフェンスに関してはどうでしたか?
前半は特にですけど、気を許す時間がなかったので緊張で笑いをこらえることはできていました。後半は疲労もあってか、気が緩んでしまった場面もあります。
──狩野さんはどういう笑いに弱いんですか?
「ドキュメンタル」で言えば、普通に視聴者として全部ゲラゲラ笑っちゃうんですけど、独特な空気が流れる瞬間が大好きで。シーズン4の(野性爆弾)くっきーさんと(千鳥)大悟さんの無言で見つめ合う時間とか、梅干しの種を口で無言でリレーしていくのとか、ああいう緊張感は「ドキュメンタル」でしか出せないと思うんです。ほかの番組だったら絶対にあり得ない間ですよね。あと、今回僕、ジミー大西さんにお会いしたのが初めてで。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)とか「ドキュメンタル」で見ていてファンだったので、会ったときに「ヤバイ」と思いながらもうれしかったです。
笑いのない空気を僕はよく知ってる
──今回「ドキュメンタル」に参加してみて、向き不向きって感じましたか?
あの空間ってボケても誰も笑わないじゃないですか。でも考えてみたら僕の場合、普段からそうだなって。慣れているシチュエーションだし、メンタル的には有利なのかなと思いました。ジュニアさんが言ったことで「シーン!」なんか、見たことないですから。メンタル的には実力者から崩れていくものだろうなっていうのは思いましたね。
──普段ウケている人ほど心が折れていく。
笑いのない空気を知らない人たちですから。
──狩野さんは……。
(笑いのない空気を)よく知ってるんで(笑)。それがあったので、スベってもすぐ「次だ、次!」と切り替えられたと思います。
──収録のあとはまっすぐ家に帰ったんですか?
帰りました。大量の荷物を持って(笑)。収録前は「終わったあとみんなで打ち上げ行くのかな」なんてのんきに思ってたんですけど、打ち上げなんてできる体力ないですね。家帰って、荷物置いて、「片付けは明日でいいや。でも視界に入れたくない!」って気持ちだったので荷物を部屋の奥に隠して、お風呂入って1人で飲みました。なんとなく思い返しながら。
──改めて、「ドキュメンタル」ってどんな番組ですか?
学生時代に見ていたお笑い番組に、タイムスリップして自分が参加できているような感じですね。だから本当に無茶とか、緊張感とか、この刺激的な感覚を「これこれ!」って味わっていました。
──シーズン6は今冬開催が予告されています。次また呼ばれたらどうしますか?
そうですよねえ……。もし次があったとしたら、さらに新しい挑戦をしていこうかなとは思います。例えばタップダンスとか練習しておいて、バッシーンできたら誰か笑ってくれるんじゃないかな。
- 狩野英孝(カノエイコウ)
- 1982年2月22日生まれ、宮城県出身。マセキ芸能社所属。2003年より芸人としての活動スタート。ホスト風のルックスでラーメン屋の店主に扮し、「何にする? ラーメン つけ麺 僕、イケメン!」と決めセリフを言い放つ1人コントで人気を博す。「アメトーーク!」(テレビ朝日系)では出川哲朗、三四郎・小宮と共に「マセキ3兄弟」としてポンコツ扱いされている。現在はサンドウィッチマンを中心とするコント番組「東北魂TV」(BSフジ)などに出演中。
- Amazon Prime Original作品「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン5
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出演者千原ジュニア / ケンドーコバヤシ / ハリウッドザコシショウ / 陣内智則 / たむらけんじ / サバンナ高橋 / ロバート秋山 / かまいたち山内 / 狩野英孝 / ジミー大西
「ドキュメンタル」シリーズ
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出演者シャンプーハットこいで / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / バッドボーイズ清人 / 森三中・大島 / ロバート秋山 / とろサーモン久保田 / ニューロマンスおにぎり / スリムクラブ内間 / トレンディエンジェル斎藤 / 板東英二
- パイロットシーズン
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出演者FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / ダイノジ大地 / 野性爆弾くっきー / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / とろサーモン久保田 / 天竺鼠・川原 / トレンディエンジェル斎藤 / マテンロウ・アントニー
- シーズン1
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出演者FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / バナナマン日村 / アンジャッシュ児嶋 / バイきんぐ小峠 / 森三中・大島 / ダイアン津田 / 平成ノブシコブシ吉村 / ジャングルポケット斉藤
- シーズン2
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出演者雨上がり決死隊・宮迫 / FUJIWARA藤本 / ずん飯尾 / 野性爆弾くっきー / スピードワゴン井戸田 / 千鳥・大悟 / 千鳥ノブ / 森三中・黒沢 / ダイアン西澤 / 安田大サーカス・クロちゃん
- シーズン4
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