絶景クジラが新作CD「Seasick」をリリースした。

「Seasick」は昨年8月にサンキューまじま（Dr）が脱退し、3人体制になった絶景クジラが初めて発表する作品。「頭の中にあったやりたいことがようやく形にできた」という本作について、メンバー3人に話を聞いた。

取材・文 / 小林千絵　撮影 / 草場雄介

大学卒業直前に結成された絶景クジラ

──音楽ナタリー初登場なので、最初にバンドの結成のいきさつを教えてください。絶景クジラは2013年12月に、ナツコさんとnozoさんが中心となって結成したんですよね。お二人の出会いはどこだったんですか？

nozo（G）　大学のサークルです。

ナツコ・ポラリス（Key, Vo）　でも組んだのは本当に卒業ギリギリ。バンドを組みたいと思って軽音サークルに入ったものの、うまく馴染めなくて、サークルと言うか、学校自体に全然行かなくなって。だから1人で音楽をやろうと思ったんです。友達はほかにいるから、バンド仲間みたいなのは別にいらんなって思った。ネットを使って自分で作った音楽を発信できる時代だし、そこからプロになっていく人もいるんだから、自分にも可能性があるんじゃないかなと。自分の中で「絶対に曲が作れる」っていう変な自信もあったし、実際に頭の中で、ドラムはこれ、メロディはこれっていうイメージもあったから、それを形にするためにシンセサイザーを買ったんです。で、これ、今考えると運命みたいなもんやなと思うんですけど、その時期にたまたまサークルに行ったんですよね。そこでnozoとしゃべってたら、めっちゃ勇気が出て「実はこういうやつ買ってんけど……一緒にバンドやりたいなあ」ってポロっと言えて。そしたらnozoが「やりたい！」と言ってくれたんです。

──確かに運命めいたものを感じますね。

ナツコ　ですよね！ 「セレンディピティ」です！

nozo　え？ 何？

ナツコ　偶然の幸運みたいなのを「セレンディピティ」って言うらしい。最近知った。

──ちなみにそれまでお二人で、バンドを組もうと思ったことはなかったんですか？

nozo　ないですね。なんか突然「（シンセサイザー）買ってん」って言われて、楽しそうやなあって思ったから「やる」って。

ナツコ　キーボードが入ってるバンドがやりたかってんな？

nozo　ああ、そうだった。そのときは漠然と「キーボードが入ってるバンドやりたいな」って思ってた。

ナツコ　最初は嘘つきバービーとかモーモールルギャバンみたいなバンドを目指してました。そのコンセプトはすぐ忘れましたけど（笑）、ちょっと変わってると言うか、自分たちにしかできない独特のバンドをやりたいという気持ちがずっとあったんだと思います。

加賀谷から見た絶景クジラ

──加賀谷さんがバンドに加入したのは去年の2月ですが、大学時代は2人と同じサークルだったんですよね。お二人が組んだ絶景クジラを、加賀谷さんはどう観ていました？

加賀谷直毅（B）　僕は……。

ナツコ　気になる！ 絶対に見下されてる！（笑）

加賀谷　正直、そんなに興味なかった（笑）。でも前のベースが抜けたタイミングで誘ってもらって、ひさしぶりに聴いたんですよ。最近の曲は全然知らなかったので。そしたらめっちゃカッコええなと思った。メンバーとして誘われたから「自分やったらどう弾くかな」とかも考えて、もっとよくできるかもと思ったので、加入を決めました。

ナツコ　えー！ 知らなかった。泣きそう。

──ナツコさんとnozoさんはどうして加賀谷さんを誘ったんですか？

ナツコ　なんかうまかったから……（笑）。サークルで1人だけ抜群にうまかったんですよ。

加賀谷　ありがとうございます（笑）。

ナツコ　サークルでスターやったよな。みんなの憧れの加賀谷さん。