すゑひろがりずが観世能楽堂で舞う、10周年ツアーに幕下し“新章”へ

すゑひろがりずの全国ツアー「すゑひろがりず結成拾周年全国行脚～諸国漫遊記～」の最終公演が昨日8月8日に開催された。

今年4月に大阪・なんばグランド花月で幕を開け、北海道、宮城、福岡、広島、愛媛、愛知を巡ってきた同ツアーの千秋楽の舞台に選ばれたのは、伝統芸能の要素をネタに取り入れたことが芸人人生の大きな転機となり、こうして10周年を迎えた彼らにとって誉れとも言うべき東京・観世能楽堂という格式高い舞台。鮮緑がまぶしい紋入りの着物を身に着けたすゑひろがりずはまず赤い毛氈を敷いた本舞台に現れ、口上を述べた。

はじめは厳粛な雰囲気をまとって語っていた南條が途中から「完全にお笑いの空気ではございません！」と本音を明かすと客席にも漂っていた緊張感が一気に弾け、大きな笑いに包まれる。続いて三島も勢いよく口を開いたが、「このように格式高い」と言うべきところをあらぬ噛み方をしてしまい、南條に「絶対ダメ」と叱られた。また先日、厚切りジェイソンから受けた「すゑひろがりずの『ず』は英語の複数形じゃん」という指摘に対して「なんぞやそれ！」と怒りをあらわに。最後は2人で「最後まで公演、お楽しみ賜りますよう、隅から隅までずずずいっと、乞い願い上げ奉りまするー！」と合唱し、盛大な拍手を全身で浴びた。

ネタにはこの能楽堂の作りを存分に生かす動きをふんだんに取り入れ、すゑひろがりず自身も貴重な経験を味わい尽くしている様子。橋掛かりを使って出はけするさまもまた華々しい。事前に予告されていた通り「とある大きな挑戦」も。すゑひろがりずはこの日のために野村太一郎の指導のもと狂言を特訓しており、「口真似」という演目を初披露。最初は真剣に2人の演技を見つめていた観客も、彼らにマッチした滑稽なやり取りにだんだん笑い声をこぼしてその世界観に引き込まれていった。

ツアー千秋楽後にはトークライブ「回想録」を同会場で実施。マネージャー撮影の舞台裏映像も交えながら、ツアー各地の“寿な思い出”と“反省”を振り返った。最終的にどちらが足を引っ張ったか来場者の拍手で決定。選ばれたほうは相方への感謝を昔言葉でボケることなく伝えた。エンディングでは結成10年という通過点に到達した感慨、そして“新章”突入への意気込みを語ったすゑひろがりず。8月19日にはシングル「雅ー MIYABIー」のデジタルリリースも決定しており、11年目以降の彼らの活躍にも目が離せなそうだ。

なおツアー本編（千秋楽東京公演）と「回想録」は8月15日（日）までFANY Online Ticketにて見逃し配信されている。また、追加公演「すゑひろがりず全国行脚外伝」が9月5日（日）に広島・広島県民文化センターで開催されることも発表された。

※記事初出時、シングルの発売日に誤りがありました。訂正し、お詫びいたします。