ナタリー PowerPush - ZEPPET STORE
結成25周年で到達した 色彩豊かで“刺激的”なアルバム
むしろ前作より音数は減ってる
──3月からはこのアルバムを引っさげた全国ツアーが始まります。このアルバムの曲をライブで再現したらどうなるのか、今から楽しみです。
木村 そうなんですよ。再現できるんでしょうか。
五味 ライブはライブのアレンジでね。実は前作「SHAPE 5」はかなりギターを重ねまくってたんですけど、今回はダビングを極力抑えていて。むしろ前作より音数は減ってるんです。レコーディングの時点である程度、俺とバネの役割分担は整理できていて。一聴するとすごく複雑に感じられる部分も、実はお互いの棲み分けができているからライブアレンジは前作と比べて楽な部分が多いんです。
赤羽根 そうだね。曲によってはちょっと難しいパートもあるにはあるんですけど、そこはライブを通じてどんどん変化していくと思います。ライブってそういうもんですし、別に毎回アレンジを変えてもいいわけですしね。
木村 レコーディング中、ギターの割り振りってどうやって決めたの? 譲り合い?
赤羽根 まこっちゃんはレコーディングで、あんまり先に弾いてくれないんですよ。
五味 そんなことないよ! だって「夜に這う」「DAZZLING SUN」「SELFISH」、あと「SPY」も俺が最初にギターを入れたし。
赤羽根 そうだっけ? まあでも4曲だし。
──あはは(笑)。
赤羽根 ギターに関して言えば、俺とまこっちゃんのどちらかが何かアイデアを出したら、それに乗っかって広げて行くパターンが多いですね。どっちかが煮詰まったら、1人がサポートして。アレンジ的には非常に楽ですよ。俺とまこっちゃんはギターのスタイルが違うと思われてるかもしれないけど、実は感性が似てるんですよね。だから俺がこういう感じにしたいと伝えると、それを音に具現化してくれる。で、まこっちゃんがちょっとこういうのを弾いてよって言ってきたとしても、その考えに応じることができるんです。
五味 それはないねっていう反対意見はほぼ出てこないですね。逆にアイデアが膨らむ一方ですし。
赤羽根 ギターに限らず、ボーカルアレンジやエフェクトのかけ方、リズム隊の音の抜き差し、そういうところでも感性が似てるから、とてもいい感じにスタジオ作業を進めることができますよ。
木村 4人で活動してたときと圧倒的に違うのはそこだと思いますね。俺もギターを弾くじゃないですか。だけど4人でやってた頃って、ギタリスト同士の打ち合わせはほとんどなくて、基本的に俺がベーシックなコード進行を弾くだけなんですよ。そこが全然違うから、今は2人ともやっててすごく面白いんじゃないかなと、俯瞰で見てそう感じますね。
新たな“刺激”がたくさん詰まった作品
──ちなみにアルバムタイトルの「SPICE」にはどういう意味が込められているんですか?
木村 「SHAPE 5」は5人のZEPPET STOREというのを強調したくてわりとすんなり決まったんですけど、今回はまあ悩みましたね。でね、今作の制作って前作以上に刺激的だったんですよ。さっきも言ったように個々がデモテープを持ち寄ったのも新鮮だったし、そういう新たな“刺激”がたくさん詰まった作品を表す言葉として“スパイス”という単語がポッと浮かんだんです。それをメンバーに提案したんですけど、よくある単語だしわりと反対されるのかなと思ってたら、「あ、いいんじゃない?」みたいな感じで即OKをもらって。
赤羽根 「いいんじゃない?」と言ったあとに、「どういう意味なのかな?」って2人で話したよね?
五味 そうだね。実はそこをまだ聞いてなくて。
一同 あはは(笑)。
赤羽根 収録曲の「SPY」と関連性があるのかなとか思って。
木村 そう、だから「SPY」にひっかけて、「SPICE」のIをYに変えて「SPYCE」というのも考えたんですけど、そうする理由があんまりないなと思って。
──でも刺激的な内容の作品集ですし、そういう意味ではピッタリなタイトルですよね。
五味 うん、今の説明を聞いてなるほどって納得しました。
木村 例えば俺は料理が大好きなんですけど、何か1つスパイスを加えることで味が劇的に変化することがありますよね。そういうニュアンスです。
──5人のスパイスが加わることで、それぞれの曲がどんどん変化していくという。
木村 その通り。
赤羽根 結局まとめてもらってるじゃん。
木村 恐縮です。ありがとうございます。
赤羽根 次から今の話を説明に使わせてもらおうよ(笑)。
木村 いただきました(笑)。
自分たちの中にあるZEPPET STORE像をぶっ壊したい
──今回のアルバム「SPICE」に対して、リスナーからどういったリアクションがあるのか楽しみですね。本作は今までZEPPET STOREを聴いてきた人には納得の内容であると同時に、これまでZEPPET STOREに触れたことがなかった人たちに「こんなにカッコいいバンドがいたんだ」と強くアピールする1枚だと思います。
赤羽根 いろいろ広めたいし、特に今まで知らなかったという人にこそ聴いてもらいたいですね。
五味 これまで20年以上……いや、今年で結成25周年ですけど、長く続けてると自分たちの中にあるZEPPET STORE像をなかなかぶっ壊せないじゃないですか。だから今回はなるべくぶっ壊していこうっていう意識で作ったので、従来のファンにも今まで知らなかった人にも新鮮な1枚だと思います。
──ZEPPET STOREは今年で結成25周年であると同時に、1stアルバム「swing, slide, sandpit」リリース20周年なんですよね。
木村 あ、そうだ。そんなに経つんですね。
五味 ヤバいね。
木村 うん。俺、あのアルバムを27歳のときに作ったんですよ。
五味 じゃあ俺は29歳か。
──しかも「SPICE」はオリジナルアルバムとして10枚目。2014年はいろいろ区切りのタイミングになりそうですね。何かアニバーサリー企画の計画はあるんでしょうか?
木村 うちら、そういうのヘタなんだよなあ。
五味 ずっと考えてるんですけど……っていうか、現時点でお話できることが何もなくて。
木村 もう1月でしょ? 計画なんかとっくにできてなきゃいけないのに。
赤羽根 まあでも、まずはこの「SPICE」を出しますし。
──そうですね。まずは現在進行形のZEPPET STOREを聴いてもらうことからですよね。
一同 そうですね。
赤羽根 でもほかのアーティストって、こういうときに何をやってるんですかね。
五味 記念的にベスト盤を出す人はいるよね。あと、いろんな人から「トリビュートアルバムを出したら?」って言われたけど、ピンと来なくて。
木村 まあ新しいアルバムを出して、ライブで盛り上げるっていうのが一番“らしい”やり方だと思うんですけど、それ以外がなあ……。
五味 まあ今から考えて、年末までに間に合わせるかもしれないけどね。今のところはノープランですけど、ちょっと考えてみます(笑)。
- ニューアルバム「SPICE」/ 2014年1月15日発売 / DELIGHTS RECORDS / DRSCD-1001
- [CD] 2800円 / DRSCD-1001
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収録曲
- DELIGHT
- 夜に這う
- DAZZLING SUN
- 星くずと少年
- 無情な世界
- SELFISH
- MELODY
- DRIVE AWAY
- BREAKETHROUGH
- WALKING IN THE MOONLIGHT
- SPY
- ZEPPET STORE Tour 2014
"GREAT DELIGHT" -
- 2014年3月7日(金)
東京都 渋谷CLUB QUATTRO - 2014年3月15日(土)
福島県 club SONIC iwaki - 2014年3月16日(日)
宮城県 enn 2nd - 2014年3月21日(金・祝)
大阪府 FANJ twice - 2014年3月22日(土)
愛知県 池下CLUB UPSET
- 2014年3月7日(金)
ZEPPET STORE(ぜぺっとすとあ)
1989年に結成されたロックバンド。1994年に1stアルバム「Swing, Slide, Sandpit」をリリース。このアルバムがhide(X JAPAN)の目に留まり、彼の設立したレーベルLEMONedから1996年に 2ndアルバム「716」をリリースした。1996年にアルバム「CUE」でメジャーデビュー。その後もライブやリリースなどの活動を精力的に展開するが、2005年に解散。6年後の2011年、東日本大震災を受けて楽曲配信でのチャリティを目的に再結成を果たす。再結成時より初代ギタリストの五味誠(G)も加わり、木村世治(Vo, G)、赤羽根謙二(G)、中村雄一(B)、YANA(Dr)との5人編成で活動を行う。8月には新曲「SMILE」を配信およびライブ会場限定CDでリリース。2012年5月、hideのメモリアルイベント「hide FILM ALIVE!! ~hide Memorial Day 2012~」にて再結成後初のライブを開催。同年12月に約8年ぶりのオリジナルフルアルバム「SHAPE 5」を発表した。2014年1月には10thアルバムであり、5人編成での2ndアルバムともなる「SPICE」をリリース。3月にはトリプルギター5人編成でのライブツアー「Tour 2014 "GREAT DELIGHT"」の開催が決定している。