スパローズ18年目の初単独ライブでクズ芸人の集大成披露

昨日5月12日、13日、東京・新宿シアターモリエールにて「スパローズ初単独ライブ『クズ＆クズ』」が開催された。

芸歴18年目にして初の単独ライブを行うという稀有なコンビ・スパローズ。売れていないことを逆手にとった自虐漫才、傍若無人の芸人いじり、根っからのクズエピソードの数々など、笑いにせずにはいられない破天荒な行動を18年間続け、コアなファンはもとより、多くの芸人や関係者から熱い支持を集めてきた。そして、昨年2011年「THE MANZAI」の活躍を受けて、周囲のスタッフは彼らが拒否し続けてきた単独ライブをするよう説得。ようやくクズたちが重い腰をあげた。

昨日13日はライブが幕を開けると、2人が舞台に姿を現しただけで拍手喝采。開演前にTシャツも完売したということで、気をよくした大和は「昨日のライブのVTRを流します」と本気の目でいきなり宣言した。さすがに森田にツッコまれるも「この雰囲気なら大丈夫じゃないか」ともうひと押し。すかさず観客から「クズ」の掛け声がかかり爆笑が沸き起こると、「俺らより面白いこと言うな」とツッコんでいた。ネタでは、「クズに慣れておけば騙されることもない」と、大和が算数の問題を発案。返済日が基準な上、人間関係も考慮に入れた、クズ版算数に観客は笑いっぱなしだった。

久々の新作コントでは、巧妙ながらどこか抜けているクズを描いた「自殺」、国民的キャラクターとスパローズのミステリーコラボ「地下室にて」を披露。「ボツネタ」では、ムダが嫌いなクズ2人がせっかく思いついたコントもライブの一部として紹介したいというセコい思いつきで、「このボケ以外思いつかなかった」「未来を感じなかった」「ラーメンズさんのようなコントがしたかった」などの理由でボツになったコントの一部を演じて見せた。

後半の漫才では、2日連続でさらにこの直前にトークライブも行ったということですでに疲労困憊。「お金返すんで帰ってもらっていいですか？」と、クズらしからぬ「返金」発言が飛び出すほど、18年目初単独に疲れを見せていた。しかし続けて「2日目にして慣れた。ビジネスのことしか思いつかない」と、観客が金に見えていることには変わりない様子。「自分たちが売れる確率」を観客に聞いてみるなど、軽快な漫才で観客を笑わせた。

コント「わくわく動物王国」では、動物園の取材に来たレポーター（森田）が、名物園長（大和）の怪しい言動に困惑。「変態電車」では、電車に乗ってきた変態（大和）のおかしなプレイの数々を、その電車に居合わせた乗客（森田）が興味津々で観察した。途中のブリッジVTRでは、「類は友を呼ぶ」ならぬ「クズはクズを呼ぶ」を実証するかような、周囲の「ゆかいなクズたち」を紹介。トークライブにも登場した“エロクズ”ヒロシをはじめ、森田と同居している“パチンコクズ”、作家の“ゴミ屋敷クズ”、赤字の中、自分の弁当を真っ先に確保する“マネージャークズ”、スパローズを甘やかす“ズラサンクズ”など、次から次へと出てくるクズに観客たちも笑いがこらえきれない様子だった。

そして最後の「クズ」は、結婚を目前に控えた森田と、仲間の大和が送る傑作青春クズコント。自分らしく生きる道を諦めた森田と、そんな森田を見ていられない大和は、殴り合いになるほど熱く激しく互いの意見をぶつけ合う。2人のリアルな演技と真剣な大声に、思わず引き込まれる観客たち。と、思いきや、クズまっしぐらのセリフだけで構成されたまさかの展開に爆笑の連続。クズを貫き通した彼らだけが披露することのできる、青春クズコントの決定版がここに完成した。

オープニング以上の拍手で迎えられたエンディングでは、森田が開口一番「クズはいいことではありません！」と警告。すっかりクズワールドの虜になっていた心臓の強い観客たちをきちんと現実世界に引き戻した。観客の興奮をよそに、「小道具の50円玉を3800円で販売しようと思う」「もう単独やりたくないので、Twitterで『面白い』って書かないで」といつものクズ発言を繰り返したスパローズ。クズだけに本当にこれで最後の単独になるかもしれない貴重なプレミアライブとなった。「単独やりたくない」がウソ発言というクズパターンもあるかもしれないので、ファンは今後の活動に期待しよう。