「アイドリッシュセブン」特集 ŹOOĻ「einsatZ」発売記念 広瀬裕也、木村昴、西山宏太朗、近藤隆インタビュー|4人のヒールが手に入れた絆

この4人なら無敵だ

──続いて「einsatZ」についても伺います。アルバムに先駆けて配信リリースされたリードトラック「4-ROAR」は、イントロの電子音がモールス信号で「ズール」を意味するとファンの間で話題を呼んでいました(参照:JUVENILE (@juveniletalkbox) | Twitter)。

西山 そうなんですか!?

広瀬 知らなかった……。

近藤 えー!

木村 そういうこと言って言って(笑)。それにしても発見した方すごいですね。海軍の方なのかね。

広瀬 うれしいですね。海軍の方もアイナナ聴いてくれてるって。

近藤 モールス信号なんて今ほとんど使われてないのにね。

広瀬 異質な音ではあったから、何かあるんじゃないかと思ったんですかね。

──皆さんはこの曲を初めて聴いたときにどういう印象を受けましたか?

広瀬 コール&レスポンスできるパートがたくさんあって、ライブ映えするだろうなと。タイトル通り吠えている感じというか、「聴いてくれ聴いてくれ!」みたいな思いがひしひしと伝わってくるカッコいい曲だなと思いました。

近藤 いろんなものをどんどん巻き込んで大きくなっていくようなイメージを受けましたね。最後に「Everybody Follow Me」という歌詞もありますが、みんながいつの間にか着いてくるような感じというか。

──ありがとうございます。歌詞で言うと、活動当初はメンバー間の人間関係が希薄だったŹOOĻが「バラバラな俺たちさ だけどまるで共同体 デストピア戦うのなら オマエとじゃなきゃ勝利はない」と歌うところに、4部を経たあとの4人の絆を感じました。この曲の歌詞で、ストーリーやキャラクターの心情と連動していると感じた歌詞はありますか?

西山 1番、2番は「It's Me」と歌われているパートが、最後は「We Are!」になっているところですね。ŹOOĻの今までの歴史を振り返ると、4つのピースが集まって1つになって、「この4人なら無敵だ!」となった感じが表れていて素敵だなと思いました。

近藤 サビですかね。これまで発表されてきた楽曲は「自分たちを見せつけてやる」という気持ちが前に出ていたけど、「4-ROAR」のサビはオーディエンスを巻き込んでいくような流れになっていて。ŹOOĻが一回り大きくなったように感じました。

木村 「ルールも順序も作り変えろ」「ハミ出す事など最初からだ そーゆう体質」ですかね。敷かれたレールや作られたルールは関係なくて、俺たちは俺たち自身で新しいものを作っていく、というような、4人の前向きな気持ちが強く出ていて、聴いたときは胸アツでした。「4-ROAR」というタイトルは、ŹOOĻを表す「4」と、吠えるという意味の「ROAR」から成り立っていて。さらに「follower」という意味も含んでいるから、ŹOOĻが吠えて決意表明をする曲でもあり、「着いてきてくれ!」というファンへのメッセージも込められていると思いました。あと僕はトウマとしてラップパートを担当させていただいていて。「Rhyme するなら I'm Alive 行こっか Hill Climb」の部分は、ちゃんと韻もカタいし、「Hill Climb」というフレーズから「アガってくぜ!」みたいな雰囲気が伝わってきてカッコいいなと。トウマのラップパートがあることで、よりŹOOĻならではの楽曲になっていていいなと思います。そういう部分にK-POPっぽい要素を感じますね。

──ありがとうございます。レコーディングについても聞かせてください。広瀬さんはどうでしたか?

広瀬 どの曲でもレコーディングではŹOOĻらしさというか、「もっと感情をぶつけてください」「叫ぶ感じで」とディレクションされることが多くて。「4-ROAR」はそう言っていただくことがより多かったかな。あとラップパートが終わったあとに毎回悠のソロパートがあって、「4-ROAR」でもそこはトウマに負けないようにぐっと感情を込めて歌いましたね。

目覚ましの音にしたいŹOOĻコール

──「Poisonous Gangster」「LOOK AT...」は、シングルリリース時は亥清さんと狗丸さんがメインボーカリストとして歌唱していましたが、「einsatZ」には4人で歌唱したバージョンが収録されています。この2曲は「REUNION」で「ZONE OF OVERLAP」と共に4人で歌っていましたね。先ほどもおっしゃっていましたが、ブーイングが危惧されていながらも大きな歓声を浴びたあの状況は、ŹOOĻが「レッフェス」に出演した際の様子さながらでした。改めて「REUNION」のエピソードも教えてください。

木村 ŹOOĻとして初めてのライブだったから、みんなもう爆発しちゃってたよね。近藤さんが「もっと声出せー!」みたいにすごい煽ったり。「めちゃめちゃ歌いたかったんじゃん!」と思いました(笑)。

近藤 曲がいいからさ、いろいろやりたくなっちゃって(笑)。

「アイドリッシュセブン 2nd LIVE『REUNION』」の様子。

広瀬 MCでは緊張して、「俺たちの声を聞かせてやる」と言うつもりが「みんなの声を聞かせてやる」と言い間違えてしまって……。

近藤 でもあそこで肩の荷が下りたみたいなところはあるよね。

木村 間違いない。広瀬くんがミスったところでわちゃわちゃした感じになって、和気藹々とできたのがよかった。そのおかげで2、3曲目はリラックスしてパフォーマンスできたし。広瀬くんのおかげです。

西山 あと2日目の、昴さんのご提案だったŹOOĻコールもよく覚えてます。皆さんの声を聞いたときはもう泣きそうでしたね。

木村 わかる!!

「アイドリッシュセブン 2nd LIVE『REUNION』」の様子。

広瀬 全員イヤモニを外してましたよね。「こんなに声を出してもらってたんだ」と感動したな。ŹOOĻも絶対うれしいだろうなと思いました。

近藤 あれは震えたね。

木村 あのコールの声だけ欲しいな。目覚ましの音に設定したい。

広瀬 気分アガりそうですね(笑)。

木村 あとは炎が出ていたり、リフトに乗せてもらったりしたのもめっちゃ覚えてるな。

仮歌はほとんど聴かない

──「Unbalance Shadow」は亥清さんと棗さん、「Drift driving」は狗丸さんと御堂さんという、メインボーカリストとパフォーマーをそれぞれ組み合わせる切り口が新鮮でした。「Unbalance Shadow」は、これまでのŹOOĻの楽曲にはなかったミディアムバラードですね。

ŹOOĻ「einsatZ」豪華盤ジャケット

西山 そうですよね。この曲は僕が先にレコーディングしました。冒頭の「孤独の中 彷徨ってた」という部分は音数が少ないので慎重に録りましたね。「Unbalance Shadow」は歌詞の中にストレートな言葉が多く入っていて、巳波としては全面的に感情を出すわけではないけれど、心の軸や芯は感じてもらえるような、そんなニュアンスが少しでも出たらいいなと思いながら歌いました。

広瀬 僕は宏太朗さんの声を聴きながらレコーディングできたので、楽曲の世界観に入りやすかったです。悠は聴かせる部分というか、高音の部分が多くて。吠える感じというよりは中に秘めているものを切なく儚く出していく感じを意識しました。そこはほかの曲と違って難しかったですね。あと2人でユニゾンするというのも新しい。2人の声が合わさったときにどういうバランスになるかなと思っていましたが、めちゃめちゃ素敵に仕上げていただけて。あと楽曲自体の雰囲気が、とても巳波と悠っぽいなと思いました。

近藤 不安定な、それこそアンバランスな感じで、でも包み込んでくれるような。美しい曲だよね。

木村 ホントカッコいい。マジで。この2人の組み合わせだからこそできた曲ですよね。

──そして「Drift driving」も、狗丸さんと御堂さんの組み合わせならではのアグレッシブなサウンドと、自信に満ちた印象を受ける歌詞ですね。

木村 リズミカルで疾走感があって、この2人が組んだらこうなるかなという感じが出てますよね。レコーディングは僕からでした。さっきもŹOOĻのラップパートの魅力についてお話しましたが、この曲では2人でそれを発揮できましたね。短い小節を分けあって掛け合いをしたり、ラップをしたりするのが楽しかった。いつかライブで披露したときにお客さんも盛り上がってくれるのではないかということを想像しながら録った記憶があります。

──この曲もとてもライブ映えしそうですね。

木村 ですよね。あとドライブのときとかにも聴いてもらえたらうれしいな。あと会社に遅刻しそうなとき。

近藤 「無理せずにGo home」したほうがいいからね(笑)。

木村 そうっすね(笑)。

近藤 まあそれは冗談ですけど、本当にこの曲カッコいいよね。ラップの応酬。個人的にもこれだけラップメインの曲を歌ったことがほとんどなかったので新鮮で。昴の歌を聴きながらできたので、「じゃあここはちょっと突き放した感じのほうがいいかな」とか考えながら歌うのが楽しかったです。

──あとからレコーディングをする方にとっては、前の方の歌声が1つの指針になるのがいいですね。収録の順番が入れ替わると楽曲の印象も変わりそうです。

木村 そうなんですよ。

広瀬 みんなの声を聴くと気持ちがアガりますしね。

──4人の楽曲は、レコーディングの順番は決まってますか?

広瀬 だいたい僕から録って、キーとかを決めていきます。僕、仮歌は1回くらいしか聴かないんです。仮歌を聴きすぎるとイメージが固まってしまう気がして。その代わりに自分でしっかりイメージを考えないといけない。だからトップバッターは緊張しますね。

近藤 おかげさまで我々は楽をできる(笑)。だいたい僕が最後で、足りないピースをはめていくような感覚でやってます。「ここはもうちょっとパワフルなほうがいいから低音を強めに出しておこうかな」「ここは柔らかい雰囲気だから抜き気味にしておこうかな」という感じで。