遊助|ソロデビュー10周年、第2章の始まりの歌

勝手に狙って打ったテーマソング

──遊助さんの第2章の幕開けを飾る新曲「千羽鶴」は「2019tvk高校野球神奈川大会中継テーマソング」に使用されています。

遊助

今夏の「全国高校野球選手権大会」は100周年で101回目となる記念の大会なんですよ。そのことを知ったときに、「これ、10周年を迎えて11年目のスタートを切る俺と一緒じゃん」と勝手に思って(笑)。しかも、僕は今年で40歳になったし、初めてドラマに出てからちょうど20年でもある。元号も令和に変わったところだし、これはもう僕がテーマソングを歌うべきだなと思ったので、なんのお願いもされていないのに曲を作り始めました。

──えっ、先方からのオファーを受けて作った曲ではないんですか?

そう。僕が勝手に狙って打ったんです(笑)。で、それが結果的に、僕が青春を注いだ神奈川大会の中継テーマソングとして使っていただけることになったという。よかったですよ。決まらなかったらこの曲どうしたらいいんだろうと思っていたんで(笑)。

──楽曲はどんな流れで制作していったんですか?

トラックのデモを聴いた瞬間に、千羽鶴が空にふわっと飛んでいく絵がパッと浮かんだんですよ。そのイメージがあったから、制作作業はけっこうスムーズでしたね。鼻歌でサビからメロディを作り、そのあとに歌詞を当てはめていって。アレンジはいつもライブのDJをやってくれているN.O.B.Bくんと細かくやり取りをしながら作っていきました。朝、叩き起こして、「ここはこういうキックの音がいいんだけど」とか電話で伝えたりしながら。彼が飲んでるところに電話して、「申し訳ないんだけど、今すぐ家帰ってアレンジ手直ししてよ」とお願いしたこともありましたね(笑)。

──気心知れた関係だからこそ妥協なく、徹底的にこだわってやり取りできるわけですね。

そうそう。ホントに助かりました。最初はけっこう低音を利かせた重めでカッコいい仕上がりにしていたんだけど、テーマソングに使っていただくことが決まってから、先方の方に「もうちょっとキラキラ感を出すのはどうですか?」というご提案をいただいて。そこでまたちょっとイジってもらったりもしたんですよね。

──結果、高校野球にふさわしいさわやかさと青春感のあるトラックになっていますね。

うん。キラキラ感を加えるのもありだなと僕も思ったので、元のアレンジとのバランスを考えながら修正してもらって。いいところに着地できたと思います。

自分にとっての“王道の歌声”

──歌詞は、実際に高校球児だった遊助さんらしいリアルなものになっています。ご自身の体験を投影したところもありました?

少なからずどこかしらに投影されているところはあるんだろうけど、基本的には曲から浮かんできたイメージを歌詞にしていった感じです。例えば、曲の頭に「真っ白なユニフォーム」というフレーズが出てくるけど、僕が通ってた横浜高校の練習ユニフォームは白じゃなかったですからね。

──そのあとの「誰より朝早く来るあいつ 夜遅くまで素振りするライバルも その日 その日を 重ねたよ」というフレーズも実際の体験ではなく?

はい。僕らは朝練も禁止だったし、夜の練習はきっちり時間が決められていたので(笑)。だから僕の場合、基本的には妄想を具体的に書いていくスタイルなんです。それをリアルと感じていただけるのはすごくうれしいですけどね。

──歌に関しては、遊助さんの王道とも言えるボーカルスタイルが堪能できますね。そういう意味でも第2章の始まりにふさわしいなと思いました。

遊助

芝居もそうなんだけど、僕はチャンスがあるならいろんな人を演じてみたいし、いろんな表現をしてみたいと思うんですよ。ただ、遊助としての軸みたいなものは必要だと思っていたから、それを1つ見つけたうえでいろんなキャラクターになって遊ぶというか。そういう気持ちで10年やってきたんですよね。で、今回の曲に関しては確かにおっしゃる通り、自分にとっての王道で臨んだ感じではあります。取扱説明書の1ページ目に載っている俺の声で歌いました(笑)。

──ただ、曲の後半に出てくるDメロパートではボーカルの熱量もグッと上がって。

そうそう。そこのパートで勢いを付けて、最後のサビで転調して終わりたいという具体的なイメージも最初から僕の中にあったんですよ。だから歌に関してもここはちょっと強めの声を出してますね。

──みんなでシンガロングしたくなるパートも随所に盛り込まれているので、球場で流れたりしても絶対盛り上がりそうですよね。

歌ってほしいです! アルプススタンドのみんなで「ウォーウォー」って言ってほしい。自分の学校の選手に向けて歌う応援歌にしてもらってもいいと思うし。この曲で大会自体はもちろん、1試合1試合がガッと盛り上がってくれたら最高ですよね。

若い子たちが持っているエネルギーを映像に詰め込めた

──たくさんの女性たちが華やかなダンスを見せてくれる「千羽鶴」のMVも話題になっていますね。「あれ、遊助さんは登場しないのかな?」と思いながら観てましたが……。

最後に「きた!」という感じで登場します(笑)。今回のようなコンテンポラリーダンスって、映像なんかでは観たことあったけど、生で体感するとホントにもう素晴らしくって。1人ひとりの女性が大きなドラマ、ストーリーをしっかり表現してくれているなと思ったので、今回は俯瞰で歌っている僕が出すぎると邪魔くさいような気がしたんですよね。かと言ってまったく出ないのもあれなんで、最後にちょろっと出ることにしました(YouTubeで公開されているMVのショートバージョンには最後のシーンを使用)。

──シンプルだけどグッと胸を打つ映像になっていますよね。

ダンサーのみんながいい表情してくれてますからね。若い子たちが持っているエネルギーを映像に詰め込めた気がします。なんの装飾もない素舞台で踊ってもらったという意味では、改めてのゼロからのスタート、第2章のスタートに打ってつけのMVになったと思います。