音楽ナタリー Power Push - 女王蜂VS獄門島一家

2人が語る家族の“血縁関係”

お悔やみスペシャル「出棺のときでございます」

──今作の初回限定盤には架空の攻略本が付くというのもすごいですね。

KenKen その攻略本がですね、俺ら的にはたまらない完成度で。

アヴちゃん 私が考えたんですが、けっこう面白いんですよ。1人ひとり必殺技とキャラクター設定があってカッコいいの。西園寺ことKenKenの一撃必殺技は、“お悔やみスペシャル”で決め台詞は「出棺のときでございます」(笑)。

KenKen 俺、実家が葬儀屋なんで。そこを初めて絶妙なバランスでいじってくれて、すげえうれしいです(笑)。アヴちゃんが発起人だけど、全然不謹慎とかじゃないですから。

アヴちゃん ふふふ。私、敏腕コーディネーターなんでね(笑)。

無意識に付けたバンド名

──獄門島一家のコンセプトやバンド名の由来について聞かせてください。

アヴちゃん 獄門島一家はメンバー全員が同じ島に住んでいて、その島の村人はすごく弱くて、私たちが獄門島の財政を回しているというのがコンセプト。あと「『女王蜂』って横溝正史の『金田一耕助』シリーズから取ったの?」ってよく言われるんですよね。全然違うんですけど、何度も言われるから、獄門島一家は逆に横溝正史作品の「獄門島」から取ったろうと思って付けたバンド名なんです。当時すごい必死だったから無意識だったんですけど、獄門島一家では私が長女ですごいカッコいい男の人たちと家族になってみたかったって気持ちが込められてたんですよね。

──小説「獄門島」の物語の中心となる一家は父親が座敷牢にいて、息子が戦死。残る3姉妹は母親と暮らしてるという設定で、周りには女性の家族しかいないという。

アヴちゃん 私、家に男の人がいない家庭で育ったんです。だから男の人が家にいるってどんな感じだろう、お父さんとかお兄ちゃんがいるとか、どういう感じなんだろうって思ってて。女王蜂の休止タイミングで、これはいろいろ勉強させてもらえる機会を与えてもらったんだって無意識に思ったんでしょうね。

KenKen 無意識のうちにこれだけの含みのあるコンセプトを生み出せるってすごいよね。そこにうまく当てはめられる一般的な言葉がないから、やっぱりオリジナリティがあるんだと思う。

“いつやるかわからない”のが強み

──ちなみに “最初で最後のスペシャル企画”って女王蜂のオフィシャルサイトで書き切ってますが、今後のコラボはもう予定されてないんですか?

アヴちゃん 先日の対バンもこのスプリット盤も最初で最後だと思いますね。

KenKen と言いつつもこれがどう動いていくかは超楽しみ。ゲームもさ、いきなり続編が出たりするから(笑)。

アヴちゃん 嫌なヤツだなって思われるかもしれないですけど、お客さんの中には「また獄門島一家ってどうせすぐライブやるんじゃないかな」って思ってらっしゃる方もいると思うんです。だからあえて言わせていただくなら、“いつやるかわからない”っていうのは最強の強みだと思うんですよね。獄門島一家がいつライブするかっていうのは私たちの気の向くままなので。

──あくまでも気が向いたらっていうスタンスなんですね。

左から、アヴちゃん、KenKen。

アヴちゃん ライブでやってるシブがき隊の「スシ食いねェ!」のカバーもまだ出してないけど、そもそもアレは出せるかわからないでしょ(笑)。

KenKen そうだね(笑)。今後の活動に関してはメンバーの俺でさえどうなるかわからない。

アヴちゃん いつ気が向くのかはわからない。そこがいいんですよ。またやりたいけど、あえてやらないっていうのもカッコいいみたいな。初めてですね、そういうふうに思えたのは。それぐらいカッコいいことをやってる自負があるのかもしれないです。

KenKen やっていることは軽い内容ではないし、むしろものすごく重みのある音楽だと思うから大事にしていきたいな。あと、うちの兄(金子ノブアキ)が獄門島一家の音源を聴いて言ってたんですよね、「音を聴いただけで誰がやってるかよくわかるっていうのはすごくいいことだね」って。

アヴちゃん ふふふ、最高です。

他人にやられたら超悔しいことを実現した

──西村キヌさんとのコラボなど、今作はお二人にとって非常に思い入れの深い作品になったんだなと改めてお話を聞いて感じました。

KenKen メジャー作品で出すことにも意味があるんだと思うな。「趣味でがんばってお金を貯めて、頼みました」とかじゃなくて積み上げてきたものがあったからこういうことができたっていうストーリーがあってさ。あと、ジャケットに関してはどれだけキヌさんがやってくれるかに懸かってたんだけど、すごく丁寧な方でね。自分たちのために100%の力を注いでくれました。

アヴちゃん ライブにも来ていただいて、めっちゃ楽しんでくれたから。物販のバッグまで買ってくれてたし、「缶バッジもらいました!」ってCDも予約してくださったんやって。一方通行じゃなくなったってことだよね。あたしはキヌさんにお会いしたとき、泣いたもんね。

KenKen 俺が鳥山(明)先生に会ったときと似てる感じがするわ(笑)。

──すごいことですね、幼少期に影響を受けたゲームに携わったご本人と一緒に仕事をできるようになるなんて。

KenKen これをきっかけにまたCAPCOMさんには「ヴァンパイア」シリーズを動かしていただきたい(笑)。

アヴちゃん もしちゃんとしたキャラクターとして実現したら全員で声を当てにいきたいし、「ヴァンパイアセイヴァー」と同じように絶対2Dで作ってほしいですね。私、生涯の夢の1つが格ゲーのキャラになることなんですよ。この(手足の)リーチを持って生まれ育ったのはそのためなんだと私は思ってて。でも何より、今回のスプリット盤が出せたことが本当にうれしいです。絵の持つ力、音の持つ力をこんなにも楽しめて、もう笑えちゃうくらい。

KenKen ルールも基本的にないし、かなりイケてるよね。これを他人に先にやられたら超悔しかったと思う。

アヴちゃん そうね(笑)。

ニューアルバムシングル「金星 / 死亡遊戯」 / 2016年5月11日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤 [CD+ブックレット] / 2000円 / AICL-3107~8
通常盤 [CD] / 1620円 / AICL-3109
CD収録曲
  1. 金星 / 女王蜂
  2. シーサイドスーサイド / 獄門島一家
  3. 死亡遊戯 / 獄門島一家
  4. く・ち・づ・け / 女王蜂
女王蜂(ジョオウバチ)

女王蜂

2009年神戸にて活動開始。2010年「FUJI ROCK FESTIVAL '10」のROOKIE A GO-GOステージに出演し、その衝撃的なルックスとパフォーマンスでオーディエンスの注目を集めた。2011年3月に初の全国流通盤アルバム「魔女狩り」をリリース。同年9月にはアルバム「孔雀」でソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズよりメジャーデビューを果たす。収録曲「デスコ」は映画「モテキ」のメインテーマに抜擢されたほか、彼女たち自身も本人役として映画に初出演し話題を呼んだ。2012年5月にギギちゃん(G)が利き腕の長期治療に専念するためバンドを“降板”するも、アヴちゃん(Vo)、やしちゃん(B)、ルリちゃん(Dr)の3人編成にサポートを迎える形で活動を継続。しかし同年12月にバンドは無期限活動休止を発表し、2013年2月のSHIBUYA-AX公演をもって活動を休止した。その後バンドは2014年2月のワンマンライブ「白熱戦」で1年ぶりに復活し、2015年1月に新ギタリスト・ひばりくんが正式加入。同年3月にドラマ「怪奇恋愛作戦」のオープニングテーマ「ヴィーナス」を収めたアルバム「奇麗」、7月に篠崎愛や志磨遼平(ドレスコーズ)が参加したナンバーを含む5曲入りCD「失神」をリリース。12月から2016年3月にかけて対バンライブシリーズ「蜜蜂ナイト」を実施し、KEYTALK、チームしゃちほこ、アヴちゃん在籍の獄門島一家らと競演した。5月に獄門島一家とのスプリットシングル「金星 / 死亡遊戯」を発表し、5月15日の愛知・ElectricLadyLand公演から7月9日の東京・Zepp DiverCity TOKYO公演まで全国10カ所をまわるワンマンツアーを開催。6月にはフランス・パリ日本文化会館にてバンド初の海外ライブを行うことも決定している。

獄門島一家(ゴクモントウイッカ)

獄門島一家

女王蜂のアヴちゃん(Vo)がボーカルを務め、長岡亮介(G / ペトロールズ)、KenKen(B / LIFE IS GROOVE、RIZE)、中村達也(Dr / LOSALIOS、MANNISH BOYS)の4人からなるバンド。アヴちゃん在籍の女王蜂活動休止後の2013年に結成され、「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2013 in EZO」でライブデビューを果たす。その後デモ音源がWeb上に公開されるもCDリリースはないまま、同年10月に東京・LIQUIDROOMでワンマンライブ「第一回 獄門島一家会合」を開催。チケットは即日ソールドアウトし、盛況を収めた。その後、表立った活動を見せなかったが2015年7月に約1年9カ月ぶりにLIQUIDROOMで再び単独公演を実施。11月には神奈川と京都でもワンマンライブを行い、会場限定でCD付き雑誌「実録!獄門島一家」を販売した。2016年3月に東京・EX THEATER ROPPONGIで行われた女王蜂の対バンライブシリーズの最終公演に出演。アヴちゃんが女王蜂、獄門島一家のメンバーとしてステージに立った。5月に女王蜂とのスプリットシングル「金星 / 死亡遊戯」をリリース。