初単独ライブ「夜明けの流星群」を開催した当時の四千頭身。

芸人が綴る初単独メモリーズ Vol.8 [バックナンバー]

四千頭身・石橋「初めて会場が揺れた、あの勝負ネタ誕生の瞬間」

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初めてのことに緊張や戸惑いはつきもの。期待に胸を膨らませて臨んでも、想定外のハプニングに見舞われて大失態を犯してしまうこともある。そんな初々しい経験の中から「初単独ライブ」の記憶を芸人たちに綴ってもらうのがこの「芸人が綴る初単独メモリーズ」。第8回は四千頭身・石橋が一風変わった構成で来場者を楽しませた初単独を振り返る。この単独で生まれた“勝負ネタ”がもたらした興奮や収穫とは?

/ 石橋遼大

眠れる獅子?

少しずつTVに呼んでもらえることが増えてきていた時にやろうとなった初の単独ライブ「夜明けの流星群」。タイトルはネタ作成者である後藤の好きなSCANDALさんの楽曲からお借りしていて、この風潮は現在の単独ライブでも続いています。

公演日は8月3日、4日の2日間。キャパは150人程と決して凄く大きな会場とは言えませんが、これだけの人数を笑わせて波打たせようと意気込んでいました。

四千頭身初単独ライブ「夜明けの流星群」チラシ

四千頭身初単独ライブ「夜明けの流星群」チラシ


早速後藤が大量のネタを作って来てくれました。
そのネタたちをファストフード店で見せてもらう。
3人で全てのネタに目を通す。そして軽くの読み合わせ。
後藤が頭の中で描いている事を僕らに伝えてくれる。すると、周りの目を気にしながらも自然と3人で笑っている。
そこで3人ともに声を揃えて「これはエグい事になるな」そう言ったのが“前半に畳み掛けるな”のツッコミが入っている「ドライブ」というネタでした。
今までの全ての漫才をフリにした漫才。そして僕らがいつもやっているような遅いテンポの漫才ではなく僕と都築が立て続けにボケて後藤が全てにツッコむハイテンポの漫才。難しいものであるのは重々承知していたが完成形が楽しみで仕方ない。色々な感情が重なり鼓動が速くなったのを鮮明に覚えています。

11本のネタを全て頭の中に叩き込む。
時には公園で。時には後藤家で麦茶を頂きながら。
ある程度ネタ合わせが進むと公演内容の話に。
最終的に決まった内容は、事務所ライブのWEL NEXTを出演者全て四千頭身でやる。MCは僕と都築扮する「スリーピングタイガー」という芸歴6年目の架空芸人。
エンディングで後藤が「この後ここで僕ら単独ライブをやるので見ていってください」と告知しWEL NEXTは終演。そこでやっと単独ライブのOP映像が流れ始めるというなんとも奇天烈なものでした。
だがこれで全てが出揃い、後はネタを更に仕上げて臨むだけ。どうなることやら。

───

迎えた8月3日。WEL NEXT当日。開演までの時間が迫っている。後輩がネタ合わせをギリギリまでしている。やればやる程何故か石橋の顔が強張っていき不安そうだった。聞くと決してネタがつまらない訳ではないのだが、何か引っ掛かっていてそれが何の不安なのかはわからない、味わったことのない緊張だったらしい。そんな変な緊張に駆られる石橋を横目にWEL NEXT開演。
僕らスリーピングタイガーの2人が飛び出していった。
トップバッター四千頭身の「ウエディングドレス」が始まった。
序盤は順調。終盤に差し掛かろうとするあたりで3人が止まった。
後藤が「おめぇ待ちだよ!」と石橋の方を向いて言っている。開演前の石橋の不安が的中した。後藤の咄嗟のアドリブで何とか会場は大盛り上がり。後に聞くと石橋はネタ合わせでもそんな所で飛んだ事などなく本番は自分が飛ばしている事に気付いていなかったそうだ。なんなら都築が飛ばしていると思っていたため後藤が何故こっちを向いて怒鳴っているのかわからなかったらしい。
そんな状況を目にすると僕にもその緊張が移りその後のMCが辿々しくなってしまった。
ただ、出演者の四千頭身にその後は大きなミスもなく会場は盛り上がり笑いもどんどん大きくなっていった。3人とも気持ち良さそうにネタをしている。その笑い声を聞いていると僕も緊張がほぐれMCもスムーズに。10本のネタを四千頭身はやり遂げ、盛り上がりの中WEL NEXTは終演した。

───

「夜明けの流星群」のOPが流れ始めた。
やっと単独が始まった。時間の都合上披露できるのは1ネタ。
披露するネタは「ドライブ」。
この単独で一番練習したネタだ。
僕と都築がボケを繰り出し続ける。そこにツッコミ続ける後藤。
お客さんは今までの僕らではありえないテンポに驚きながらも笑ってはくれている。
僕と都築が同時に最後の決められたボケをする。後藤が「前半に畳み掛けるな」とツッコんだ。…会場が揺れるのを初めて経験した。お客さんが完全に波打っていた。
その後の展開もばっちりウケ、「どうもありがとうございました」という言葉とともに暗転。
そして終演。最高。

こんな感じで計11本のネタを披露しました。
結果この「ドライブ」でM-1は初めて準々決勝まで進出できましたし、僕らを知ってくれる人が増えたきっかけのネタともなりました。
M-1の3回戦でやった際の手応えは今でも忘れられません。単独以上にウケました。
それからも単独で出来たものが勝負ネタになる事が多く、僕らからしたらとても大切なものです。
漫才をする為にこの世界に入ってきたわけですから、僕は何よりも漫才をしている時が一番楽しい。
その時間が一番多いのが単独ライブ。
次回開催した際に皆様足を運んで頂けたら、僕ららしい世界観を楽しんでくださいな。

石橋遼大(イシバシリョウダイ)

四千頭身。左から都築、後藤、石橋。

四千頭身。左から都築、後藤、石橋。

1996年9月13日生まれ、東京都出身。ワタナベコメディスクールで出会った都築拓紀、後藤拓実と2016年に四千頭身としてデビュー。同年12月放送の「新しい波24」(フジテレビ)でテレビ初出演を果たし、翌年4月からのレギュラー放送でもメンバーに抜擢される。初単独ライブ「夜明けの流星群」は2017年に実施。2018年には「オールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送)木曜パーソナリティを担当した。「M-1グランプリ」では2017年、2018年に準々決勝進出、2019年に準決勝進出。今年5月に第4回単独ライブ「最終兵器、君」を開催予定だった。ワタナベエンターテイメント所属。

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