これは6月11日の全国公開に先駆けたプレミア上映会直後に実施された舞台挨拶。松本監督をはじめ、主演の野見隆明、出演者の
プレミア上映会直後の会場で割れんばかりの拍手と声援に迎えられた松本は「みんなの友達、松ちゃんです。よろしくお願いします」と、まずは照れ隠しのような挨拶。続けて「ここまで来るのにすごくつらかったけど、いまはよかったなと思っています」と映画完成までの苦労をしみじみと振り返った。また、それぞれのキャストは自身の役どころを笑いを交えながら自己紹介。舞台挨拶は終始和やかな雰囲気に包まれたまま進行した。
主演に一般人の野見を起用したことにより、ほかの映画ではありえない演出方法で制作が進められたという同作。「追い込まれる野見さんのリアルさを出すために、最初はドッキリみたいな形で映画の撮影ということも僕が監督ということも野見さんには一切伝えなかった」と松本は語り、「キャストのみなさんにも、申し訳ないけど、野見さんが挨拶しても無視してくれとお願いした」と撮影の舞台裏を明かした。これを受けて野見は「みなさんここまで徹底してるとは思わなかった」とデレデレしながらコメント。すかさず松本から「気持ち悪いわ!」とツッコまれていた。
刀の“さや”だけを持ち歩く「さや侍」の“さや”に注目した理由についても松本は説明。「野見さんと出会った10年くらい前、野見さんはいつも胸ポケットにケータイを入れていたんですが、実はとっくに解約されていたケータイだったことがあとからわかったんです。意味のないものをポケットに入れていたわけですけど、野見さんにとってはステータスなんですね。最後のプライドというか。それが刀の“さや”のように感じた」と“さや”のモチーフを語った。
どんな人に観てほしいかと尋ねられた松本は「松本作品に触れてこなかった人に観てほしいです。松本人志が嫌いな人も世の中にはたくさんいると思いますが、今回は僕は出ていないので、一度は観てみてほしい」と謙虚にコメント。「これからもどんどん面白いことを生涯かけてやっていこうと思いますので、よろしくお願いします」と舞台挨拶を締めくくった。
また、プレミア上映会前に行われた会見では「僕が面白いと思うことが世界と絡めながらできる状況が整ってきたのがうれしい。これからもがんばって笑いを届け続けるしかない」と松本。「大日本人」のハリウッドでのリメイクが決定するなど、これまでの監督作品が海外で評価されている背景について問われると、「もともと映画を壊してやろうというところからはじまったものですから、意外とそれが海外の人に評価してもらえているのかな」と語り、「ただ、僕のことを知っている人には“ヘタウマ”が通じずに、“ヘタヘタ”だと思われている。そこが海外と日本の評価の違いかなと。『さや侍』で見方を変えてもらえるかなと思ってます」と、日本での評価に若干不満をこぼしながらも、最新作への反応に期待を込めている様子だった。
「さや侍」は、無断で脱藩した侍・野見勘十郎と娘たえとの流浪の旅を描いた時代劇。第64回ロカルノ国際映画祭への正式出品が決まっている。
「さや侍」あらすじ
とあることがきっかけで、自ら侍として戦うことを拒絶し、刀を捨てた野見勘十郎。そんな父を軽蔑し反発する娘たえ。2人は行くあてもない流浪の旅を続けるが、無断で脱藩した罪に問われた勘十郎には懸賞金が掛けられていた。次第に追い詰められた勘十郎は遂に捕らわれるのだが、捕まった藩の殿様は相当な変わり者として世に名を馳せていた。殿様の眼前に連行された勘十郎は「30日の業」に処されるが、それに成功すると無罪放免になるという……。
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- 松本人志監督作品『さや侍』6月11日全国公開
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松本人志「さや侍」舞台挨拶で“さや”のモチーフ語る http://natalie.mu/owarai/news/50743