制作期間は2年ほど。書き終えた率直な感想を聞かれて「自分の中で重要な作品が書けた。お笑い芸人としての活動と文筆業が初めて合わさって作ることができた話」という。この作品の「面白さ」や「笑い」について「大阪の市井の人たちが面白い、という発見があって、それを小説に導入できた。今までのものとはちょっと違う」と説明。「自分で言うのもあれですけど、10年前よりはだいぶ成長してると思う」と作品に自信を覗かせる。大阪を作品の舞台に選んだ理由を聞かれると「18歳くらいで上京して、これまで書いてきたのは上京した人の物語。自分が観てきた風景を描きやすかった。今は45歳で、30歳を越えてから大阪に帰る機会が増え、自分との近さをより感じて、大阪の街を好きになっていく体感があった」と答えた。
「生きとるわ」というタイトルについては、書き始めたときは「おまえ」という平仮名3文字のタイトルだったが、書いてるうちに「生きとるわ」という言葉が出てきたそうで「そっちのほうが僕の中で腑に落ちた」とのこと。息苦しさやなんともならない雰囲気もあって書くのがヘビーだったが「生きとるわ」というタイトルがお守りみたいになっていたという。作品のテーマは「お金」。「お金が関与しないところでロマンを求めることにも美しさを感じるが、お金が絡んだ瞬間にみっともなくなる人間らしさにも魅力を感じる」と持論を述べる。これに付随して主人公の職業は公認会計士となっている。実際に又吉の幼なじみに公認会計士がおり、執筆前に取材したり、書いた内容に間違いがないかチェックしてもらったそうだ。
取材陣から「新刊について相方・綾部さんの反応は?」と質問されると、作家活動の際はお決まりの質問らしく「毎回言ってるんですけど、本が読めない。本人曰く領収書がギリだと(笑)」と回答。アメリカ在住の綾部とは最近も連絡を取っており「今度会ったときに口頭で内容を伝えようかな。映画は好きみたいなので、2時間くらいかけて語るといいかもしれない」と述べた。また仲のいいパンサー向井がすでに「生きとるわ」を読んだとのことで「読みやすさを感じたと言っていた」と報告。ほかの芸人たちの作家活動についても話が及び、「ラランド・ニシダくんの文章は魅力的で面白いなと思いながら読んでいる。かが屋の加賀くんも何年か前に小説を書いて独自の語り方を持っている」と推薦した。
「生きとるわ」を読者にどう読んでほしい?との問いには「大阪の空気感を感じながら、何も考えずに自由に読んでもらえたら。笑ってもらってもいいし、しんどいところに向かってもらってもいい」と伝授。「実写化された際に誰に主人公を演じてもらいたい?」と聞かれると「思い切って(明石家)さんまさんにやってもらいたい(笑)」と話して笑いを誘う。次回作の構想については「年齢や生まれた環境を含めて、自分の個性ともっと遠い語り手を作ってみたい。江戸時代の話や海外が舞台の話など、構想だけはいっぱいあるけど、勉強せなアカンことがだいぶ多い」とアイデアいっぱいに意欲を見せた。
「生きとるわ」ストーリー
あかん、人生終わった......阪神優勝の夜、僕はどうしようもないあいつと再会した。公認会計士として傍目には順調な生活を送っている岡田。しかし、高校時代の仲間だった横井に500万円を貸したことから、人生が狂い始めていた。横井は、他の仲間たちにも手当たり次第に借金をしていた。貸した金を回収すべく横井に接触した岡田は、逆にさらなる奈落へと落ちていく。横領、脅迫、そして......。
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ピース又吉、新刊「生きとるわ」発売会見 芸人の活動と文筆業が合わさった重要な作品 - お笑いナタリー https://t.co/goWQH9rORI
“「実写化された際に誰に主人公を演じてもらいたい?」と聞かれると「思い切って(明石家)さんまさんにやってもらいたい(笑)」と話して笑いを誘う”