スマートフォン向けリズムアクションゲーム「アイドリッシュセブン」発のアイドルグループŹOOĻが、1stアルバム「einsatZ」を11月25日に発売した。
メインボーカリストの亥清悠(CV:広瀬裕也)、狗丸トウマ(CV:木村昴)と、パフォーマーの棗⺒波(CV:西山宏太朗)、御堂⻁於(CV:近藤隆)からなるŹOOĻ。4人は2017年4月に配信開始されたゲームの第3部で、アイドルグループのIDOLiSH7、TRIGGER、Re:valeの存在を脅かす“ヒール”として初登場し、2019年12月に配信された、メインストーリーの最新話である第4部20章に至るまで、物語や登場人物にさまざまな影響を与えた。
1stアルバム「einsatZ」には彼らの思いが落とし込まれた歌詞の楽曲が多く収録されており、ŹOOĻの絆や成長が感じられる内容に。ヒャダインこと前山田健一、JUVENILE、Jeff Miyaharaといった多彩なプロデューサー陣が参加し、バラエティ豊かな11曲が並んでいる。音楽ナタリーでは本作の発売を記念して広瀬、木村、西山、近藤の4人にインタビュー。彼らに「アイドリッシュセブン」とŹOOĻへの思いや、「einsatZ」のレコーディング時のエピソードを聞いた。
なおこの記事はゲームのストーリーに関する記述が含まれているため、未読の方はネタバレにご注意を。
取材・文 / 酒匂里奈
スマートフォン向けリズムアクションゲーム「アイドリッシュセブン」発のアイドルグループ。メインボーカリストの亥清悠(CV:広瀬裕也)、狗丸トウマ(CV:木村昴)と、パフォーマーの棗⺒波(CV:西山宏太朗)、御堂⻁於(CV:近藤隆)からなる。キャッチコピーは「狂気と破壊の、テトラルキア」。2017年4月に配信開始されたゲームの第3部で、アイドルグループのIDOLiSH7、TRIGGER、Re:valeの存在を脅かす“ヒール”として登場し、同年8月にデビューシングル「Poisonous Gangster」をリリースした。活動当初は狗丸が「二度と真剣に歌わない」、棗が「どうせ3年程度で終わる関係でしょう」と語るなど、4人共グループ活動自体は本意ではない様子だったが……。
ŹOOĻというヒール
──音楽ナタリーにŹOOĻが初登場するということで、まずは出演オファーを受けた際の心境から聞かせてください。そもそも「アイドリッシュセブン」というコンテンツのことは知っていましたか?
全員 はい。
木村昴 我々が携わる前から無視できない存在というか、目にも耳にもするコンテンツだったので気になってはいました。ただ内容については深くは知らなくて。オファーいただいたうれしさの反面、「アイドリッシュセブン」というタイトルの印象から、「アイドルできるかなー」という不安な気持ちも少しありました。でも、それまでに発表されていた楽曲を聴いたら、さまざまな音楽性で素敵だなと思って。その中でもŹOOĻの楽曲は、ヒップホップやK-POPの要素を含んでいて、パフォーマンスも“アイドルアイドル”しているというよりはカッコいい感じ。そのことを聞いたときはめっちゃテンション上がりましたね。やっぱりカッコいいことをやれるのはうれしいですから。
──広瀬さんはどうですか?
広瀬裕也 (木村が)ほぼ全部言うたわ!と思ってました(笑)。
木村 ははは(笑)。でも彼はもともと「アイドリッシュセブン」ファンなんですよ。
広瀬 そうなんです。大学で女性が多い学科を専攻していて、周りに「アイナナ」をやっている人が多い環境だったのでもともと知っていて。男性でもカッコいいなと思える楽曲や、楽しめるストーリーだと思っていました。だから「アイナナ」に関われることが決まったときは純粋にうれしかったです。「周りに言ったらびっくりするんじゃないかな。自分が演じるのはどんなアイドルなんだろう。キラキラした感じかな?」と考えていたらヒールという役どころだと知って。ŹOOĻについて発表されたあと、大学の友達には「え、何……? TRIGGERになんかひどいことすんの?」といぶかしげに言われて。俺の思っていた「えー! アイナナに出るのー!?」という反応ではなかったですね(笑)。
西山宏太朗 僕はオファーをいただく前から、すでに作品に参加していた同世代のメンバーに話を聞いていたんです。「とにかく泣けるストーリーだ」と。アプリゲームって、リアクションの声だけを収録することもあって、演じている側からすると作品のすべてのストーリーを把握しきれない場合もあるんです。そういうケースもある中で、みんなが「ストーリーが! ストーリーが!」と言っていたので、「そんなふうに話したくなるお話なんだな」と興味を持っていました。そんなときにオファーをいただけて、内容を聞いてみたら「アイドルグループなんだけど、パフォーマー役です」と言われて。「ボーカリストとパフォーマーが分かれているんだ。それは新しいな、面白いな!」と思いました。
──重厚なストーリーも「アイナナ」の魅力の1つですよね。また西山さんは、IDOLiSH7の六弥ナギ役を演じる江口拓也さんと親交が深いイメージがあります。もともと江口さんから話を聞いていたのでしょうか? 偶然にも棗さんと六弥さんも関係性の深い2人ですよね。
西山 確かにそうですね。ストーリーがいいという話は白井(悠介 / 二階堂大和 [IDOLiSH7]役)さんや江口さんからよく聞いていました。でもオファーをいただいた頃は、実は今ほど仲がいいわけではなかったんです。こんなことを言ったら変かもしれませんけど、僕たちが仲よくなるにつれて、ナギと巳波の関係性も変わっていったように感じましたね。
──そうだったんですね。近藤さんはオファーを受けた際はどういう心境でしたか?
近藤隆 「アイドリッシュセブン」は僕たちが参加する前からビッグネームになりつつあるコンテンツだったので、単純にそこに参加できるのはうれしかったです。さっき宏太朗も言っていましたが、「御堂虎於はパフォーマーです」と言われて、新しいと思いました。ヒールという役どころについては「今まであまりなかったところを突いてきたな」と。今の世の中、物語に明確な敵役や悪役が出てくることが少なくなったと感じていて。そんな中で今まで出てきた3グループに対してのヒールだとはっきり明言するのは、面白いなと感じました。
歌うことって楽しい
──ŹOOĻはスマートフォン向けゲームのメインストーリーの第3部から登場し、最新話である第4部にかけて物語に大きな影響を与えました。その中で起こったさまざまな出来事を経て、4人の絆やパフォーマンスに対する真摯さが大きく変化したのではないかと思います。皆さんの中ではどのような出来事が、ŹOOĻ、そして個々のメンバーが成長するターニングポイントになったと思いますか?
広瀬 やっぱりIDOLiSH7、TRIGGER、Re:valeと関わったことが大きいですね。悠の場合は、最初はTRIGGERの九条天のことを憎んでいたけど、天の姿を見てどんどん心を動かされていって。ŹOOĻが変わるきっかけは「レッフェス」(ゲームのストーリー内で開催されたロックフェス「レッド・ヒルフェスティバル」)への出演が大きな一歩だったと思います。巳波が「『レッフェス』で披露する『ZONE OF OVERLAP』は4人で歌う曲」だと言って、一丸となってライブに臨んで。ライブではブーイングが予想されていたけど、実際は歓声を浴びて「歌うことって楽しい」という気持ちがみんなの中に芽生えたんじゃないかと思います。
西山 同じくですね。4人で歌う意味が生まれたシーンだと思います。巳波的には、そのあとに(桜)春樹に会いに行くときのエピソードも、彼の心境の変化につながったかなと。弱みを見せたくないという思いを抱えつつもメンバーが背中を押してくれて、「仲間っていいな」という思いが彼の中に芽生えたんじゃないかと思います。
近藤 僕はŹOOĻが所属するツクモプロダクションのよくない行いが発覚して、ŹOOĻの解散騒動が起こったあとのシーンですかね。今まで築き上げてきたものをほとんど全部失ったあと、4人の歌が好きだと言ってくれるファンと出会って。そのときに「この人のため、この人たちのために俺たちは何があってもがんばっていこう」という気持ちになれたんだと思います。
木村 もちろんストーリーの中でもターニングポイントになっているところは何カ所かあると思います。ちょっと話がずれてしまうかもしれないんですけど、木村個人としては「アイドリッシュセブン 2nd LIVE『REUNION』」(2019年7月に埼玉・メットライフドームで開催されたライブイベント。参照:「アイドリッシュセブン」2nd ライブ、今年は16人で!初披露含む29曲熱演)で、この4人でステージに立ったことがデカいのかなと思っていて。その頃配信されていた最新エピソードのことを思い返すと、お客さんからしたら「ŹOOĻめ!」と思ってもおかしくないタイミングだったと思うんです。だからライブ前に4人でごはんを食べて、「ブーイングされたとしても、カマそうね」という気持ちで挑もう、と話していたんですよ。だけど実際にステージに上がったら、お客さんは迎え入れてくれたし、盛り上がってくれた。僕ら自身にとっても大きな出来事だったし、ある意味ではあのライブがŹOOĻのターニングポイントになったんじゃないかなと思いますね。
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この4人なら無敵だ