「君とその人の間」は、新社会人のシンイチ(竹内啓)が縫製工場で働き始めるところから始まる物語。彼は長年付き合っている恋人がいるが、明るく話しかけてくれる工場長の娘のカナコ(比良田朱里)に心を揺さぶられてしまう。芸人も出演しており、天竺川原が工場長役、
今作では、受け手の想像力を掻き立てる部分、自由な解釈が許されるポイントが多数用意されている。これについて川原は「映画やドラマだと謎な部分も後に伏線として回収されるものだという暗黙の了解がありますけど、現実って『あれはなんだったんだ』という感じでいろいろ想像するけど、結局わからないままみたいなことのほうが多いじゃないですか。ドラマを観るときも、受け手がもっと自分たちで想像してほしいと思ってるんです」とコメント。そして「今作は自分自身を知るきっかけにしてほしいです。面白かったのか、腹が立ったのか。観たときに自分が何を思ったのかを大切にしてください」と呼びかけた。
天竺川原 コメント
──川原さんはどのようなコンセプトでこのドラマを作ったのでしょうか?
うーん、なんと言えばええやろ……大掛かりな茶番? カメラマンさん、音響さん、照明さんも知り合いの信頼できるプロフェッショナルを集めて、みんなで最高で最低な作品を作ろうという意気込みで完成させました。あのラストに向かうためにどれだけ全力を出せるかに挑戦して、結果的に傑作ができたと思います。全ジャンルを一生懸命やった結果ですね。サスペンス、ホラー、恋愛、ヒューマン……アクション以外の要素はすべて入っていると思います。土台にはちゃんとお笑いがありますし。
──「これは一体どういうことなんだろう」という謎も想像力を掻き立てられました。
映画やドラマだと謎な部分も後に伏線として回収されるものだという暗黙の了解がありますけど、現実って「あれはなんだったんだ」という感じで結局わからないままみたいなことのほうが多いじゃないですか。ドラマを観るときも、受け手がもっと自分たちで想像してほしいと思ってるんです。今の作品って優しいから、みんなが想像する代わりに、伏線をいっぱい回収してスッキリさせてくれるじゃないですか。それに毒されすぎると、伏線っぽいものが出てきたときに受け手が「どうせあとから回収されるんでしょ」と安心して、何も考えずに見てしまうというか。わかりやすい伏線回収に慣れている人は今作について「伏線が回収されていない」と言うかもしれませんが、僕の中ではラストで全部回収はしているんです。
──観る側が想像できる余地がかなり広いなという印象です。
絵画を観るときって、自分がどう思ったかが大切じゃないですか。「周りはいいと思ったけど、自分はそうは思わない」という感じで自分と向き合えるものだと思うんです。でも最近のドラマや映画は「この解釈が正解です」というところに受け手を導いていて、観る人それぞれに湧き上がる感情がないがしろにされている感じがして。だから今作は、自分自身を知るきっかけにしてほしいです。面白かったのか、腹が立ったのか。観たときに自分が何を思ったのかを大切にしてください。
──撮影時の雰囲気はどんな感じでしたか?
台本らしい台本は書かず、現場でいろいろ指示を出していく作り方だったので、出演者の方々は全体像が見えないままがんばっていただきました。本当に不安だったと思います。それどころか完成した作品を観たあとも「本当に私はこの作品に関わっていたのだろうか」とパニックになるような作品。配信するにあたっていろんな芸人さんにも観てもらって感想をいただいたんですよ。全員が口を揃えて「ホラーだ」と言っていました。こがけんさんは映画やドラマにコメントする仕事では必ず2回は観るらしいんですが、今回は初めて3回観たらしいです。3回観た上で「わからなかった」と言っていました。
──最後に、今回初めてドラマの監督をした感想を教えてください。またやりたいと思えましたか?
そうですね、作る中でまたいろいろなアイデアが浮かんだし、もう1回作りたいです。何年後になるかはわかりませんが、今回の演者さんを全員太らせて、僕だけ痩せて、まったく同じ内容の作品を撮りたいです。観ている人に「内容がまったく同じだけどみんな太ってるな。でも川原だけ細いな」と思ってほしい。そうすればまた違うメッセージが生まれるので。
「君とその人の間」番組情報
あらすじ
静かに、世界がずれていく。工場に集う人たちは、どこか少し壊れている。
新社会人のシンイチは長年付き合う彼女がいながら、社長令嬢のカナコの色気に心が揺さぶられてしまう。
そんな最中、同じ職場で働く謎の多い上司から「今すぐこの工場を辞めたほうがいい」と告げられる。
その言葉を境に、空気がゆっくりと歪みはじめる。
“日常”と“異変”のあいだが、静かに溶けていく。
監督・天竺鼠 川原克己が描くのは、笑いも恐れも、同じ呼吸で混ざりあう奇妙な現実。
見えているのに、見えていないもの。
監督・脚本
天竺川原
助監督
濵田ミノリ
制作プロデューサー
小林陽平
主なキャスト
竹内啓 / ランジャタイ / 比良田朱里 / 天竺鼠・川原 / しずる池田 / 大迫茂生 / 遠藤かおる
😷 @maskloveclub
昨今の考察ブームも相まって、伏線は回収されるのは当たり前じゃないし、現実だってあれなんだったんだってことはたくさんあるという方向に持ってきてるのすごく川原さんのアプローチって感じで興味ある https://t.co/cOcQEhGaf2